kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

京都市長選は相乗り候補の門川大作が4選

 京都市長選は4選を目指した相乗り候補の圧勝となったが、一番論じられるべきは、筆頭の対立候補だった福山和人候補が、無党派層の票を掴み切れず、やや上がって「今世紀最高」になったという投票率を活かせなかったことだろう。

 Twitterでは、地元・京都の放送局であるKBSの出口調査で、立憲民主党の支持層のうち4分の1しか当府連が推した相乗り候補の門川大作に投票しなかったことがもっぱらの話題の中心だが、こんなのはどうしようもない論外であって、枝野幸男は2008年に小沢一郎が出したという「相乗り禁止令」を党内で出すべきだ。それさえできないようなら、立民の党勢は低落の一途をたどるだけだろう。

 もっとも門川大作は、小沢による相乗り禁止令を破る裏口の手段として、前原誠司福山哲郎が門川を担いで、それに自公が乗るという形をとった候補らしいから、1950年から1978年まで7期28年続いた蜷川虎三知事時代にできあがった「共産党対その他」の対立構造の根というか惰性力の強さはすさまじい。今回だって、社民党も相乗り候補を担いで批判を受けた。人間社会の構造における惰性力の強さを見せつけられて、改めて愕然とする。

 そして、無党派層の多くもまた、その惰性力に従って相乗り候補に投票したということなのだろうか。今回、山本太郎元号政党が福山候補を推薦したが、山本元号党は候補の応援より自党の宣伝ばかりにかまけるていたらくであって、福山候補の票を上積みする効果はたいして見られなかった。何より無党派層の心をつかめなかった事実を山本太郎をはじめとする同党幹部は直視すべきであって、それさえできないようなら、山本元号党の党勢もまた低落の一途をたどるだけだろう。

 京都市長選に限らず、選挙は感情ではなく得票結果の数字に基づいて議論されるべきものだ。下記に、今回から2008年まで遡って、4度の京都市長選の得票結果を示す。いずれも門川大作が当選し、2位の候補が共産党系で、2008年と今回の選挙に出馬した村上祥栄は、日本維新の会に近い新自由主義系の候補者だ。

 

- 2020年2月2日当開票

 門川 大作 210,640票

 福山 和人 161,618票

 村山 祥栄  94,859票

 

- 2016年2月7日投開票

 門川 大作 254,545票

 本田久美子 129,119票

 三上  隆  15,334票

 

- 2012年2月5日投開票

 門川 大作 221,765票

 中村 和雄 189,971票

 

- 2008年2月3日投開票

 門川 大作 158,472票

 中村 和雄 157,521票

 村山 祥栄  84,750票

 岡田登史彦  24,702票

 

 2008年と今回がほぼ同じ顔ぶれによる争いだった。2008年2月3日投開票というから、橋下徹が初当選した大阪府知事選の翌週行われた選挙だった。当時は国政選挙の補選でも、選挙期間中に野党の票が目立って伸びることが多く、それほど自民党の政治に愛想が尽かされていた時期だった。この選挙でも、事前のメディアの情勢調査では門川候補の圧勝の見通しだったらしいが、選挙期間中に情勢が急変した。

 私がよく覚えているのは、同年春の衆院山口2区補選であって、事前には接戦ないし自民党が公認した「ノーパンしゃぶしゃぶ」の元建設省(現国交省)官僚・山本繁太郎(その後山口県知事になったあと2014年死去)の優勢が伝えられていたが、選挙戦の早い時期から情勢が変わり、結局民主党平岡秀夫が圧勝した。

 この頃から翌年にかけてはそんな風、それも強風がずっと吹いていた。現在は全然当時と似ておらず、上がった投票率が逆に相乗り候補の得票を上積みしているありさまだ。

 野党共闘系の諸政党も山本元号党も、まず「自分たちに風は吹いていない」事実を直視するところから始めなければならない。衆院解散総選挙までには、もうそんなに時間はない。