kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

日経の衆院東京15区補選情勢調査によると「酒井が立共8割無2割(無党派最多)で優勢、金澤が維6割だが無党派に広がらず二番手、飯山 須藤 秋元 乙武 混戦状態」とのこと(カタコト明明氏のXより)

 衆院3補選でいずれも立民候補がリードだの優勢だのという情勢調査結果が出始めているようだけれども、要するに自公政権への忌避感が全国的に強まってきているということだろう。

 ブログを始めて今月でまる18年になって19年目に入ったが、ブログ開設後の期間において、現在と同様に自公政権への忌避感が広がったのが2007年から2009年にかけてだった。

 当時は長い小泉純一郎内閣(第1〜3次)が終わったあとの第1次安倍晋三内閣が人々に失望され、2007年の参院選では、当時住んでいた四国4県すべてで民主党候補が当選する異常な結果になった。もっとも小泉政権時代にも2003年衆院選と04年参院選自民党は連敗している。05年の郵政総選挙を「劇場型選挙」にして大勝したことが却って社会の閉塞感を生み出してしまい、自民圧勝の反作用として2007〜09年に自民党に大逆風が吹いたのだろう。

 現在も、再チャレンジを成功させやがった安倍晋三が第2〜4次内閣を長年続けたあと、安倍亜流の菅義偉内閣を挟んで成立した岸田文雄内閣が、首相の首をすげ替えた直後の解散総選挙という「目くらまし効果」によって「野党共闘」に競り勝ったものの、小泉政権後の頃と同様に却って社会の閉塞感を生み出し、21年衆院選での自民勝利の反作用として自民党に逆風が吹いていると思われる。

 ただ00年代後半当時と今とで大きく違うのは、00年代後半には野党第一党である民主党への期待が高まって、人々の政治への関心も強まったのに対し、今回は野党第一党である立憲民主党(立民)の政党支持率は、一時「提案型野党」路線だの維新へのすり寄りだのをやっていた頃よりは盛り返して、枝野前代表時代の後半と同程度になっているだけで、「人々の立民への期待が高まっている」とはとてもいえないことだ。ただ、選挙になると「野党第一党効果」で票を集めやすくなっている。このあたりを的確に指摘しているのが醍醐聰氏だ。

 

 

 「今、選挙があったらどの党に?」となると立民*1が跳ね上がるのは自民への怒りの反射効果、というのは本当にその通りで、それ以上でもそれ以下でもない。立民の政策が支持されているわけではなく、野党第一党だから投票する対象に選ばれやすいだけなのだ。

 選挙戦中での情勢の変化も、00年代末と現在とでは全然違う。

 特に私の印象に強烈に残っているのは2008年4月27日に行われた衆院山口2区補選で、この補選では当初どこかの報道機関が、のちに山口県知事になって2014年にがんで死んだ山本繁太郎(享年65だから現代では早世の部類だろう)の名前が先に出てくる情勢記事を出したことを紹介した記憶があるが*2、選挙が進むにつれてどんどん民主党公認の平岡秀夫候補の勢いが増し、選挙結果は平岡氏の圧勝だった。

 現在の泉立民には当時の小沢民主党のような勢いは全くない。だから選挙戦中に勢いが増すことはほとんどなく「まくられる」ことの方が多い。

 それは、代表の泉健太が、特に2021年11月の代表就任後、22年夏の参院選惨敗を経て23年4月の衆参4補選に全敗するまでの期間に、自民党に迎合したり維新にすり寄ったりしていたほか、つい何か月か前にも「ホップ、ステップ、ジャンプ。5年後の政権交代を目指す」などと発言したことなどに表れている通り、まず何よりも、どんな社会にしたいのかの理念もはっきりしないこと、次いでついこの間までは政権交代を勝ち取る気概もろくに持っていなかったことが大きいだろう。

 泉は、少なくとも少し前までは、現在は自公政権を倒すよりも、党内少数派だった旧希望の党・旧民民勢力の地位を党内で高める権力工作に腐心していた形跡がある。その目的のための重要な手段は大きくいえば2つあって、1つは人事、もう1つは金の配り方だ。

