kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

山本太郎は拳の振り上げ方を誤り、引っ込みがつかなくなりかかっているように見える

 年末なので、今年(2019年)4月以降の山本太郎について感想をまとめておく。

 

 自由党が国民民主党に吸収された今春以来の、山本太郎の拳の振り上げ方は明らかに失敗だった。具体的に言えば、ターゲットを自民党よりも立憲民主党に絞ったやり方のことだ。私は何も山本太郎の政党(以下「山本元号党」と表記)の独自路線は否定しないが、山本元号党が右翼排外主義色を日に日に強めているのは大問題だ。山本太郎とその支持者(「信者」を含む)は経済政策のことばかり言いたがるが、政党名に元号を冠したことや(おかげで、安倍晋三が定めた現元号及び元号制度そのものを否定する私とは全く相容れないことになった)、最近山本太郎が発した移民に関する発言を鑑みるに、山本元号党は左派はもちろん、リベラルとも到底いえない右派政党としての性格が固まりつつあるように見える。これはきわめて危険な傾向だ。

 今ならまだやり直しはきくから、山本太郎はとりあえず既成野党といったん妥協した方が良い。具体的にいえば、「『比例は×××』作戦」(伏せ字は現元号*1)に方向転換するべきだ。

 堀茂樹氏のツイート*2経由で知った「スポーツ報知」の記事*3によると、山本太郎

「今は最小グループですけど、維新や公明くらいの中規模政党になってキャスティングボートを握れるようにならないと」

と語っている。

 

 それなら、公明党や維新がいかにして衆院選小選挙区制度下で党の勢力を保ってきたかをよく考えるべきだ。

 まず公明党は、自前の勢力だけで衆院選小選挙区制を戦ったことは一度もない。

 小選挙区制で最初の衆院選となった1996年は、小沢一郎らとつるんだ新進党で戦った。

 衆院選新進党が敗れて解党に追い込まれると、1999年には、これも小沢一郎自由党がブリッジとなって自民党と連立を組み、1996年の次の衆院選以降は、自民党選挙協力を得て、「比例は公明党」作戦を軸として、小選挙区でも勝てそうな選挙区だけ自民党候補を降ろしてもらって候補を擁立する戦略を一貫して追求してきた。だから連立与党として現在まで生き延びている。

 維新の場合は、大阪の地方選を征圧し、地元で圧倒的な政党支持率を得たのち衆院選に参戦した。2017年衆院選で得た11議席のうち8議席が、大阪の小選挙区(3議席)と比例近畿ブロック(5議席)で獲得したものだ。

 与党との選挙協力もなく、特別に強い地域も持たなかったみんなの党は、「一人一票比例代表制」を提案したが、ワンマン党首だった渡辺喜美の自滅によって政党自体が消滅に追い込まれた。

 しかるに現在、山本党の支持者(「信者」)たちは、小選挙区立憲民主党が持っている議席を奪えば良い、などと馬鹿なことを言っている。そんな戦い方をしたら、立民の議席が山本元号党ではなく自民党議席に変わることは火を見るよりも明らかなのに。

 だが、それでも彼らは「その方が良い。安倍自民党改憲されたって構うものか」とまで言う。その例として、この日記の下記記事にいただいたコメントを以下に紹介する。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

れいわ新選組の信者でない支持者

 

kojitakenさま

あなたはとんでもない誤解をされています。
少しは経済学が分かり、現在の日本の経済状態が非常に悪いことの原因が緊縮財政であることを理解できるならば、人々を貧困化から救うために何をしなければいけないか、答えはハッキリ分かるはずです。MMTについてご存じか知りませんが、国債をインフレ率が極端に上がらない範囲内で発行して財政出動を積極的に進めて行くことです。8大緊急政策は手始めにすぎません。

まだはっきり決まっていませんが、山本政権では奨学金政令以外にも教育と研究開発に相当の投資をするはずで、高等教育も含む教育無償化も始めるでしょう。

次の衆院選では、緊縮派の与野党候補しかいないところには、れいわ候補を立て、反緊縮派の候補の立つ選挙区には立てません。つまり、緊縮派vs.反緊縮派の戦いにする意向です。

野党vs与党という戦いとは見ていません。山本太郎代表は、緊縮増税派は与野党に関係なく敵だと見ています。たとえ、自民党が大勝しても緊縮派は許さない覚悟です。その結果、改憲が進もうと、なんだというのですか。枝野氏には消費税5%減税を受け入れなければ単独で戦うと宣言していますから、粛々と言ったことを実行するまでです。前言を翻すような人間ではありません。

れいわ新選組の候補が最低でも3人当選するならまずは充分です。もっと多く10人以上なら大勝利でしょう。一歩一歩進むしかない長期戦です。

れいわ新選組自民党を利するのではなく決定権のある枝野氏がお決めになることです。誤解なさらないで下さい。

 

 こんなコメントを書く人が、「信者ではない支持者」のつもりらしいから驚くほかないが、安倍自民党が圧勝して安倍晋三が終身総理大臣になろうが日本国憲法が「安倍憲法」に改竄されようが構わない、という意見は私には全く受け入れられない。安倍退陣は日本を良くするための十分条件では全くないけれども間違いなく必要条件ではあって、今はとにかく安倍晋三を引きずり下ろすことが最大の課題だと私は考えている。この立場に立てば、もし本当に山本太郎小選挙区自民党を助けまくるような候補者の擁立を本気で考えているなら、徹底的に山本を敵視して山本に対する非難の雨あられを降らせる以外にやることはない。自民党議席が大幅に増えた場合でも、たかだか10議席かそこらにしかならないであろう山本元号党の経済政策を安倍政権が取り入れてくれるとでもコメント主は本気で思っているのだろうか。もしそうだとしたら信じられないお花畑ぶりだ。

 しかし、山本太郎は本当にそんな馬鹿げた「ドン・キホーテ」的な選挙戦略を考えているのだろうか。ボタンを掛け違えたまま突っ走って、引っ込みがつかなくなりかかっているだけではないだろうかとも思うのだ。

 今ならまだ引き返せる。そして、山本太郎が本気で自らの政党を「公明や維新のような中規模の政党に」したいと思うのであれば、衆議院選挙制度比例代表を軸とした制度に変えるという目標を立て、「野党共闘」はそれを実現するための時限的な性格のものにするように「市民連合」や共産党に働きかけていくべきではないか。

 いや、枝野幸男だって、一昨年の衆院選で躍進した直後には「自民党に対抗する大きなまとまりを作る必要はない」と言っていたのだ。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 しかるに今では、小沢一郎らの強い働きかけを受けて、枝野は再び「二大政党制」を目指そうとしているかのように見える。

 これには、一昨年から現在までの間、衆院選選挙制度の議論がほとんどなされてこなかったことも影響しているだろう。

 特に、小沢一郎に強く影響された人たちや彼らと協力しようとする人たちが、選挙制度の議論を嫌う、ないし棚上げする状態がずっと続いてきた。これは根本的な誤りだと私は確信している。

 山本太郎は、徒に流れに乗ろうとばかりするのではなく、しっかりした戦略を立てる必要があるのではないか。

*1:この日記では現元号NGワードにしている。山本太郎が代表を務める政党を「山本元号党」と表記するのはこのため。

*2:https://twitter.com/hori_shigeki/status/1206695011691024384

*3:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191215-12150142-sph-soci