kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

過激な新自由主義者・菅義偉の政権は、やはり1年しか持たなかった

 昨夜(9/3)公開した下記記事に、嬉しいコメントをいただいた。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 五迷

はじめてコメントさせて頂きます。
kojitaken様が約1年前に菅政権が誕生する際に
新自由主義の菅ではコロナに対処できず、
支持率を下げて行き詰まるだろうと予想された
通りになりました。コロナ感染者などの数値の分析も明快で、おおいに参考にいたしております。
政治家の資質や歴史の教訓から政治の見通しを立てられ、それが見事に的中するとは、まさに世の流れの本質を見極められているとしか申し上げようがありません。
 最初その予想を読んだ時は、論理的には納得できるものの、菅氏も安倍長期政権を支えた切れ者官房長官などと囃されていて、安倍よりは後任なだけにコロナ対応も上手くできるのではとも
思い、正直半信半疑でしたが、結局全く状況分析力欠如した政権でしたし、私も見る目が曇っていた訳です。
自民党の選挙は総理大臣を決めるので、注目があつまるのは仕方がないです。野党もそれに対抗する発信が求められるでしょうか。

 

 はじめまして。

 身に余るお褒めのコメント、どうもありがとうございます。

 弊ブログの予想はあまり当たらないのですが、菅義偉の如く絵に描いたようなネオリベや、小池百合子の如く、同じく絵に描いたような極右(小池はネオリベでもありますが)が相手だと、さすがに当たるようです。弊ブログとしては、4年前に小池百合子民進党内リベラル派を「排除」することをその2か月前に言い当てたこと以来のヒットかなとは内心思っておりました。

 以下「ですます」調から常体に戻す。そんなわけで、過去の記事からいくつか拾う。

 まず、菅のネオリベ性に対する批判(2020年9月5日)。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 記事は引用しないが、菅義偉と民民代表の玉木雄一郎はともに大平正芳の流れを汲む新自由主義者だとして2人を批判した。いうまでもないが、岸田文雄宏池会に属しているのでもろ大平の流れを汲む。従って岸田のコロナ対応にも大して期待できない。もちろんどうしようもなかった菅よりはいくぶんマシではあろうが。

 自民党内のネオリベには大きく3つの流れがあり、開祖はそれぞれ福田赳夫大平正芳という2人の元大蔵官僚で、3人目が党人派の中曽根康弘だ。彼らから外れる「非ネオリベ」は田中角栄であって、田中は長く開発独裁的手法を強引に進めたあと、1973年に福祉国家に転換しようとしたが遅きに失して、まさにその年に日本の高度成長経済が終わってしまった。

 しかし小沢一郎角栄流の利権構造は継承したのに福祉国家志向は継承せず、それどころか過激なネオリベであり続けた。少なくとも2003年に民主党と合流するまでは。

 

 続いて、昨年9月10日には「菅政権は1年間続く」と書いて政権の寿命を言い当てた。但し、菅が総理大臣就任早々に衆議院を解散するだろうと予想してこれは外した。私が菅政権は1年間続くが、それ以上には続かないと書いたのは、いうまでもなく2021年の自民党総裁選で菅が再選されることはないだろうという意味だ。

 

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 以下上記リンク記事の冒頭部分を引用する。

 

 このところ、20106月初めから翌年8月末まで13か月間続いた菅直人政権が話題になっている。何の因果か、菅義偉政権は今年9月半ばから1年間続く。第1次と第2次の内閣が、ほぼ同じ顔ぶれで(衆院選の落選者を除く)続くだろうが、第3次内閣はない。菅直人内閣が民主党政権の曲がり角に立ったのと同様、菅義偉内閣は自民党政権の曲がり角に立つ。そして散々な批判を浴びた末に退陣することも同じになるだろう。あとに来るのは次の選挙で政権維持に十分すぎる議席を確保するであろう自民党政権だが、これまたさらなる批判を招き、国政はカオスの様相を呈する。安倍晋三が竜宮城で新型コロナの玉手箱を開けてしまった以上、必然的にそうならざるを得ない。1970年代や80年代の夢は、もう二度と戻ってこない。

 

出典:https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2020/09/10/073117

 

 引用文中「第2次の内閣」というのは、菅が衆議院を解散して衆院総選挙を行い、自民党が勝って菅が引き続いて政権を担当することを想定していた。この場合「第2次菅義偉内閣」が発足し、菅は第100代日本国総理大臣になるはずだった(現在は第99代)*1。だが、菅はどういうわけか自らのコロナ対策がうまくいくという根拠のない自信を持っていたらしく*2、解散をしなかった。その後はコロナに解散を阻まれ続れた。菅が「追い込まれ解散」さえできなかったのは、安倍晋三の強硬な反対に阻まれたからだというのがほぼ定説になっているようだ。

 

 

 

 そもそも、菅が総裁選を先送りして衆議院を解散するなら、1986年に衆参同日選挙に打って出て自民党を大勝させ、その後の日本が悪くなる大きな原因を作った中曽根康弘がやったような「死んだふり」をする必要があった。それなのに菅自身だか周囲の人間だかは知らないが、情報を毎日新聞にリークしたことが馬鹿丸出しなのであって、昨年から菅とはかなりの緊張関係にあり続けていた安倍につけ込まれてしまった。このあたりの不手際も頭の悪い菅義偉ならではだろう。政権のコロナ対応ともども「安倍にも劣る」論外の馬鹿さ加減だ。

