kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

桜田義雄が暴言撤回/アスリートと抗がん剤・骨髄移植と現役復帰

 下記は池江璃花子選手の白血病公表に「がっかりした」と発言した桜内義雄の寸評。

 

sumita-m.hatenadiary.com

18歳や25歳の発言と古稀に近い爺の発言のどちらに人格的成熟を感じられるかという問題。馬齢を重ねるという慣用句を思い出した。

 

 上記引用文で「18歳」はいうまでもなく池江璃花子選手を指すが、「25歳」は2016年に白血病を発症して昨年末にサッカー・Jリーグアルビレックス新潟との契約凍結が解除されて復帰した早川史哉選手(後述)を指す。

 今回批判されている桜田義孝という人は、これまでにも失言がたびたび報じられる人だが、名前がだいぶ前に亡くなった桜内義雄(1912-2003)に似ているものだから、その息子か何かだろうと勝手に思い込んでいた。しかし、姓が違ったのだった(笑)。

 その桜田義孝はどうやら世襲政治家ではないらしい。その世襲でない桜田が、世襲政治家ではないかと見紛うような常識外れの発言をするとは、自民党という政党とはどういう人間が集まる集団なのか、あるいは日本の政治家とはどんな資質の人間が就く職業なのかとしばし考え込んでしまった。

 その桜田を昨日(2/13)の国会で追及した寺田学の方はまぎれもない世襲政治家だ。父の寺田典城(てらた・すけしろ)は元秋田県知事で、知事を退いたあとみんなの党参院議員も務めた(2010-16年)。国会議員になったのは寺田学の方が早く、2003年の衆院選民主党から立候補して初当選して現在当選5回(2012年衆院選では落選)。しかし、一昨年の「希望の党」設立の際には、その直前の民進党代表で枝野幸男の推薦人になっておきながら希望の党比例東北ブロック名簿1位で立候補して当選し、このために枝野を含む立憲民主党の一部から白眼視されていると認識している。まあ正直言ってあまり買えない政治家の一人ではある。風を読みたがる政治家にありがちなように、寺田学は国民民主党には参加せず現在は無所属。次回の衆院選では立憲民主党から立候補するつもりなのだろう。

 前置きが長くなったが、寺田学の母、つまり寺田典城の妻は白血病を患い、6年間の闘病生活を送ったのち現在は回復している(完全寛解の状態にある)らしい。その寺田学が国会で桜田義孝の「がっかり」発言を追及した。スポーツ選手の病気に関わることだからか、なぜか詳しい日刊スポーツの記事を2本引用する。なお2本目の記事の引用は、1本目と重複する部分を省略した。

 

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201902130000331.html

 

桜田五輪相が発言撤回、母が白血病だった議員が追及

桜田義孝五輪相は13日の衆院予算委員会で、競泳の池江璃花子白血病を公表したことに「がっかりしている」などと述べた自らの発言を「配慮を欠いた」として撤回、謝罪した。辞任は拒否し、安倍晋三首相も更迭要求を拒んだ。母親が約6年、白血病と闘い、家族としてこの病気に向き合ってきた寺田学衆院議員(42)は質問で、涙ながらに「あなたが今できることは撤回ではなく、辞めることだ」と訴えた。桜田氏は、五輪の基本原則を定めた五輪憲章も「知らない」と発言。資質のなさを、あらためてさらす場になった。

◇   ◇   ◇

桜田氏は、池江の白血病告白を受けて「本当にがっかりした」などと述べた発言を、1日で撤回した。

母が白血病で闘病した経験を持つ寺田氏が、家族としての立場から桜田氏の非常識さをただした。「白血病と戦う本人の気持ちや家族の気持ち、分かりますか」「選手は、メダルをとるためだけの駒なのか」。

寺田氏は、骨髄移植ではなく投薬治療を行った母の闘病生活を、「血液検査のたび『数値が良くなった、悪くなった』と家族全員で話した」と振り返った。「今、彼女にとって大事なことはメダルではなく、生きることそのものだ」と、声を詰まらせて批判した。

これに対し、桜田氏は「突然の話にショックを受け、率直に残念と発言した。発言は配慮を欠いた。謝罪し、撤回する」と述べた。一方で「(下火発言は)池江選手が水泳界をリードし、他の選手の目標になる選手であることを述べたものだ」と、釈明。「治療を最優先で頑張ってほしい」と、素っ気なく加えた。

「あなたが今できる責任の取り方は、辞任以外ない」と求められたが、桜田氏は「職務をまっとうできるよう務めて参ります」「今までの分も挽回できるよう、一生懸命務めたい」と拒否し、自己保身に終始。池江への謝罪の言葉もなかった。持参したメモを読みながら答弁し、寺田氏に「紙なんか見ないで答えてくださいよ」と指摘を受けた。

首相は「しっかり職務を果たしてもらいたい」と更迭は否定したが、「配慮に欠ける発言だったのは事実」「厳しい批判があることは受け止めないと」と、いさめるような言葉もあった。「池江さん本人が1番つらいと思う。1日も早く元気な姿を治療に専念してみせてほしい」と話した。

桜田氏には、新たな問題も出てきた。五輪の基本原則を定めた五輪憲章について問われ、「話には聞いているが自分では読んでいない」と話した。同憲章は、人間の尊厳保持が重視されており、質問した階猛議員に「池江選手への発言は、人間の尊厳をまったく理解していない内容。金メダルを取る道具としか見ていないる」と批判された。さまざまな失言で批判されてきた桜田氏だが、今回は次元が異なる。世界の注目が集まる中、選手への気遣いすらできない五輪相が、政権の一員として東京大会のアピールを続けていていいのだろうか。【中山知子】

(日刊スポーツより)

 

 

