kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

河村たかしを退場に追い込めるかどうかは、名古屋市のみならず日本の今後を大きく左右する重大な一件

 河村たかしは私にとっては因縁の政治家だ。2010年に「鍋党」(のちに「鍋パーティー」)と銘打った共用ブログを始めたのは、河村が2009年に民主党衆院議員を辞めて同年4月26日に行われた名古屋市長選に勝ったあと、地域政党減税日本」を立ち上げて、剥き出しの新自由主義で市政を行ったことを批判したのがきっかけだった。蛇足ながら、この共用ブログ(当時FC2、現在ははてなブログで開設)は、10年前の2011年3月に起きた東日本大震災と東電原発事故によって出鼻を挫かれた形となり、私も弊ブログともう一つのブログ(「きまぐれな日々」)で震災と原発事故の記事ばかり公開していたために、大きく発展させることができずに不完全燃焼のまま現在に至っている。

 当時、河村は小沢一郎一派の強力な支援を得て市長選に大勝した。民主党代表を退いたものの同党幹事長にとどまっていた小沢は、当時同党が掲げていた「国民の生活が第一」とのスローガンとは裏腹に、河村を支援したり、のちには「私の意見は(大阪市の)橋下市長(当時)と同じだ」というのを口癖にするなど、しばしば自らの新自由主義の地金を露骨に見せていた。

 

 昨日公開した下記記事にいただいたコメントより。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 yoinotsubasa

河村市政時の暴挙は、愛知トリエンナーレへの暴言やそれに伴う大村知事リコール偽装だけが目立っている感があります。立候補時に公約に掲げた自身の報酬カット、公用車を軽自動車にグレードダウン、市民税減税を実行した事のみが評価されています。その裏で河村市政で住民サービスがどれほど低下したか(医療、保育、介護、教育、環境美化など)気付いている市民は少ないと思います。
10年という月日は河村を知らない、河村しか知らない有権者が登場してくるのに十分な時間なのかと実感しています。
名古屋市民として、何とか再選は阻止したいと思います。
河村の応援に誰(党)が付くか見ものです。
河村が国政に打って出るとの噂もありますが、どちらにしても厚顔無恥としか言いようがありません。

 

 私はこれまで名古屋市とはあまり縁がありませんでしたが*1、前記のいきさつがあるので河村の暴政はある程度は知っていますから、お気持ちはよくわかります。

 ただ、現在読んでいる吉田徹『アフター・リベラル』(講談社現代新書, 2020)などを参照すると、今はもはや河村のような新自由主義と政治的権威主義を結合させた、かつてはネオコンと呼ばれた70〜90年代的な右翼政治家は、橋下徹や彼以降の大阪維新の会日本維新の会の政治家たちと同様、時代遅れになりつつあると思われます。

 

gendai.ismedia.jp

 

 現在は反ネオリベ反グローバリズムと反政治的リベラル(マイノリティの権利擁護、多様性などを重視する「政治的リベラル」に対するバックラッシュ*2)を結合させた、トランプや各国の右派ポピュリズム政党などの脅威が強まっている状況だと思われるので、いずれ遠くない未来に訪れるであろう維新の衰退に先駆けて、維新ほどの地力がない「減税日本」の河村を退場させる良い機会になり得るのではないかと、若干は楽観的に考えています。さらにいえば、河村を首尾良く退場させることができれば、次は維新の退場をめぐる攻防の局面を迎えるのではないでしょうか。愛知県知事のリコールに維新が深く関与していたことは示唆的です。

 ただ仰る通り、河村退場の鍵を握るのは河村を誰が、あるいはどの政党が応援するかですね。特に注目されるのは、河村の元ボスである小沢一郎が所属する立憲民主党の動向です。

 

 あと注目されるのは愛知県知事リコール偽造署名問題に絡んだ動きでしょう。

 

 他の記事*3にいただいたコメントより。

 

 suterakuso

(前略)河村の醜態がとどまるところをしりません。

https://mainichi.jp/articles/20210226/k00/00m/010/003000c
https://www.nagoyatv.com/news/?id=005467

名古屋市議会で、共産の江上議員「代表者は市長に手伝うよう頼まれたと発言している。市長は応援団どころか中心人物だ」→減税の大村光子とかいう議員「市長が署名偽造に加担したかのような発言は政治姿勢に対する侮辱、名誉毀損(きそん)になりかねない」→減税市議の発言が、質問した共産党市議の名誉を傷つけたなどとして、減税市議の発言の撤回を求める決議案が提出され、賛成多数で可決される、という流れのようです。決議案をめぐって、どう時系列的に位置づけられるかは分かりませんが、河村の「(私が署名の活動の)中心人物だったか証明しろ」というヤジや、減税の佐藤夕子とかいう議員「このような決議案こそが議員に対する言論封殺になりかねない」→共産の田口議員「前代未聞の事態の解明に力を尽くすことことこそ、二元代表制における議会の責務である」という応酬もあったようです。

減税議員も河村の喜び組の有様ですね。4月に市長選が控えているそうですが、この決議案が可決されるということは、河村および河村喜び組の減税はもう詰んだということでしょうが。

代表質問では、減税議員「自ら率先して疑惑を徹底的に究明すべきだ」→河村「署名を水増しするなんて本当に思わなかった。何十年も政治をやっていて何で気がつかなかったのか。そのことだけは自分自身が悔しいし情けない」という質疑応答もあったようで、河村も、被害者ポジションアピールから反省モードに切り替えて切り抜けようとしているようですが。

