kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

競泳・池江璃花子選手が白血病罹患を公表

 競泳の池江璃花子選手が白血病にかかったことが公表された。以下に日刊スポーツの記事を引用する。

 

https://www.nikkansports.com/sports/news/201902130000007.html

 

池江璃花子に奇跡を!白血病を世界に発信し情報期待

20年東京五輪メダル候補の競泳女子の池江璃花子(18=ルネサンス)が12日、自身のツイッター白血病と診断されたことを公表した。10日までのオーストラリア合宿で体調不良になった。8日に緊急帰国して病院で診断を受けて、入院した。4月の日本選手権を欠場することになって、今夏の世界選手権韓国大会出場もなくなった。練習再開は未定で、20年東京五輪も不透明な情勢。それでも五輪の夢を抱いて治療に専念するため闘病生活に入った。

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日本全国に衝撃が走った。午後2時、池江が白血病を公表した。「このたび、体調不良としてオーストラリアから緊急帰国し検査を受けた結果『白血病』という診断が出ました。私自身、いまだに信じられず、混乱している状況です。ですが、しっかり治療をすれば完治する病気でもあります」とつづった。そして「今は少し休養をとり、治療に専念し、1日でも早く、また、さらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるように頑張っていきたいと思います」と続けた。

日本水連と所属先は2時間後に緊急会見を行った。オーストラリア・ゴールドコースト合宿は1月18日から2月10日までで練習メニューは日本と同じだったが、池江を指導する三木コーチは「2週目の後半からしんどい姿を見せた。今まで見たことがないような、肩で呼吸をしていた」。2月4日に日本人医師がいる現地の病院で血液検査。すぐに帰国することを勧められた。合宿を切り上げて8日朝に帰国して病院に直行。「白血病」という診断を受けて、そのまま入院した。

池江が今春から進学する日大の監督で病院に付き添った日本水連の上野副会長は「まさか池江がこういう病名を言われるとは。病名は衝撃的だったと思います。でも1時間もしないうちに前向きな言葉が出てきた」。2日遅れの10日に帰国した三木コーチは病院で池江と対面した。三木コーチは「最初はお互いに言葉が出なかったです。でも(池江から)『早く治してまた二郎さん(三木コーチ)と一緒に練習を頑張りたい』というのがあった」。その上で「本人の病気に立ち向かう姿勢は頭が下がる」とした。

衝撃的な病名だが、本人の希望もあり公表に踏み切った。入院からまだ4日で「骨髄性」「リンパ性」などの詳細は今後の検査による。日本で世界大会代表クラスで白血病になったケースがなく、日本水泳界として未知の領域。病気を公表することで他競技や世界中からSNSなどで情報が集まることも期待している。

現在は無菌室などではなく、一般的な病室にいる。抗がん剤の治療などに入れば、ひと区切りまで半年程度はかかり、状況が良くなっても練習を再開できるかは未知数。東京五輪には代表選考会である20年4月の日本選手権に出る必要がある。上野副会長は「先々、非常に厳しい道のりになると思いますが、20年東京五輪の選考会のスタートラインに立てるように温かく見守ってほしい」と呼びかけていた。【益田一弘】

白血病 原因もなく、血液中の白血球が無制限に増殖する病気。赤血球、血小板が徐々に減少し、息切れ、どうき、貧血などの症状が出る。急性型、慢性型、特殊型などのタイプがあり、それぞれの型の中に骨髄性、リンパ性、単球性などの種類がある。最も患者数が多いのは急性骨髄性白血病で、次に多いのが、慢性骨髄性白血病。20代以上の大人の病気で、50%の確率で脾臓が大きくなり、末期には急性転化で急激に病状が悪化する。

(日刊スポーツより)

 

 私の認識では、血液のがんである白血病には通常の臓器のがんのような「ステージ」の概念がなく、あえてそれに当てはまるなら発症した時点で「ステージIV」にあたる。但しこれは「末期」を意味するわけではない。また、白血病には急性と慢性があるが、急性が予後が悪く慢性は予後が良いなどということはない。白血病の治療法は化学療法が中心となり、抗がん剤のみでの完全寛解が困難な場合には骨髄移植が行われるなどする。近年は特に抗がん剤開発の進歩がめざましく、抗がん剤治療のみで完全寛解して再発もみられないケースが増えている。

 以上の記述に誤りがあればご指摘いただければ幸いだ。

 私は上記のような認識を持っているので、日刊スポーツの「池江璃花子に奇跡を!」という見出しには強い違和感を持つ。但し、抗がん剤の効きにくいタイプの白血病というのも確かにあるから、運の良し悪しが予後を決めると言っても過言ではない。予後の他の要因として年齢と体力があるが、これらに関して池江選手が考えられる限りもっとも良い条件を備えていることはいうまでもない。あとは抗がん剤がよく効くタイプかどうかが選手生活への復帰を含む彼女の病気の予後を大きく左右するが、これには幸運を祈るしかない。

 ただ、抗がん剤治療には想像を絶する体力への負担があるので、東京五輪云々など言うべきではない。治療に専念するしかない。たとえば白血病にもっとも多い急性骨髄性白血病の場合、下記リンクのサイトを参照すると、まず「寛解導入療法」といって、1週間から10日間ほど抗がん剤を投与するが、その時に正常な白血球も同時に減ってしまうで、その回復に4週間ほどかかる。この時に用いられる抗がん剤がきわめて強いタイプの者なので、患者に強い体力的負担を強いるが、この寛解導入療法で8割から9割の患者が寛解状態、つまり骨髄中に存在する白血病細胞が全体の5%以下の状態になるとのことだ。

 しかし、以上の段階で治療を終えてしまうと多くの場合白血病が再発するので、さらに何段階かに分けて抗がん剤の投与と正常な白血球の回復待ちを繰り返す。これを地固め療法というが、患者の状態が良ければこの地固め療法が完了しない段階で退院し、以後抗がん剤投与の前後のみ入院してあとは自宅で過ごすこともあるはずだ(これは下記リンクの記事には書かれていない。私が知っている人の例)。とはいえこの地固め療法に用いられる抗がん剤もまた非常に強力で、やはり患者に多大な体力的負担を強いる。

 また、化学療法だけでは完全寛解の状態が続かず再発してしまった場合などには骨髄移植が行われることもある。

 

ganclass.jp

 

 以上のように、このあと池江選手には厳しい闘病が待ち受けているのだから、それを思えば東京五輪云々などの言葉を軽々しく発する人間に対しては猛烈に腹が立つ。

 その意味で、下記の桜田義孝大臣の発言は最悪だ。

 

https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2019/02/13/kiji/20190213s00092000065000c.html

 

桜田五輪相「ガッカリ」「下火にならないか心配」に批判コメント殺到

[ 2019年2月13日 05:30 ]

 

 桜田義孝五輪担当相は記者団に、池江について「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、ガッカリしている」などと述べた。治療に専念して、元気な姿を見せてもらいたいとねぎらいの気持ちを示したものの、続けて「1人リードする選手がいると、みんなつられて全体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」と発言した。

 これに対しSNS上には批判のコメントが殺到した。「池江選手の身を心配する方が先」「病気で苦しんでる人にがっかりとかよく言える」「人格を疑う」「もう辞任してほしい」などと続々書き込まれた。

 桜田氏はサイバーセキュリティ担当大臣も兼務しているが「パソコンを使ったことがない」などと発言し度々物議をかもしている。

スポーツニッポンより)

 

 桜田義孝は「人間のクズ」としか言いようがない。こんなのが閣僚にいることが現在の安倍政権の程度、ひいては「崩壊の時代」の日本のありようをよく示している。