kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

岸田文雄が自民党総裁選に勝った日、新型コロナウイルス感染症新規陽性者数の減少に「下げ止まり」の傾向が現れ始めた

 自民党総裁選に勝ったのは大方の予想通り岸田文雄だった。

 今回の総裁選で一番目障りだったのは「夕刊フジ」が高市早苗人気を過度に煽っていたことだ。それは、2012年衆院選前の「日刊ゲンダイ」を思い出させた。日刊ゲンダイは、政権交代のあった2009年を中心とする前後7年間である2006〜12年に、「左」ないし「リベラル」側の「信者」系、今で言うところの「限界系」の人々を煽るメディアとしての自らの性格を確立させたが、「夕刊フジ」が「右」側で同じ性格を確立させたのは、安倍政権が公文書の改竄・廃棄等の問題を引き起こした2018年だった。同紙は当初、安倍政権を批判する記事を連日掲載したが、おそらくそれに読者層からの強い反発があったのだろうが、すぐに安倍政権支持に回帰した。それだけではなく、従来同系列の産経新聞的な極右的性格よりも単純な自民党支持系の夕刊紙としての性格が強かった同紙は、専ら「右」の「信者」系(「限界系」)の読者のご機嫌を取る機関紙の旗幟をはっきりさせた。もちろんそれまでにも過激な「嫌韓・嫌中」の記事を連発するなど兆しははっきり見えていたが、それでも自民党総裁選で特定の候補者をこき下ろしたりはしなかったのではなかろうか*1。しかも、自民党総裁選の決選投票の都道府県票(地方票)で岸田はわずか8票しか獲得していない(ネオリベ河野太郎が39票)。つまり夕刊フジのスタンスは全国の平均的な自民党支持層の指向性とは異なる。ひたすら安倍晋三やその不愉快ななかまたちに媚びを売るばかりで、それは「左」で同様な商売をしている「日刊ゲンダイ」とまさに瓜二つなのだ。私は政治家としては岸田より河野の方がずっと大嫌いだが、「夕刊フジ」は「日刊ゲンダイ」と同じくらい嫌いになった。少し前まではあらゆるメディアのうち一番嫌いなのが「日刊ゲンダイ」だったが、今では「夕刊フジ」が「日刊ゲンダイ」と完全に同格となり、この夕刊紙2紙が同率最下位になった。

 岸田新政権は安倍晋三麻生太郎らの縛りを受けて前の菅義偉政権同様に失速する一方の政権になるだろうが、それでも岸田には政権発足早々にチャンスがある。それを一つ指摘しておこう。

 それは新型コロナ対応だ。このところ、いつ新規陽性者の下げ止まりが始まるかデータをチェックしているのだが、ついにその最初の兆しが現れた。

 このところ、新規陽性者数の7日間移動平均値の前週比は50%を超えて急速に下がっていたのだが、その前週比が27日のマイナス51.3%から28日にマイナス44.0%、29日、つまり昨日にはマイナス41.2%になった。つまり減衰のペースがやや落ちた。対数グラフで見る下がり方もやや鈍(なま)り始めた(下記グラフ参照。データはNHK*2による)。

 

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国内のCOVID-19新規陽性者数及び死亡者数 (2020/3-2021/9, 7日間移動平均対数=NHK)

 

 この傾向がずっと続くかどうかはまだわからないが、そろそろ警戒を始めた方が良い状態になってきた。これが底を打つようになり、さらに増加に転じた時点で素早く「第6波の兆し」を総理大臣自らが発信して、人と人との流れを制限する政策を打つ必要がある。前任者の菅義偉のように、国会で野党から質問を受けてもぬけぬけと第4波の立ち上がりを認めないなどというふざけた答弁をすることなど決して許されない。そんなことをやっていたから「後手後手の菅」と酷評されたのだ。

 岸田がニュージーランドのアーダーンと同じように、果断に「人流を制限する」政策をとれるなら、その時こそ「岸田は菅とは違う」として評価することにしたい。一方それができなければ「菅と大差ない」との評価を下さざるを得ない。

 岸田は総裁選中に「GoToキャンペーンの第2弾」だったかに言及していたと記憶するから、後者になる可能性がきわめて高いとは思うが‥‥‥

*1:また、2007年に成立した福田康夫内閣を思い出せば、同内閣は徹底した「反安倍」の性格を持ち、第1次安倍内閣の政策を次々と棚上げしていったが、それに対して「夕刊フジ」がヒステリックな福田康夫批判を展開したりはしなかったはずだ。

*2:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/