 何度も書く通り、東京15区の住民である私が昨年からずっと注目していたのは、この選挙区の総支部長を誰にするかということだったが、今回の補選の候補を酒井菜摘氏に決めるまで、2年半近くもずっと空位だった。2017年には総選挙が秋に行われたあと、年末には当時東京4区の総支部長だった井戸まさえ氏の再任が決まっていたようだから、21年の総選挙後はその4年前とは大違いだった。その間、井戸まさえ氏はずっと再任を求めていたようだが、どうやら何の返事もなく黙殺され続けたようだ。

 また、少し前にさとうしゅういちさんのブログ経由で、広島3区でも千葉県からやってきて前回の衆院選に一度負けただけのライアン真由美さんが降ろされ、23年秋に「誰それ」みたいな人物が総支部長に就任したらしいことを知った。

 つまり、泉は党の足腰の強化よりも、自分たち保守系(旧希望・民民勢を含む)の力を党内で増そうとするようなことばかりやってきたわけだ。これは、そうしない限り旧立民勢に足元をすくわれて失脚するリスクが高まるため、組織内での上昇志向の強い人間なら必ずやる行為に過ぎず、客観的には「悪いこと」とさえいえない。ただいえるのは、党内のリベラル派にとっては確実に不利益になることを泉はやってきたということだ。しかも2022年参院選比例区得票率に如実に表れた通り、立民の選挙結果にも悪影響を与える可能性が高い。ただ、現在は自民党に対する人々の失望が、前記の泉らの策謀が党勢拡大に与えるダメージを打ち消して余りあるくらい大きいために、結果的に選挙を有利に戦えている(ように見える)だけである。

 しかしいくら私がブログでそれを指摘しても、立民支持層の大部分は自分たちにとって都合の悪いこうした事実を直視しようとしない。それは保守系の人なら当然の態度だが、不思議なことにリベラル系としか思えないような人たちまで同じなのである。このあたりはもういかんともしがたい。彼らにとっては自らの支持政党を少しでも批判する人間は「敵」なのであろう。敵に下手に反論すると注目されてしまうから黙殺するしかない。だからコメント欄にも反応はほとんどない。井戸まさえさんの再任要望がずっと「黙殺」されてきたのも、下手に反応して注目されたくないという立民都連あるいは執行部の思惑のためだろう。そして支持者たちもそれを黙認する。かつては井戸さんに同情を寄せていた人も口をつぐんでしまうというわけだ。今そんなことを騒いで酒井さんたち立民の補選3候補の票が逃げたらどうするのかとでも言いたいのだろうか。

 こういう社会に私たちは生きているということだ。それでも立民はまだ多少は外部からも事情を窺い知ることができるが、共産党になると(以下略)。

 そんな話とは別に、立民候補有利の情勢を必ずしもよく思っていないであろうと推測される方々のXがなかなか興味深い。

 昨日(4/19)日経が発表した情勢調査結果は下記のようなものだったらしい。有料記事なので日経記事は確認できていない。

 

 

 これについて、一時期大濱崎卓真とつるんでいた平河エリ氏(彼は21年立民代表選で泉健太を応援していた)は下記のXをポストした。

 

 

 

 私は秋元に2割弱も流れたのに驚いたんだけどね。自民党支持層から金沢、酒井、須藤各氏にそれぞれ1割程度流れたというのには驚きは全くない。区民の自民党支持者は自民党江東総支部とは違って極右だのネオリベだのってそんなに多くないよ。どっかのブログのmewさんは約1名の江東区民の情報を真に受けて誤解してたみたいだけど。

 平河氏は「乙武さんの名前がない」と驚いているけど、もっと注目すべきは「飯山の名前もない」ってことだよ。当たり前だけど、江東区では普通の人が自民党を支持してるってことだ。