 

 菅内閣の支持率は発足直後が最高で、以後は落ち続けることについては、昨年9月13日の下記記事で言い当てていた。

 

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 以下引用する。

 

 菅義偉が維新と近いことは周知だし、それ以前には竹中平蔵と近いことも取り沙汰されていた。最近、菅のスローガンとして「自助」がクローズアップされているが、菅が極端な新自由主義者であることは間違いない。

 しかし、それと同じくらい間違いないことは、次期菅政権は発足時の内閣支持率が最高で、以後は支持率が落ち続けるしかないという、2006年発足の第1安倍内閣から2011年発足の野田佳彦内閣までずっと続いたパターンの政権になることだ。従って、菅内閣の官僚になることは、橋下徹にとってはメリットとデメリットをはかりに掛けた時、デメリットの方がずっと大きいことは絶対に間違いない。

 橋下徹はそんな選択はしない。奴は、泥船には決して乗らない。

 

出典:https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2020/09/13/075143

 

 そして、昨年9月28日には「新型コロナウイルスは安倍政権に続いて菅政権も倒すことになる」と書いた。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 以下引用する。

 

 陽性者数は9/26(土)が643人、9/27(日)が485人で、2日間の合計が1128人。これに対して死亡者数は前述の通り土日とも3人で計6人だから、いわゆる「致死率」(この呼称は適切ではないが)は0.5%と低い。これは典型的な感染拡大初期の傾向だ。しばらく前からその兆しが認められた「第3波」の感染がいよいよ拡大を始めたように思われる。

 今日は月曜日だから、特に東京都では新規陽性者数は少なめの数字が出ることが予想されるが、問題は明日以降だろう。

 こんな時に、海外からの入国規制緩和や、GoToキャンペーンの東京都への適用、大学での対面授業の再開等の緩和策ばかりをやるのが成立したばかりの「過激なネオリベ政権」たる菅義偉政権だ。本当に最悪の政権が誕生したものだとため息が出る。

 おそらく新型コロナウイルスの影響で、現在政権や自民党が狙っている10/23召集予定の臨時国会での解散総選挙は難しくなるだろうし、現在はバブル的な人気でバカ高い菅内閣の支持率も、あっという間に急降下するだろう。

 最終的には、新型コロナウイルスは安倍政権に続いて菅政権をも倒すことになる。

 

出典:https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2020/09/28/082051

 

 昨年9月28日の予言は成就する。

 それにしても、この季節に2年連続の総理大臣投げ出し劇とは。やはり「歴史は繰り返す」のだ。しかも二度目にはみじめな笑劇として。

 安倍晋三が最初に政権を投げ出す記者会見をしたのは2007年9月12日で、福田康夫のそれは2008年9月1日だった。私は前者に狂喜し、後者にびっくり仰天して激しく落胆した。このあと、日本の政治はどれほど悪くなるかわかったものではないとの予感を、福田康夫辞意表明のニュースに接した時ほど強く持ったことはない。

 一方、安倍晋三が二度目の政権投げ出しを表明したのは2020年8月28日で、菅義偉のそれは2021年9月3日だった。私は、そのいずれにも全く驚かなかった。今年の菅辞意表明も、既に前日(9/2)は強く噂されていたし、菅が総裁選で勝てるはずがないと思った人は少なくなかったのではないか。また安倍晋三が辞意表明をするかどうかも、辞意表明の前日にはかなり大きな話題になっていた。弊ブログにも当時の記録が残っている。

 

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 私は安倍は辞めないのではないかと思っていたが、私の予想に反して安倍は辞めた。だが、安倍は2007年とは違って倒されたわけではなく、面倒なコロナ対応でストレスが溜まり、それが持病の悪化にもつながったためか、嫌になって勝手に政権を投げ出しただけだった。「辞意表明の確率」がTwitterのトレンド入りするくらい多くの人が予想していた通りの辞任だったから、驚くはずもない。なお安倍の病気は辞任してコロナ対応から解放されるとすぐに良くなったらしい。今回菅辞任の引き金を引いたことからも明らかな通り、安倍は現在も自民党内で強い影響力を持ち続けている。

 菅の場合は、その気になりさえすれば総理大臣の強大な権力を利用(悪用)して「死んだふり解散」をできたはずだったのにやらなかった、いややれなかった。安倍晋三と同様にあれほど強権的な政治手法に頼り切ってきた菅が、安倍は2回やった衆議院の解散もできずに政権投げ出しに追い込まれるとは、なんという「みじめな笑劇」だろうか。福田康夫の辞意表明には強い衝撃を受けた私だが、菅義偉の辞意表明は鼻で笑っただけだった。

 なお、「後菅」のあとには「血で血を洗う三国時代」が待ち構えている。

*1:次の総理大臣が第100代になるが、その任期はきわめて短い。というのは、衆院選後に発足する新内閣が、仮に同じ人物が首相となる内閣であってもそれは第2次内閣になり、総理大臣は第101代になるからだ。自民党が下野して例えば立民の枝野幸男が総理大臣になると仮定した場合と同じく、第101代と数えられる。

*2:なぜ無能きわまりないことが総理大臣就任後すぐに露呈したこの人間がそんな勘違いをしていたのか、私にはさっぱり理解できないが、おそらく20年ほど前から田原総一朗たちが菅を持ち上げ続けてきたことで、自らに能力があるとの妄想に取り憑かれてしまったものと思われる。