kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

きたる新型コロナ第6波では、新規陽性者数の増加が認められた時点ですぐさま緊急事態宣言を発出せよ

 昨日(9/21)は三連休明けの日だったので、その前の2日間が休みの日であり、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数は特に少なかった。

 新型コロナウイルスの感染について、既に第5波まで経験したわけだが、いつも同じ間違いを繰り返していることに呆れている。

 ことに、安倍・菅両政権や、それを支持する側の言説がひどい。

 彼らは感染の波の初期には「日本の死亡率は低い。世界各国と比べてみよ」という。第5波でも、フジテレビが「直近1週間の日本での致死率は0.12%だった。世界のどの国よりも低い」などと言っていた。しかし「直近1週間の致死率」は感染の波の初期では低いが、後期には高くなる。昨日(9/21)の7日間移動平均値で計算すると、直近1週間の日本での致死率は1.3%だった。つまり、ファクトチェック式にいえば、フジテレビの「報道」は誤りである。

 また、彼らは感染の波の後期になると、「医者たちが言っていた行動制限には意味があったのか」という。その典型例は麻生太郎だ。麻生のような無能、かつ12年前に惨めな政権交代に追い込まれた「元負け犬」が今も政権内に強い影響力を持っている。

 麻生の暴言には、強い行動制限を行ってきた国は感染を抑え込んでいるという事実を挙げるだけで十分だろう。ニュージーランドが代表例だ。台湾も、今春油断して行動制限を緩和するまでは感染の抑え込みはほぼ完璧だったが、ちょっと制限を緩和しただけで、一時は日本での第4波に匹敵するか、それを上回るほどの感染爆発を招いた。その後は制限の再強化と、ポテンシャルとしては持っていた検査能力*1を使って再び感染を抑え込むことに成功したが。

 特に何度指摘しても指摘しすぎではないと確信しているので何度も書くが、ニュージーランドのアーダーン首相が、1人市中感染者が出ただけでロックダウンに踏み切ったことだ。

 これが感染拡大を抑える最大のポイントなのだ。

 以下に、日本国内の新規陽性者数7日間移動平均値の片対数グラフを示す。データはNHK*2による。

 

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国内のCOVID-19新規陽性者数及び死亡者数 (2020/3-2021/9, 7日間移動平均対数=NHK)

 

 現在は、新規陽性者数が指数関数的に減少している段階だ。その下り勾配(傾き)は、第1波の減衰には及ばないものの第2〜4波のいずれよりも大きい。第1波の行動制限が一番厳しく、第2波ではそもそも緊急事態宣言が出されなかったので減衰は緩やかだった。これだけでも麻生の暴言を否定するには十分だろう。だが、この記事で本当に言いたいことはそこではない。

 三連休という攪乱要因があるので、その影響を受けない一昨日(9/20)のデータを用いると、新規陽性者数の7日間移動平均は前週比マイナス45.2%だった。9月16日頃からこの減少率がずっと続いている。

 第3波や第4波の前例を参照すると、この急減期は3週間ほど続くが、そのあとまず減衰が鈍(なま)り、次いで新規陽性者数が減りも増えもしない「底」の状態が続き、ついには新規陽性者数が再増加に転じる。

 遅くとも新規陽性者数の再増加が認められた時点で直ちに「人と人との接触を減らす」政策、具体的には最低でも緊急事態宣言を出さなければならないというのが、この記事で私が言いたいことだ。菅政権ができなかったのは、まさにこのことだ。安倍政権も第1波で緊急事態宣言の発出が遅れたが、反安倍の私としては残念ながら初回だからという言い訳が成り立つ。第2波以降はすべて菅義偉の責任になる。特に、菅が総理大臣に就任した昨年9月中旬の時点では新規陽性者数は底を這っていて、新規陽性者数が増加に転じた時にはすぐにでも緊急事態宣言を出さなければならなかったが、菅は第2波では何もせずGoToキャンペーンにかまけ、第3波も新規陽性者数が爆発的に増えるまで手を拱いていた。山本一郎などは、この菅のワクチン政策のおかげで多くの人命が救われたなどと抜かしているが、それ以前に第2〜5波を通じて菅が人と人との接触を抑えなかった、あるいは抑えるのが遅れたために数多くの人命が失われたことを忘れてはならない。同じことが大阪府知事・吉村洋文や東京都知事小池百合子についてもいえる。

 私は1週間に一度(場合によっては今回のように二度以上)NHKのデータをダウンロードして7日間移動平均値の前週比増減を表ですぐ確認できるようにしているので、減少が鈍ったり、再増加に転じた時にはすぐに記事で警告を出すようにはしている。しかし、新規陽性者数の再増加が間違いないと思った時点で「今こそ緊急事態宣言を発出すべきだ」とまでは書かなかった。第6波は必ずや来るに違いないと確信しているので。その時には新規陽性者数再増加が確認された時点で直ちに緊急事態宣言発出を求める記事を公開したいと考えている。

 その時に緊急事態宣言の効果をはっきり現出させるためにも、明らかな感染の減衰期にある現在出されている緊急事態宣言は解除しても良い、というより解除した方が良いだろう。本当は、ニュージーランドのように強い制限をずっと維持した上で、感染が増えそうだとみた時点で直ちにロックダウンに踏み切れるような態勢がとれることが理想なのだが、何事も一足飛びには変えられない。まずは、緊急事態宣言が本来の効果を発揮できるようにするために、多少のデメリットはあっても、ここはいったんはっきり宣言を解除した方が良い。

 今回言いたいことの核心は、指数関数的増加が最初に確認された時点で直ちに人と人との接触を抑えよということだ。

 これはある意味で、財政政策に似ている。財政再建は経済の拡大期にこそやらなければならない。経済の縮小期には財政政策が必要だ。しかし、日本のかつての竹下政権の1989年も、小泉政権の2001〜2002年も、それとは逆のことをやって失敗した。現在の立憲民主党(立民)支持者の一定割合(それもかなり多い割合)や自民党総裁選に出馬している河野太郎は、小泉純一郎と同じ誤りを犯しているようにしか私には見えない。

 新型コロナにしても財政政策にしても、(感染や経済の)拡大初期にこそ緊縮策をとるべきなのだ。但し、財政政策に関してはもう日本国民は相当疲弊しきっているので、今後経済の拡大期がきた場合でも、あまりにも早く緊縮に舵を切るべきではなかろうが。しかし現在が「緊縮」財政政策をとるべき時期では全くないことはいうまでもない。

*1:台湾は平時には必要な検査しか行っていなかったため、平時での検査数は決して多くなかった。しかし、感染が拡大した場合にも対応できるように、十分な検査能力を備蓄していた。

*2:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/