 ただ、その飯山の名前が須藤や乙武よりも先に出てきたのはさすがに私にも意外だったけど。つまり、飯山の支持層の主力は無党派層だってことだ。無党派層新選組や参政党にも流れるが、ああいう超極右にも一定の割合で流れる。もっともあの飯山というのは百田・有本一派の中ではエース格で、他にはろくな戦力がいないらしいけど。そういえば日本保守党が参院選に出れば比例区で1議席をとれるかもという話があるようだが、飯山は来年の参院選比例区から出るかもしれない。

 今回は区長選に出た上田令子一派の三戸安弥が参戦していないが、出てたらどうなってたんだろうね。ちなみに三戸の略歴は下記の通り*3

 

三戸氏は1989年 東京都武蔵野市出身、上智大学総合人間科学部社会福祉学科卒業。丸紅株式会社に入社し、結婚後は仕事の傍ら社会福祉士の資格を生かし江東区区民委員として障害者福祉計画・障害者計画の制定に携わりました。2019年の江東区議会議員選挙で初当選、2023年に再選しました。

 

 こういう人が都ファ分派系、つまり右派新自由主義政党に属するんだから「なんだかなあ」ってところ。もっとも就職先に丸紅を選んだ側面もある。今回彼女が出馬しなかったのは彼らの敵(都ファ)が大物ではなく乙武洋匡を出してきたからだろう。あんなのにうちのエースをぶつけて負けたら沽券にかかわるというわけだ。

 なお、郵便受けに入っていたチラシを見ると、参政党の吉川里奈は1987年生まれ36歳、大阪府大阪市出身、大阪府立大学看護学部看護学科卒業、現在、三人の子育てをしながら看護師として働いているお母さん、と書かれている。しかし同時に配られた参政党のチラシには反ワクチン色が強い。しかも国粋主義的右翼色を鮮明にしている。そんな参政党に、新選組ともどもシンパシーを持っているらしいのが須藤元気だ。

 ところで、金沢結衣についての平河氏の感想には私も同感だ。

 

 

 現に区長選では公募の維新候補の得票率は8%で供託金没収だったからね。

 

 

 まあこれもその通りだろうな。ここらへんは2007〜09年当時と似ている。

 

 ところでいただけなかったのは、明らかに酒井候補を応援していると思われる他の方による下記のXだ。

 

 

 これをポストしたのはたぶん若い方なのではないかと想像するが、少し前に酒井菜摘陣営が左のウイングを広げたと言って感激されていた方ではなかっただろうか。

 つまり、リベラルまたは左派系の人だろうと推測して書くのだが、泉の「離党者を最小限に抑えた堅実にして巧みな党運営」とやらには、前述の井戸まさえ氏やライアン真由美氏らを冷酷非情に切り捨てたことも含まれているわけだ。東京15区では柿沢未途の逮捕に伴う議員辞職という想定外の事態からリベラル系と思われる酒井氏を立てて有利な戦いが「結果オーライ」でできているようだけれども、広島3区ではただ単なる派利派略でライアン氏を切り捨てた可能性が高い。また、泉が代表選での公約に反して総支部長の再任を遅々として進めなかったことに、党内における保守派の勢力を強めたいとの思惑があったことは、状況証拠的には明らかだろうと私は考えている。

 政党政治について考察する時には、井戸氏やライアン氏のように、党の権力者あるいは権力機構(執行部、東京都連、広島県連など)から切り捨てられる人たちの立場に立つことが、少なくともリベラルや左派を自認する人間であれば絶対に必要なのではないだろうか。

 だから、私は泉健太の「離党者を最小限に抑えた堅実にして巧みな党運営」とやらをたたえた上記Xには全く共感しない。上記に理由を書いた通り強く批判する次第。

*1:弊ブログでは立憲民主党を「立憲」ではなく「立民」と略称しているので表記を改めた。

*2:おかげでこの時に「政権交代ブログ」界で多くのアクセス数を誇っていた某オザシンブロガーの逆鱗に触れたのだった。これがのちにこの界隈から私がパージされた一因になったかもしれない。こちらはメディアの情勢調査結果をブログで紹介しただけなのに、ずいぶん理不尽な話だった(笑)。

*3:https://go2senkyo.com/articles/2023/12/05/89643.html