不起訴が決まって年内に「みそぎ」を済まそうという糸が丸見えの安倍晋三の記者会見が行われたが、安倍の第一公設秘書だった配川(はいかわ)博之は既に安倍の秘書を辞めているそうだ。
記者会見で安倍は議員辞職をしないのかと問われたそうだ。かつて「秘書ガー」と言って逃げた加藤紘一が議員辞職に追い込まれたことがあった。「加藤の乱」から1年あまりが経った2002年4月のことだった。安倍が議員辞職しないのかと問われたのは当然だが、厚顔無恥な安倍は議員辞職はしないと突っぱねた。
テレビのニュース番組では、安倍政権に対する姿勢が特に第2次以降の政権の前半には玉虫色だった後藤謙次が、当時の媚びへつらいが嘘のように安倍を切り捨てていた。また、安倍のスポークスパーソンともいうべきNHKの岩田明子ですら、おそらく不本意きわまりなかったに違いないが、安倍に対する批判的なコメントをせざるを得なかったようだ。
シブ5時。「最大の焦点は安倍氏が総理だった時、国会で事実と異なる答弁を何度も行ってきた、この責任をどう説明するか。一連の会計処理について安倍氏自身が知らなかったとはいえ、総理が国の最高機関で、少なくとも百回以上、事実と異なる答弁を行った事の道義的責任は重い」と岩田明子解説委員が… pic.twitter.com/WUqEI3W1IJ
— YAF (@yagainstfascism) 2020年12月24日
「安倍氏自身が知らなかった」と断定しているあたりに岩田の悔しさがにじみ出ていて笑えるし、「道義的」な責任しかないとでも思ってやがるのか、と悪態をつきたくもなるが、岩田の栄光の時代も安倍とともに終わった。岩田が出ているらしい「シブ5時」とかいう番組からも、来年春の年度末あたりには降板し、その後は徐々にテレビの画面に現れなくなるのではないか。
来年以降、「第5次安倍内閣」が発足する可能性も、もはやほとんどなくなったといえるだろう。安倍は既に手足だった配川博之を失っているし、コロナ禍への対応で安倍よりひどい無能さを露呈した「ガースーならぬスガーリン*1」菅義偉を再度内閣官房長官に起用することもできない。菅の化けの皮はもうすっかり剥がれ落ちているからだ。
もはや、安倍時代には戻れない不可逆的な変化が起きているとみるべきだ。この変化にいかに対応できるかが今後の政治家の課題になる。断言するが、自民党の政治家にはこの課題を解決することはできない。野党でも、現在の枝野幸男や志位和夫にはできない。もちろん玉木雄一郎だの前原誠司だの山尾志桜里だの小沢一郎だの山本太郎だの小池百合子だの吉村洋文だの松井一郎だの橋下徹だのといった有象無象は論外だ。
来年には自民党の誰かが菅の後継として第100代の総理大臣になるだろうが、候補には小物しかいないので、100番台の総理大臣が続くうちはこの国が「混沌の時代」から脱することはできないのではないか。その過程で、手の打ちようがなくなった自民党がいつか石破茂を総理大臣にすることがあるかもしれないが、もしそうなったとしても、政権発足直後には例によって高い支持率を得るに違いない石破内閣は、とんでもない反動政権になるだろう。石破は2012年の第2次自民党憲法草案に固執する人間だから当然そうなる。本当にできることがなくなった石破政権の終わりをきっかけに、自民党は今度こそ本当に崩れ去るかもしれない。
2020年代は2020年から始まるのか2021年から始まるのか。21世紀が2001年から始まったと同じように、2021年から始まると考えるべきだろう。2020年は長く害毒を垂れ流し続けた安倍晋三がようやく退場した「2010年代最後の年」といえる。2010年代は東日本大震災・東電原発事故の2011年に始まり、コロナ禍の2020年に終わる、災厄の十年紀だった。安倍晋三とは、その災厄の時期を象徴する人間だった。そしてコロナ禍は次の十年紀に引き継がれる。