kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

岸田文雄新政権はおぞましい「安倍スキ政権」

 自民党総裁選に勝った岸田文雄の人事で呆れたのは、官房長官細田派の松野博一を据えると報じられていることだ。普通は同志や腹心を官房長官にするイメージがある。

 もっとも、第2〜4次安倍内閣の時の安倍晋三はそうではなく、系列の異なる菅義偉官房長官に据えていた。その人事と、総理大臣就任早々に打ち出した金融緩和(安倍政権の経済政策の目玉)が2014年4月に実施された消費税率引き上げまでの短期間だけ効果を発揮した印象(あくまで印象に過ぎない。2014年以降は安倍政権の経済政策で評価できることなど何一つなかったからだ)が同政権を7年9か月も持たせた痛恨事に結びついた。安倍は菅の強権的(パワハラ的)政治手法を頼り、2016年以降はさらに幹事長に二階俊博を据え(2012〜14年は石破茂、14〜16年は谷垣禎一)、安倍・菅・二階のトライアングルが、2020年に新型コロナウイルスに攻め落とされるまで盤石の守りを築いたのだった。

 結局安倍晋三自民党内での絶大な権力ばかりが目立つ自民党内政局だった。菅義偉がいとも簡単に安倍に追い落とされたことは、昨年の安倍退陣が一部で言われた「反安倍の勝利」からはほど遠いものであったことをはっきり示した。そして新たに成立する岸田政権は、昔「角影内閣」と呼ばれた大平正芳内閣(1978〜80)や鈴木善幸内閣(80〜82)、それに「直角内閣」と呼ばれた中曽根康弘政権初期(1982年から田中角栄が倒れた1985年初め頃までの時期)を思い出させる。安倍晋三が安心できる「安晋政権」または安倍、菅、岸田の姓からとった「安倍スキ(安倍・菅・岸田)政権」あたりが適当な呼称ではないか。

 岸田は、参院選で一の子分だった溝手顕正の首を獲られても安倍の靴を舐め続けた。岸田新政権の人事が安倍の思い通りなのはその当然の帰結だ。唯一の取り柄は岸田が菅義偉のような過激な新自由主義者ではないことだが、そのメリットを安倍の復権が帳消しにしてしまうに違いない。

おぞましいの一語に尽きる。