kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

島根1区の影響は、おそらく相当に大きい。その1勝は補選の全勝を最も左右しうるもので、もし全勝となれば立憲と維新のどちらが野党第一党にふさわしいかということも全有権者に示される。(三春充希氏のXより)

 タイトルにした島根1区については本記事の最後に触れる。それまでは例によって長々と東京15区の話をする。住民としてはついついそうなってしまうのだ。

 前の記事に引き続いてもう少し、2021年立民代表選での泉健太応援者にして大濱崎卓真ともつるむ平河エリ氏のX周りより始める。

 

 

 

 ああ、あの「維新調査」とやらで飯山の支持率9.7%だったとかいうやつか。酒井と小堤を足したら20%超えてたやつだな。2位が金沢だった。確かに一致している。ただ、カタコト明明氏のX経由の日経調査だと飯山、秋元、須藤、乙武による低位の混戦みたいな印象だった。飯山と秋元の2人の名前がそんな初めの方に出てくるとは、ってとこだな。

 日本保守党については、三春充希氏がよく、自民党が極右を押さえているからそれより右を狙う政党は参入できないと言っていて私もそれに同感だったが、最近岸田文雄が安倍派に対して中途半端な権力抗争をやっているので、彼ら超極右に参入する余地を与えたものだろうか。何しろ飯山の親玉の百田尚樹は故安倍晋三の大のお気に入りで、NHKにも送り込まれていた。

 しかし飯山には今回不戦敗になった自民党支持層があまり流れておらず、リベラル系の酒井氏や江東区出身の須藤への流出よりも少ないあたりに、(少なくとも江東区の)自民党支持層の意識がうかがわれるのではないか。つまり彼らは安倍の極右イデオロギーには特に共感しておらず、単に自民党政権だから支持していたに過ぎなかったのではないかと思われる。

 都ファ絡みになると、平河氏のXはいろいろと問題が多くなる。

 

 

 

 東京15区はもともと柿沢家や木村家が新自由クラブ関係だったこともあって、自民党が強い選挙区ではなかった。秋元司も、柿沢未途が「希望の党」騒動で逆風を受けた2017年に一度勝っただけだ。他の「川向こう」*1の5つの区と一緒の中選挙区東京6区時代にも、1970年代には自民党候補の1位当選は一度もなく、1969年から79年までの4度の衆院選では3度が公明党(有島重武)、1度が共産党不破哲三、1972年)が一位当選していた。江東区ではその後柿沢弘治自民党に移ったので自民が強くなっただけで、その柿沢もドラ息子の未途は長らく野党にいた。もとからそんな状態の上今回の逆風だから、自民党はもう公明党に加えてそれ以外のどこかとも組まなければ生き延びられなくなった。

 今回の補選はいくつもの保守(右翼 and/or ネオリベ)勢力の力試しの場になったために、リベラル系の酒井候補が漁夫の利を得そうな状態になっているものだ。もちろん日本全体でもリベラル・左派系は3分の1のシェアで、東京東部ではそれよりさらに若干低いと思われるので、今回の補選で酒井候補が当選しても、本選では保守(実態は右翼 and/or ネオリベ)勢がうまく連携すれば勝てると踏んでいるに違いない。しかしこの選挙区では維新の金沢結衣が2019年からもう長く運動している。自民が維新と組む、というより維新に譲る選挙をすれば金沢が酒井に勝てるだろうが、たぶん、というより間違いなく自民党はそんなことはしないだろう。本選では江東区長選の大久保朋果(現区長)みたいな強い候補で勝ちに行く作戦をとろうとする可能性が高い。そして小池としてはいうまでもなく自民党の政治家たちではなく自分自身が主導権を握りたいわけだが(江東区長選では事実そうなった)、国政選挙ともなると自民党の権力者たちも区長選の時みたいに小池に唯々諾々というわけにはいかないだろうから、自民党の権力者たちと小池との間で激しい権力構想の駆け引きが行われることは絶対に間違いないのである。

 反自公政権の立場のリベラル・左派の立場からいえば、そのような権力闘争に伴って起きる様々な厄介事を起こさせないためにも、早いところ「小池百合子に対する審判」を下す必要がある。そのように私は考えている。しかし平河氏は都ファ側からの視点をかなり強くお持ちの人のように見える。それを特に強く感じさせたのが下記のXだ。

 

 

 ここで明示されていない「まくる」の主語は明らかに、現在二番手と目される金沢結衣ではなく乙武洋匡だ。

 つまり平河氏とはそういう人だということだろう。基本的にネオリベ系で、ネオリベの中でも維新より都ファ寄りの人物という印象。なるほど、大濱崎卓真と馬が合いそうだ。

 私には、小池百合子が「情」の部分を出したりしたら、二番手とされる維新の金沢結衣の票を食って立民の酒井候補がますます有利になるだけじゃないかとしか思えないのだけれど。

 他の方のXより。

 

 

 これはテレビのニュース番組や新聞社のサイトの記事を見ての印象なのだが、江東区民で「地元出身の人に入れたいと思うけど」と言いつつ口を濁す人が結構いる。出身地からいえば須藤だけど、と躊躇してしまう人がいるということで、須藤の「ヤバさ」をよく表している。だから山本太郎も表立った須藤支援に踏み切れない。

