kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

新型コロナウイルス感染症新規陽性者数は現在日本が世界で最多らしいが

 下記のツイートで神子島慶洋氏が岸田文雄に対する嫌悪感を表明しているが、その気持ちはわからなくもない。私も、特に2019年の参院選で岸田が自らの派閥の長老である溝手顕正を見殺しにしてまで安倍晋三の靴を舐めていた頃には、しょっちゅう岸田の悪口を書き、あんな奴は絶対に総理大臣にしたくないと思っていた。

 

 

 私は岸田文雄個人もさることながら、10年前から宏池会そのものに否定的になった。その最大のきっかけは、自民党が下野して谷垣禎一自民党総裁になった時代に自民党が大きく右傾化したことだ。あの悪名高い自民党の2012年改憲草案も谷垣総裁の頃の産物だし、安倍晋三がそれまで祝電を送る程度の、後年と比較すれば「消極的な」関与に過ぎなかった統一教会との関係を、本当に「ズブズブ」なものに転化させたのも、谷垣が総裁の頃だった。自民党は谷垣総裁時代に「政権を奪回するためには手段を選ばない」政党と化した。宏池会こそ清和会と並ぶ自民党の二大病根ではないかとすらひそかに思うようになった。そう考え始めると、1978〜80年に総理大臣を務めた大平正芳の「小さな政府」志向も、のちに総理大臣になった中曽根康弘(在任1982〜87)よりも早く新自由主義的政策の先鞭をつけたともいえる。そしてその宏池会への傾斜が強い朝日新聞に対する懐疑心も強くなり、ついには購読を止めた。もっともこれは積極的に解約を申し出たのではなく、契約期間が切れたのに更新を求めに来ないから放置していたら、1年ほど無代紙を配達していたあとについに来なくなっただけである。私が住む地域では朝日の販売店は産経の販売店を兼ねていて、朝日・産経両方の拡販にいたって不熱心なのである。東京東部というのは面白いところで、括弧付きの「リベラル」も弱いが産経的なネトウヨも弱い。毎日新聞は朝日よりももっと極端に弱い。政党では自民党がもちろん強いけれども公明党共産党も強く、立民だの×××新選組だの*1はきわめて弱い。それでも江東区などはまだそれらの程度が軽いというか、豊洲その他を抱えているために中央区的な地域も一部抱えているが、江戸川区葛飾区ではこれらの傾向がより顕著であるように思われる。

 話が逸れたが、ことに安倍政権時代や菅義偉政権時代には岸田文雄に対しても「安倍晋三の靴舐め野郎」として激しく嫌悪していたし、今でも安倍晋三射殺直後にいち早く安倍の国葬を打ち出したり、原発再稼働について安倍や菅でさえ見せなかった超積極的な態度を見せるに及んでは、なんだこいつは、と激しく反発している次第。岸田のエネルギー政策は、安倍や菅と比較しても極悪そのものだ。私が岸田を絶対許せないと思うのは、昨日も書いた清和会に対する弱腰や右傾化を強めていることに加えて、岸田が原発再稼働に極端に前のめりになっていることだ。原発については岸田は東電原発事故より前の鳩山由紀夫*2と同じくらいひどく、この点に関しては安倍や菅義偉などまだかわいいものだった。

 しかし、岸田政権のコロナ対策に関しては少し違う。現在は日本の新規陽性者数が世界最多とのことだが、多くの国では既に大きなピークを経験しており、現在は感染の波の後期に当たるため新規陽性者数が減っているだけだからだ。

 たとえばコロナの初期には韓国が称揚され、その後も長く台湾とニュージーランドが称揚されたが、検索語「韓国(台湾、ニュージーランド)」と「コロナ」を掛け合わせてネット検索をかけると、韓国では今年3月18日に新規陽性者数62万人以上を記録しているし、台湾は同5月27日に9万5千人近く、ニュージーランドも同2月28日に3万2千人以上を記録している。韓国は一時は新規陽性者数を急減させたものの、現在再び急増中だし、台湾はオミクロンの新規陽性者数は日本と同じようにゆっくりしか減少しなかった。またニュージーランドでは7月12日に新規陽性者数11,806人のピークを記録した。

 韓国の人口は日本の約4割だから韓国での3月のピークは日本でいえば1日150万人の新規陽性者にあたる。また台湾の人口は日本の5分の1に満たないから5月のピークは日本だと1日50万人ほどに当たる。ニュージーランドの人口は日本の4%程度だから2月のピークは日本だと1日あたり70万人台に当たる。

 このように見てくると、比較的早く破綻した韓国はともかく、台湾やニュージーランドでさえ防ぎ切れなかったオミクロンを抑えるには、中国のような強烈な人の移動の制限をするしかないと思われる。中国でも今年4月14日に新規陽性者数29,520人を記録しているが、日本の人口に換算すると2千数百人にしか相当しない。しかし人権抑圧ともいえる中国のコロナ対策が良いとは私には思えない。

 感染の波のどの段階にあるかを無視した、ある期間でのコロナの新規陽性者数の議論は無意味だと思うのである。

 ついでに書くと、日本は新規陽性者数は最多だけれども死亡者数はアメリカの10分の1だ、などと言っている。しかし日本はまだ第7波の初期段階だから死亡者はこれから増えるのである。もっともアメリカはコロナに関しては最劣等生であり、コロナ死はもう100万人を突破している。アメリカではもうしばらく前から感染の波というよりは増えも減りもしない定常的な蔓延状態にあるようだ。グラフを見て呆れ返ってしまった。アメリカの影響は全世界に及ぶから、さしもの台湾やニュージーランドも一時は防ぎ切れなかったのも仕方ないかと思ってしまう。

 そんなわけで、総理大臣が安倍晋三菅義偉だったら日本政府のコロナ対応は今の岸田政権よりマシだったに違いないとは私には全く思えないのである。ことに菅義偉が今も首相であれば、状況は現在よりさらにずっとひどかったに違いないと思う。菅という人間はコロナ禍が拡大すればするほど「逆張り」して「経済を回す」ことに血道をあげたどうしようもない宰相だった。極右趣味の強さでは安倍晋三の方がひどかったが、菅は最悪のネオリベ宰相としての悪印象が強烈だ。前の2人があまりにもひど過ぎたために岸田が相対的に得をしてしまっているのは、残念ながら致し方ないと思う。

*1:時折私は、この2党の支持者間の激しい敵対感情は近親憎悪みたいなものだと思うことがある。

*2:鳩山政権は気候変動対策として原発の野放図な増設を計画しており、それは東電原発事故以前の菅直人政権にも引き継がれていた。