kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

安倍晋三が仕掛けた「新総理による内閣発足早々の解散総選挙」は「憲政の常道」に反する暴挙だ/プチ鹿島氏が「河野太郎が“安倍後継の本命”だと思うワケ」

 弊ブログは、一日も早く自民党を政権の座から突き落とすことが今の日本にとって喫緊の課題だとずっと書き続けている。このため、いかに「野党共闘側」、とりわけ野党第一党である立憲民主党(立民)にとってリスクが大きかろうが、きたる衆議院総選挙で政権交代が起きることが望ましいという立場だ。なぜなら、日本国民及びこの国に住む人間の多くにとっては、準備不足の立民が与党第一党になるリスクよりも、自民党政権自公政権)が続くリスクの方がはるかに大きいと確信しているからだ。これには新型コロナ対応の問題が大きい。安倍晋三政権と菅義偉政権の新型コロナ対応はあまりにもひど過ぎた。私が自公政権のこれ以上の存続を全く望まないゆえんである。

 しかし現実には総選挙での政権交代は決して容易ではない。なぜなら、自民党というか安倍晋三が、衆院選直前の自民党総裁交代という禁じ手を仕掛けてきたからだ。

 昨年菅義偉が総理大臣に就任した時、私は政権発足早々に菅が衆議院を解散するだろうと予測したが外れた。当時このブログの常連コメンテーターだった人が、政権発足早々の解散など前例がないからやるはずがないと書いたが、確かに前例はない。2008年に麻生太郎がこれをやるチャンスがあったが、衆院選敗北を恐れた森喜朗らが麻生を「羽交い締め」*1して、麻生は解散できなかった。その結果2009年の政憲交代に追い込まれた。

 菅も「憲政の常道」に従ったのと、もう一つには菅が「俺にならコロナ対応をうまくできる」という意味不明の確信を持っていた節があったため*2、解散はしなかった。

 「憲政の常道」に従えば、菅の辞意表明の直前まで観測されていた通り、衆議院解散をできなかった菅が任期満了選挙を決断すべきだった。そのために自民党総裁選を先送りすることくらいは許されるだろう。自民党の党則よりも「憲政の常道」が優先されるべきであることは当たり前だ。

 しかし、菅は解散権を行使したがった。自民党総裁選の先送りと衆議院の解散の両方をやりたがり、その相談を安倍晋三麻生太郎(いわゆる「2A」)に持ちかけた。その結果、あえなく「2A」というか安倍晋三に切られてしまった。菅には「安倍晋三何するものぞ」の気概の持ち合わせなどなかった。その程度の気概さえ持たない人間に、総理大臣は荷が重すぎた。菅は、弱者には苛烈で強者には卑屈という忌むべき人間の典型だった。

 その結果、「総理大臣就任早々に衆院選」という、憲政史上例のない暴挙が行われることになった。以下、東京新聞共同通信の配信)から引用する。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

衆院選、11月前半が有力 所信表明、代表質問後か

2021912 0601 共同通信

 

 政府、与党内で11日、自民党総裁選後の政治日程について、10月初旬に臨時国会を召集し、首相指名を受けた新首相が所信表明演説と各党による代表質問後、衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方が強まった。その場合、10月中の衆院選は困難で、「10月26日公示―11月7日投開票」か「11月2日公示―14日投開票」が有力視される。

 衆院議員の任期満了は10月21日。投開票日は日曜が慣例で、公選法により、任期満了に伴う場合、最も遅い投開票日は11月14日。解散の場合は同28日となる。新首相が最終的に判断する。

 

東京新聞より)

 

出典:https://www.tokyo-np.co.jp/article/130392

 

 この記事には、新首相が任期満了を選択する可能性があるとも書いてあるが、想定されているのはあくまでも新首相による衆議院の解散だ。そして、いずれの場合でも発足したばかりの新首相が与党の党首になって衆院選が行われる。

 これを、45年前の任期満了選挙と比較すれば、1976年には自民党内の「三木おろし」によって解散を封じられた三木武夫が任期満了選挙に追い込まれたが、自民党内の三木おろしによって、「三木では衆院選に勝てない」という理由で自民党総裁が交代したりなどはしなかった。これは、三木が自民党内でもっとも勢力が強かった派閥の領袖にしてロッキード事件での逮捕により自民党を離党していた田中角栄の政敵であり、「角栄何するものぞ」の塊のような人間だったからだが、この任期満了選挙の結果、自民党は正しく「4年間の田中・三木政治の審判」を受けることになった。これぞ「憲政の常道」である。

 これに対し、今回は岸田文雄がなるのか河野太郎がなるのか、はたまた論外中の論外であるネオナチの高市早苗がなるのかは知らないが、まだ新総理がボロを出さないうちに新総理・総裁の「人気」による目くらましで衆院選を乗り切ろうというのだから、憲政の常道に反した暴挙と評するほかない。

 だが、今回の政変を仕掛けた安倍晋三が4年前にやったことを思い起こせば、「安倍ならやりかねない」ことが理解できるはずだ。

 2017年の都議選で、小池百合子が仕掛けた「都民ファ□ストの会」が圧勝して自民党が大敗し、安倍内閣の支持率が大きく下落した*3。小池が次に狙っていたのが総理大臣だったことは明らかで、そのために「希望の党」の政局のはかりごとを、前原誠司及び小沢一郎と相談しながら進めていたに違いない。その第一歩が民進党代表選であって、そこでは前原が枝野幸男に勝つ必要があったが、これはうまくいった*4。しかし、小池・前原・小沢らの計画が進む前に、おそらくはそれを察知していた安倍晋三は「大義なき衆議院解散」をやったのだった。安倍が解散しそうだとみるや、本当は数か月をかけて行う予定だったに違いない政変が次々と起きた。小池による「希望の党」の発足と、民進党の解散及び「希望の党」への合流、前原・小池(・小沢*5)らによる「リベラル」派の排除と、排除された人たちによる新党(旧立民)の結成。これだけのことが、まるでビデオの早送りを見るかのように短期間で起きた。