 そういえばここで少し前に山本に対して書いた印象を訂正しておく。立民の枝野代表時代に今の泉健太よりも強く枝野に当たっていたことについて「本当は俺がヒーローになるはずだったのに」という意識が強かったのだろうと書いた。しかしその後、そういう要因もあっただろうが、それよりも新選組発足当時のコアな支持者の意向を汲んだことが大きかったのではないかと思い直した。一般的なイメージに反して、泉健太と比較すると山本太郎の方が「政治家は支持者の意向に反することはできない」という定理に忠実であるように思われる。

 政治おじいちゃんお化け氏は先日下記のXをポストした。

 

 

 私は必ずしもそうではなく、結党(結組)当時とは違って組にライトな支持層が増えて彼らの間ではおそらく、というよりほぼ間違いなく須藤元気より酒井菜摘に対する支持の方が圧倒的に多いと思われる上、組内でも櫛渕万里が個人として酒井氏を応援する状態を見て、我を通さなかったのではないかと推測している。例のローテーションの件もそうだが、山本も譲るべきところでは譲るのである。

 これをカクレクマノミさん風に書くと、山本太郎の「離党者を最小限に抑えた堅実にして巧みな党運営」といえてしまうのではないだろうか。

 泉は2021年11月の代表就任から2022年の衆院選までの間、支持層の多くの意向に反する「提案型野党」路線に走って、2021年衆院選比例ブロックで得た比例票を3分の1も流出させた大失敗をやらかしたが、少なくとも山本にはそれに匹敵する大失敗はない。

 先日、連合会長の芳野友子が東京15区補選で酒井陣営が共産党から協力を受けていることを理由に、この補選では連合は自主投票にすると発表して一部の人たちから批判を受けたが、私はこれも政治的妥協の産物だと思った。

 というのも、最初にファが乙武の擁立を発表した時、連合がこれに乗っかる可能性を示唆したXを前記平河エリ氏が発した悪印象が強烈だったからだ。しかし最初は公明党から、次いで(のちに撤回したけれども)民民から懐疑論が出て連合が乙武に乗る機運はほぼ消えた。そうなったら連合は自主投票するしかないのは当然だ。新選組が組としては須藤にも酒井にも乗らないことを決めたのと同じような力学が働いたと考えるべきだろう。

 だから私はこの件で芳野友子を責めようとは思わない。しかし芳野には2021年衆院選直前に連合代表に就任するや強烈な反響を打ち出して立民の選挙に悪影響を与えた責任がある。これはこの衆院選での立民敗北の一因にもなったから、この時の芳野を無罪放免するわけにはいかない。芳野は明らかに泉が「提案型野党」路線に走る弾みをつけた。この選挙の経緯から、芳野は立民前代表・枝野幸男との関係が一時ぎくしゃくしたといわれている。なんといっても芳野には昨年「自分は自民党に大事にされている」とか言って自民党大会に出たがり、それを連合OBに止められた経緯があった。

 昨年の春頃までを思い出せば、今井瑠々が野田聖子の手引きで自民に出た一件など、立民を「泥船」とみて自民党になびく傾向が明らかにあったが、その流れに棹さして(=流れを助長して)いたのが芳野友子だった。このことは忘れてはならない。1年前のことなどすっかり忘れてしまった人だらけなので、ここで釘を刺しておく。

 最後に島根1区補選についての三春充希氏のXをリンクする。

 

 

 三春氏は島根1区の「1勝は補選の全勝を最も左右しうるもので、もし全勝となれば立憲と維新のどちらが野党第一党にふさわしいかということも全有権者に示される」と書いている。長崎3区は勝負にならないようだから「全勝」の主語は立民ではあり得ても維新ではあり得ない。

 確かに、維新はこのところ「立民には投票するな」と言い続けている。先日日本保守党の飯山某らに罵倒された玉木雄一郎が「俺ではなく立民の酒井候補を攻撃してくれ」と言わんばかりのコメントを発したが、唯一それに応えたのは、玉木が想定していた日本保守党系ではなく維新だったわけだ。私は、維新がそんなアピールをしたらますます立民が注目されて有利になるだけだ。バッカじゃなかろかルンバ♪、としか思わなかったが、維新には相当の焦りがあるようだ。

 「支持率の桁は変わる」とは、政党支持率10%の大台をなかなか超えない立民の政党支持率が10%を突破するという意味だろう。そうなると、次の衆院選が自民と立民との間の「政権交代の是非を問う」ことが焦点になる。

 立民代表が泉のまま、そんな選挙を迎える可能性が出てくるとは、「5年後の政権交代を目指す」と言った泉を批判した私でさえ、悪夢にも思わなかった。

 そういえば三春氏は、2022年参院選における立民の大量の比例票流出を指摘し、誰よりも厳しく泉を批判した人だった。

*1:これは隅田川より西に住む東京の人間が隅田川の東の地域に対して発する差別用語だが、当該地域に住む人間としてあえて用いた。