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201902130000953.html

 

母闘病の寺田議員「撤回ではなく辞める」五輪相発言

 

(前略)寺田氏は予算委の質問後、日刊スポーツの取材に、母親の病気を明かすことはためらったとした上で、「大臣の発言は(病気を)軽く考えているのではないか」と怒りを感じ、急きょ質問に加えたことを明かした。母の白血病が判明したのは、当時所属した民主党が政権を獲得した09年。寺田氏の結婚式も治療で欠席した。約6年の治療で「完治」して今は元気だが、血液検査は続けているという。

寺田氏は桜田氏の発言に対し「大臣自身が(池江に)プレッシャーをかけている。ひどい」と指摘。委員会答弁についても「人間なら本当の謝罪ができるはずだが見受けられず、事の本質が分かっていない」と述べた。「後は政権が考えることだが、私は辞めてもらいたい」と強調した。

「(病状や治療は)人それぞれ」とした上で、「本当に大変だと思う。ツイッターの文を声に出して読むと、さまざまなことを思い出した」とも述べ、池江や家族の立場を思いやった。

(日刊スポーツより)

 

 最初の記事だと寺田議員の母親が健在なのか、それとも6年間の闘病の末に不幸にも亡くなってしまったのか(普通に読むとそう読めてしまう)、それも読み取れず、こんな文章を書く新聞記者には困ったものだなあと正直言って思ってしまった。

 昨夜開いたどこかの記事に、寺田議員の母は薬(抗がん剤)の投与だけで骨髄移植もせずに「奇跡的に」回復したと書かれていたが、確かに6年の抗がん剤投与は長い。普通は1回の寛解導入療法と3回の地固め療法で半年くらいの投与だと記憶するので、たぶん寺田議員の母は最初に用いた抗がん剤の効きが悪く、何年か目に使った抗がん剤がよく効いたのではないかと想像するが、どうせ母親の闘病を公表すると決めたのなら、そういう具体的な情報も開示してもらった方が、通常の寛解導入療法と3度の地固め療法で十分な効果が得られなかった患者さんたちに勇気を与えることになるのではないか。

 池江選手の白血病公表を受けて、ネットでは「骨髄移植すれば良くなるさ」などと軽々しく発言する例を多く見かけるが、骨髄移植せずに完全寛解して再発しないのがベストのケースだし、そもそも骨髄移植は体力的に極めて厳しいので、高齢者には通常行われないし、前記Jリーグの早川史哉選手の場合でも骨髄移植を行ってからアルビレックス新潟との契約凍結の解除まで、つまりチームの戦力として認められるようになるまで丸2年を要している。一方、2001年7月に白血病を発症した元オリックス岩下修一選手の場合は抗がん剤の効きが良く、寛解導入療法と3度の地固め療法を経て、骨髄移植をせずに翌年3月末のプロ野球開幕戦で復帰を果たした(下記デイリースポーツの記事を参照)。

 

https://www.daily.co.jp/general/2019/02/13/0012060662.shtml

 

白血病から復帰したアスリート 元オリックス岩下は発症翌年に開幕1軍

 競泳女子で18年アジア大会6冠の池江璃花子(18)=ルネサンス=が12日、「白血病」と診断されたことを自身のツイッターで公表した。詳しい病状は不明だが、今夏の世界選手権(韓国・光州)代表選考会を兼ねる4月の日本選手権(東京)は欠場し、治療に専念する。

 白血病から復帰したアスリートには、プロ野球日本ハムで打撃投手を務める岩下修一投手(45)がいる。

 オリックス時代の2001年7月、けん怠感と微熱があり、検査の結果、「急性骨髄性白血病」と診断された。入院して4度の抗がん剤投与を受け、日常生活に支障がない程度まで回復し、同年11月には退院。リハビリを経て、翌02年2月の春季キャンプに参加し、オープン戦登板で好投を重ね、見事に開幕1軍入りを決めた。

 貴重な左の中継ぎとしてこの年は18試合に登板。03年にも00年以来の白星を挙げるなど20試合に登板した。06年には日本ハムに移籍し、その年限りで現役を引退。現在まで打撃投手を務めている。

 J2新潟のDF早川史哉(25)も白血病からの復帰を目指して現在、トレーニングを続けている。

 11年にU-17W杯に出場した有望株は筑波大から入団1年目の16年4月、試合後にリンパ節の腫れが認められ、検査の結果、「急性白血病」の診断を受けた。

 同年11月に骨髄移植手術を受け、治療に専念するため17年1月には新潟との選手契約が一時凍結となった。懸命なリハビリの末、18年8月にはトップチームの練習に参加できるまでに回復。同年11月には契約凍結が解除された。

 24日のJ2開幕に向けて高知キャンプで汗を流している早川は池江の公表を受けて、「まずは1人の人間として元気になってくれることを願っている。池江選手のペースで一歩ずつ、じっくりと前を向いて進んでほしい」とクラブを通じてコメントを出した。

(デイリースポーツ 2019年2月13日)

 

 なお、寺田学議員が国会の予算委員会桜田を追及したことが悪いとは言わないが、それよりも寺田議員が次回の衆院選で立候補するであろう立憲民主党がまともな経済政策を打ち出すかどうかの方が私には関心がある。予算委員会ではむしろ、「お友達と軍事と原発と外国には血税をばら撒くが、庶民に対しては緊縮」である、安倍政権の財政政策を追及してもらった方がよほど良かった。

 それをせずに、万一立憲民主党が今後、(民主党政権時代にそうだったように)「ムダの削減」にばかり血道をあげたり、「財政健全化」ばかりを志向するような戦前の立憲民政党的な経済政策に走ったりするようでは、今後の国政選挙での同党の伸び悩みや敗北は避けられないだろう。