 しかし安倍による解散総選挙の効果は絶大で、自公は圧勝し、希望の党は自民と戦う前にまず立民との戦いに追い込まれたが、野党や無党派層の多くは希望と立民との比較では立民を選ぶ人の方が圧倒的に多かったために小池と前原の野望は潰えた。その結果、民主・民進系右派は大きく没落し、「野党共闘」は立民と共産を軸にして進むことになった。

 話がずいぶん脱線したが、この時の安倍による解散も、単に「小池百合子が総理大臣を狙う態勢を固める前に先制攻撃を仕掛ける」という狙いから行ったものに過ぎず、解散の大義名分など全くなかった。これに対する批判は一定程度はあったが、マスメディアが声を大にして「大義なき解散」を批判したとは決していえなかった。

 今回もそうだ。安倍が手前勝手な理由で政変を起こし、「目くらまし解散」あるいは「猫だまし解散」を新首相にさせようとしていることを、メディアは正面切って批判などしていない。もちろんそういう記事(や放送媒体による解説)はある程度はなされているだろうが、それらがマスメディアの論調の主流になることはない。

 今回の政変は、下記リンク先でプチ鹿島氏が正しく指摘している通り、安倍晋三が仕掛けた「安倍を取り戻す」プロジェクトの一環であって、現在の日本をここまで腐敗させた元凶が安倍晋三であることをはっきり示すものだ。

 

bunshun.jp

 

 上記コラムでプチ鹿島氏が書いた「安倍を取り戻す」という表現はあまりにも正確に的を射ているし、鹿島氏が書く「河野太郎が『本命』だと思う理由」も、河野の本質の核心を射貫いていて、みごとの一語に尽きる。実は今回はこの記事をメインに取り上げるつもりだったが、前振りだったはずの安倍晋三批判が長くなり過ぎた。今回は鹿島氏のコラムの結びの部分のみを引用する。

 

 河野氏は最近出した著書で、

《初入閣当時、「河野太郎は、入閣したらエネルギーのことは言わなくなった。けしからん」となどと批判し始めた「有識者」がいました。そういう人たちほど、実際の議論や政策には関心がないのでしょう。》

 と書いています(『日本を前に進める』PHP新書、P159~160)。

 

河野太郎が「本命」だと思う理由

 

 そこまで言うなら、原発に関してブログを削除したことは何だったのか。ツイッターでブロックして言いたい放題になるのと同じです。河野氏は過去を大事にしない。本当に「保守」なのだろうか。

 そしてまだ、河野氏は通りすがりに直接罵倒されているからブロックしているかのように答えています。10日放送の「ニュース23」(TBS系)でもそうでした。つまり「テレビ出演中も平気で論点ずらしをする人」ということになる。たかがツイッターに関しての答え方がこれなら、重要な政策についての言説も今後このようにごまかす可能性がある。神は細部に宿る。河野氏は「発信力」があると言われるが本当でしょうか。記者やキャスターはなぜエゴサブロックやフェイクニュースツイートの危うさを問わないのでしょうか。

 河野氏は言葉の言い換えで押し切るという点では安倍前首相を、「発信力」の怪しさという点では菅首相を継承している。

 安倍・菅政治を変わらずに続けるという意味で本命候補なのかもしれません。

 

プチ鹿島「『森友問題を蒸し返すな』総裁選に“安倍の黒い影”が…「異端児」河野太郎が“安倍後継の本命”だと思うワケ」(文春オンライン 2021年9月14日)より) 

 

出典:https://bunshun.jp/articles/-/48583?page=3

 

 しかしこの河野を、安倍は3人の候補中もっとも嫌っている(河野以上に安倍が激しく嫌っているのは石破茂だが)。また、ネトウヨや『夕刊フジ』なども河野攻撃に余念がない。だが私は、政権批判層の人たちに対して、決して「敵の敵は味方」だと思ってはならないと言いたい。河野太郎が総理大臣になったら、河野が流す害毒は安倍や菅に決してひけをとらない。高市早苗に至っては安倍の思想信条の同志である極右新自由主義者なので論外中の論外だ。結局「安倍が担ぎたい軽い御輿」に過ぎない「安倍の靴を舐め続ける」岸田が相対的に一番マシということになってしまう。

 もうこれは一刻も早く自民党を政権から追い落とすしかないことは明らかだ。いかに、それに至る視野が開けている状況とは全くいえなくとも。

*1:当時の報道が用いた表現。

*2:私には菅の妙な自信は全く理解不能だったが。なぜなら、菅が信奉する新自由主義と新型コロナ対応の政策の相性が最悪であることは明らかだったからだ。結局私の素朴な直感の通りだった(笑)。

*3:これを当時私は「悪い内閣支持率下落」と評した。というのが安倍批判層の多くが期待したのが、安倍と同じ極右にして新自由主義者である小池百合子だったからだ、

*4:当時、現在「野党共闘」の軍師格のようになっているさる政治学者が、前原でも枝野でも「野党共闘」を進めてくれるだろうとの空しい期待を連日ツイートし続けていたが、もののみごとにかれの予想が裏切られた記憶は鮮烈だ。なぜなら、前原が勝てば小池百合子と野合するであろうことを私はブログ記事で正確に予測していたからだ。

*5:小沢を括弧に入れたのは、首謀者の1人のはずだった小沢一郎までもが小池百合子によって「排除」されてしまったからだ(笑)。