kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

2021年1月の日本国内COVID-19新規陽性者数・死亡者数はいずれも過去最多

 昨年8月以降、NHKの報道に基づいて月間の国内COVID-19(新型コロナウイルス感染症)新規陽性者数と死亡者数の結果を、半ば機械的にエントリにしてきたが、その作業がちょうど半年になるのを機に、公開のスタイルを変えることにした。

 下記NHKのサイトから、国内で最初の陽性者が出た2020年1月16日以降の、日毎の新規陽性者数と死亡者数のデータをダウンロードできるので、それを利用して、2020年3月1日以降の全期間のグラフを作り、それを示すことにした。毎月1日には、前記期間のグラフをリニアと片対数の2種類と、2020年1月以降の月毎の数値の片対数グラフの計3種類を示す。

 

www3.nhk.or.jp

 

 今までは、NHKが速報したあとの、自治体からの発表に基づくデータの修正は無視してきたが、定期的にNHKのデータをダウンロードしてグラフに修正を反映させることにした。だから、下記の月毎のグラフに示した値は、これまで公開してきたエントリの数字と若干異なっている。

 

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国内のCOVID-19新規陽性者数及び死亡者数(2020/3/1以降7日間移動平均linear=NHK

 

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国内のCOVID-19新規陽性者数及び死亡者数(2020/3/1以降7日間移動平均片対数=NHK

 

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国内のCOVID-19月間新規陽性者数及び死亡者数(2020/1-2021/1片対数=NHK


 一番下のグラフに示した通り、2021年1月の新規陽性者数は154,239人、死亡者数は2,261人で、いずれも過去最多となった。

 これらのグラフを作りながら、過去1年あまりのことをいろいろ思い出しながら、安倍政権及び菅政権の新型コロナ対応の問題点を思い返していた。

 まず思ったのは、結局グラフはずっと右肩上がりではないかということだ。第1波の緊急事態宣言では、安倍晋三が「ほぼ終息させた」とか抜かしていたが、結果を見るとどう見ても緩和を急ぎすぎた。だから欧州よりも早く第2波に見舞われた。

 しかし幸か不幸か、第2波は「夏の新型コロナ」だった。1年間のデータを見ていて思ったのだが、「夏のコロナ」は死亡者がえらく少ない。人体の免疫力は夏の方が冬よりも強いそうだが、その影響か、昨年5月までを第1波、6月から9月までの4か月を第2波、10月以降を第3波と仮に分けて致死率を見ると、第1波は致死率5.3%、第2波は同1.0%、第3波は同1.4%となる。だが第3波の死亡者は今月もかなり出ると考えなければならないので、第1波の時にも見られた通り、致死率は最終的には今の1.4%よりかなり高い2%前後になるのではないか。季節要因が相当ありそうに思われる。もちろん検査の拡充による陽性者の捕捉率向上も第2波での致死率低下につながったとはいえると思うが。

 ただ、昨年7月が第2波の立ち上がりの時期に当たり、その頃には第1波による死亡者もほとんど出なくなっていたので、月間死亡者は39人、1日平均1.3人にとどまった。これによって「ウイルスの弱毒化のおかげだ」という俗説が広まったと思われる。ウイルスの弱毒化は有力な学説ではあるが、昨年夏にウイルスが弱毒化したというエビデンスは、それこそ全くない。単なる季節要因だったと私は考えている。

 良くなかったのは、この「弱毒化説」が新型コロナを侮る風潮を呼び込んでしまったことだ。宮沢孝幸がテレビで宣伝した中野貴志大阪大教授(原子核物理専攻)の「K値理論」がそれに拍車をかけた。これに乗っかろうとした軽佻浮薄な首長が大阪府の吉村洋文と神奈川県の黒岩祐治だ。この2人のせいで大阪府民と神奈川県民は大いに苦しめられることになった。

 この間、安倍晋三は伝統的に右翼国粋主義的な傾向の強い経産省の、また菅義偉グローバル資本主義系の新自由主義の権化ともいうべき竹中平蔵の影響がそれぞれ強い国政を行った。2人の方向性には違いがあるとはいえ、ともに人命や健康を軽視する点では共通していた。それでも安倍の場合は自らが持つ極右的な価値観とは関係ない新型コロナ対策に関してはまだ価値中立的なところがあったが、菅は「経済を回す」ことばかりに固執した。夏の第2波で死亡者が少なかったこともあって、安倍も菅も新型コロナ対策をおろそかにしやがった。秋冬の感染拡大の恐れがずっと指摘されていたにもかかわらず。

 それが第3波での一時的な感染爆発につながった。昨年の大晦日に1日の陽性者数が突如1000人を大きく超えた時、ようやく菅も観念して1月8日からの11都府県を対象とした緊急事態宣言発出を決断した。しかしその決断はあまりにも遅すぎた。

 昨夜(1/31)、テレビ朝日サンデーステーションを見ていたら、緊急事態宣言を当初の予定通り2月7日に終えた場合と3月7日まで延長した場合の2通りのシミュレーションを示していたが、3月7日まで延長して解除した場合でも、解除の時点での国内の陽性者数は1000人を超えるグラフが示されていた。この場合にも、9月には今年初めに記録した最悪の水準にまで戻ってしまうが、その頃にはワクチンの接種が進んでいるはずだから云々などと能天気な議論をしていた。いつの間にか、悪い感染状況を前提とした議論に慣れ切ってしまっているのだ。慣れとは恐ろしいものだ。

 一つ例を挙げると、安倍晋三が昨年2月27日に小中学校の一斉休校を発表した日、日本国内の新型コロナウイルス感染症の陽性者累計は214人だった。また、安倍が最初の緊急事態宣言を発出した同4月7日には、陽性者累計は4,478人だった。それが昨日までで389,975人に達している。安倍が小中学校の一斉休校を発表し、それに連動して全国の多くの図書館で閲覧室が利用できなくなった頃の約2000倍、安倍が最初の緊急事態宣言を出して飲食店以外の多くの店が営業を一時休止した頃の約100倍の陽性者累計に達しているのだ。

 第3波は第1波のちょうど9か月遅れだから、今月は昨年5月の感染状況に対応すると考えられる。上記一番下のグラフに示した通り、昨年5月の陽性者数は4月の20.3%だった。つまり月間陽性者数は緊急事態宣言によって4月の5分の1になった。しかし昨年5月の死亡者数は4月より13%増えた。5月が大の月であることを考慮しても、1日あたりの死亡者数は9%増えた。1月が大の月だったのに対して2月は28日しかないけれども、これを考慮しても2月には1月と同じくらいの死亡者数が出ることを覚悟すべきかもしれない。第1波の時に死亡者が目に見えて減っていったのは6月だった。それで7月にはわずか39人の死亡者しか出なかったが、その時の緩みを安倍政権と菅政権が全然引き締めなかったことがその後の感染拡大に繋がった。両政権の責任は重い。