kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

自民党総裁選はプロ野球・読売の中田翔に似ている

 プロ野球・読売の「自力優勝」が消滅した。めでたい話だが、自力優勝消滅となった阪神戦で、一打同点のチャンスに出てきた暴力選手・中田翔の凡退が読売の敗戦をほぼ決定づけた。

 中田はシーズン中に暴力事件を起こして出場停止になっていたのを、読売がトレードで獲得し、移籍直後だけは活躍していた。この移籍劇と中田の活躍を、昔から読売を援護し続けてきたスポーツ紙やテレビがあたかも「美談」であるかのように報じたことには呆れたが、一時的に移籍で発奮した中田はすぐに元の木阿弥になり、最後にはむしろ読売の足を内側から引っ張る存在になった。

 ふと、自民党総裁選はこの中田に似ていると思った。総裁選により自民党に注目が集まることで、「悪名は無名に勝る」を地で行く形で自民党政党支持率が上がっている。しかし、この一時的なカンフル注射の効果はいつまで持つのだろうか。

 自民党は読売球団よりもしぶとそうだから、あるいは衆院選は乗り切ってしまうのかもしれない。しかし、長続きはしないのではないか。総裁選は決選投票で岸田文雄河野太郎を逆転する形がほぼ見えてきたが、党内極右勢力に配慮せざるを得ない岸田も、菅と同様に内閣支持率は最初が一番高く、以後は落ちる一方になるだろう。

 また、コロナでも思い切った施策はとりようがない。たとえば、PCR検査数を思い切って増やすなどという政策はとれない。

 

 

president.jp

 

 以前にも何度か書いたと思うが、今春、台湾でコロナの感染爆発が起きる直前に台湾のPCR検査数を調べたことがある。その頃、台湾は検査数を絞り込んでいた。陽性者はごく少なかったが、検査の陽性率は1%くらいあった。しかし、台湾は感染爆発した時に備えてPCR検査の十分なキャパシティを確保していた。

 台湾当局の失敗は、「ぽろぽろと本土感染が出て来て、嫌な感じは漂っていた」(上記リンク先より引用)段階で、ニュージーランドのアーダーン首相のようには果断に動かなかったことだ。それどころか、入国者の待機日数を減らすなどの緩和策をとった。それが5月の感染爆発を招いた。その後に行動制限を行うと同時に備蓄していたPCR検査数を用いて感染を抑え込んだのはさすがだったが、感染拡大期に人と人との接触を十分に抑えなかったために一時は危機的な状態を招いた。私はいつも「感染拡大が確実に判断できる段階で直ちに人と人との接触を抑えることが一番大事だ」と言っているが、その鉄則を守らなかったのが台湾の失敗の原因だった。

 とはいえ、日本のコロナ対応はその台湾に全く及ばない。首相・菅義偉は第4波の到来すら認めなかった。またPCR検査数を増やさないのは、政府支出を何が何でも増やしたくないという菅の「市場原理主義新自由主義」的イデオロギーによる。菅は学術的知見よりも自らのイデオロギーを重視する政治家だが、こんなのに総理大臣をやらせている国のコロナ対応がうまくいかないのは当然だ。自民党支持者の多くは外国よりマシだというが、彼らが言う外国とは欧米、特にアメリカを指している。アメリカはトランプがいたためにコロナ対応が滅茶苦茶だった。それにアメリカは市場原理主義新自由主義の本家本元の国であって、そんな国よりはマシだと言っても何の自慢にもならない。

 河野太郎が総理大臣になる可能性がかなり小さくなってきたようだが、万一河野が総理大臣になった場合には、菅のコロナ対応が継承されるし、自民党が総選挙で勝つ確率も上がるから、その事態は避けてほしい。また高市が総理大臣になった場合は日本は国際的に孤立するし、高市もまたネオリベなのでコロナ対策も全く期待できない。自民党の話だから外野から何を言っても仕方ないが、せめて河野と高市くらいはきっちり排除できなければどうしようもない。

 仮に岸田が総理大臣になるとして、いつ岸田自民党を政権から引きずり下ろせるか。せめてその程度の課題にならなければ話は始まらない。

 自民党総裁選の効果を、読売球団の中田翔並みの線香花火に終わらせることが果たしてできるかどうか。