まあ、河村が消えてくれるであろうことは喜ばしいことです。維新も道連れにしてくれれば良いのにですね。こんな状況もあるので、N国やDHC有本なんかを招き入れる松原なんかは、維新にくれてやればいいのに、とも思いますが。

 

 最初にコメントの末尾の部分から反応すると、私も松原仁は昔から大嫌いで、例の城内実の応援歌を作曲したすぎやまこういちが「ジンジンジン、松原仁」とかいう歌詞の応援歌を作っていた頃から叩いていますが、この松原はたしか10年以上前からリフレ派兼積極財政論者だったと記憶します。要するに反ネオリベと政治的権威主義を合わせ持つ政治家です。そのうち右派ポピュリズムの政党ができたらそれに移るのではないかと思っています。大阪(日本)維新の会は古い体質の右翼ネオリベ政党*4なので、松原とは合わないところがあるのではないでしょうか。それで松原は現在野党第一党の立民にいるし、立民は数合わせのために松原を抱えておき、その間に党勢を拡大して、松原なんかが出て行ってもいいようにしておこうというのが枝野幸男の腹づもりだと思います。もちろん私にはそういう政党は支持できませんが、現在のような過渡期にはそういう動きもあり得るだろうとは考えています。

 そういえば2000年代にはネットで「『右』も『左』もない。オレは『下』や」などと粋がって、極右政治家である城内実平沼赳夫を応援する動きがあり、私は彼らと激しく衝突しましたが、今にして思えば彼らこそトランプ支持者たちの先駆けだったかもしれません。現に彼らが信奉した植草一秀は、2016年の米大統領選でトランプを応援し、トランプが勝った時には勝利の凱歌を上げました。安倍晋三にも反ネオリベを装ったところがありますが、安倍の場合はそれは虚像に過ぎず、実際には安倍は新自由主義権威主義を組み合わせた古い保守(右翼)政治家だったと思います。そして安倍と同じことが、「右も左もない」と言っていた人たちが熱心に応援した城内や平沼に対しても当てはまります。

 それに対して、「減税日本」は安倍のような偽装すらしない、つまり安倍よりもっと古いタイプの新自由主義政治勢力であって、それが最後のあがきをしているのが現在ではないでしょうか。

 ちなみに佐藤夕子というのは2009年の衆院選愛知1区で当選した河村直系の人で、2012年に「日本未来の党」から再選を狙ったものの落選し、14年の衆院選には出馬せず15年に愛知県議になりました。ところが2017年の衆院選で「希望の党」公認で愛知1区から立候補して再び落選し、19年に名古屋市議になったという人物です。

 このいきさつからも、2012年に日刊ゲンダイ東京新聞が紙面を挙げて大々的に応援した「日本未来の党」が実際には古い体質の保守的な新自由主義政党に過ぎなかったことがよくわかります。同党は12年衆院選でわずか9議席しか獲得できない惨敗を喫しましたが、こんなトンデモ政党に騙されるほど有権者は××ではなかったということです。とはいえ自民党を圧勝させる程度には××でしたが。

 いずれにせよ、4月25日の名古屋市長選は、同市に溜まりに溜まった垢を洗い流せるかどうかの、きわめて重要な選挙だと思います。

 例のリコール偽造の一件は、減税日本日本維新の会の2人(うち1人はつい最近まで次期衆院選候補予定者だった)に加えて、もしかしたら高須克弥の逮捕もあり得る捜査状況かとも聞きます。しかし、この件の実質的な首謀者が河村たかしであることは、大村秀章知事の指摘を待つまでもなく誰の目にも明らかでしょう。しばらくは名古屋市及び愛知県から目を離せそうにありません。

 首都圏や関西などの人たちは日本第三の都市圏にはあまり興味がないのか、全国ニュースでも扱いは大きくありませんが、この春に河村を退場に追い込めるかどうかは、名古屋市のみならず日本の今後を大きく左右する重大な一件だと思います。この春で河村を退場させることができなければ、日本の復興はまた大きく遅れることになるでしょう。

*1:但し2011年のプロ野球で、中日球団社長だかが自チームを負けさせようとしてオウンゴールをやらかした、つまり彼の意図とは逆にドラゴンズ選手の戦闘意欲に火をつけるという余計なことをしてくれたおかげで、ヤクルトスワローズが土壇場で優勝を逃したことが今もトラウマになっている。なお1978年にヤクルトは中日戦で3試合連続サヨナラ勝ちをやって初優勝に大きなはずみをつけたことがあった。当時の中日のリリーフエースは、あの故星野仙一だった。その頃の私は「にわかヤクルトファン」に過ぎなかったが、その後本当のヤクルトファンになるきっかけにはなった。

*2:選択的夫婦別姓制度なども政治的リベラリズムの政策の例だ。たとえば現在、Dr.ナイフなど某新選組(山本元号党)応援団の一部が、選択的夫婦別姓制度を選挙の争点にすることに抵抗していることは、新選組を右派ポピュリズム政党にしようとする圧力だと解される。新選組は政党名に現元号を関していることからわかる通り、右派ポピュリズム政党になりうるポテンシャルを持っていることは明らかだ。

*3:https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2021/03/06/073410

*4:維新の会はサッチャーレーガンと対応する、欧米では80〜90年代に栄えたタイプの政治勢力だととらえるべきだろう。