kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

立民右派支持層の人間が、酒井菜摘氏は「区長選からほとんど票伸ばせてないからね この固定票頼みなら、5万強集められたら負けてしまう」などという嘘八百のXをリポストしていた(怒)

 Xを見ていると、何やら立民右派支持の連中の中には東京15区の結果をあまり喜んでいないかのように見える人たちが結構いることがわかる。

 それは立場の違いだから仕方がないが、事実を捻じ曲げるのだけは止めていただきたい。下記がその悪例。

 

 

 本当かよ。

 昨年12月の区長選で、酒井菜摘の得票数は34,292票、得票率21.0%だった。候補者は5人。

https://www.city.koto.lg.jp/610102/kuse/senkyo/kekka/kotokucho/r5kuchosenkyokaihyo.html

 

 昨日の衆院東京15区補選で、酒井菜摘の得票数は49,476票、得票率29.0%だった。候補者は9人。

 

www3.nhk.or.jp

 

 昨年12月の江東区長選と比較すると、酒井氏の得票は得票数にして44%、得票率にして38%増えている。これのどこが「区長選からほとんど票伸ばせてない」のだろうか。でたらめを垂れ流すのも大概にしてもらいたい。投票率40%の選挙で得票5万弱なので、投票率が上がる本選では相手に5万強の得票があったとしても、その程度なら上回れる数字だ。前回2021年衆院選での柿沢未途の票を上回れるかといえば、これはかなり難しいけれども、今の東京15区に当時の柿沢に匹敵する集票力を持つ政治家など誰もいない。

 上記Xをリポストしたのは「ちょろ」という人だ。どうやら地方在住らしいこの人は一昨日にこんなポストをしていた。

 

 

 そりゃ島根の方がより重要だというのはその通りだが、都ファの脅威にさらされている東京、しかも隅田川の東側、特に江東区に住むリベラルにとっては今回の補選は死活問題だった。城東地区は非常に保守的で、リベラルが弱いのだ。

 私も江東区地方自治に詳しいわけでは全くなく、昨年4月の区長選をめぐる一件に大嫌いな柿沢未途が関与していたことからやっとこさ少しは関心を持つようになったレベルに過ぎないから偉そうなことは全くいえないのだが、江東区の立民は昨年12月の区長選で酒井菜摘氏が都ファの大久保朋果と選挙戦をやったために分裂してしまったらしい。

 

note.com

 

 記事に書かれた錯綜した事情はいまだに理解できていないが、立民区議が属する「江東新時代」という会派には、音喜多駿の妻を含め右派系野党の人たちが結構いるらしい。彼らは昨年12月の区長選ではたぶん大久保現区長を応援したのだろう。一方、立民の人たちは酒井氏を支援したが、今年1月にその立民会派は分裂した。酒井氏はその前に区長選出馬のために区議を辞職しているので、現在は立民の区議は高野勇斗区議ただ一人しかいないらしい。高野氏は今回の補選で全力で酒井氏を応援したけれども、分裂して現在も音喜多の妻たちと同じ会派にいる人たちは、昨年の区長選では酒井氏を応援していたというのに、今回は中立を守ったようだ。さすがに乙武を支援したりはしなかったようだが。私は、小池百合子系列の区長に楯突く真似を続けていたら区議としてやっていけないから、そのようにしたい人たちとは袂を分かつことにしたとか、そんなところではなかろうかと勝手に想像しているが、それが当たっているかどうかは全くわからない。

 なお、現在の「江東新時代」のメンバーは下記URLで確認できる。

https://www.city.koto.lg.jp/650103/kuse/kugikai/shokai/kaihabetsu/7841.html

 

 そして都議会では、都ファと自公とが一体となって立民と共産の都議の小池都知事批判の発言を議事録から削除する動議を出すなどしている。おそらくこれは小池百合子の差し金であって、小池が強権的な姿勢をむき出しにしている。これに特に強硬に反発しているのが武蔵野市選出の五十嵐衣里都議だが、リベラル政治家には特に有利な武蔵野市選出の人だから先鋭になれるという側面も、もしかしたらあるかもしれない。

 ともかく、昨年12月の酒井氏の区長選立候補によって、区の党会派が分裂するという代償を支払わされた立民が、再度酒井氏を立てて小池百合子が推す乙武洋匡と対決したのだから、これは絶対に負けるわけにはいかない選挙だったのだ。なお立民に残った高野区議は野田佳彦派の人で、野田自身も保守派でありながら共産党幹部(小池晃ら)と同じ演壇に立って酒井氏の応援演説をやった。私は野田の政策は全く評価しないが、こういう野田の側面だけは評価できる。こういう側面は泉健太にはないのではなかろうか。

 こういう背景のある選挙だったから、万一今回の補選で負けるようなら、墨東の6区での立民は再起不能の大ダメージを受けたのではないかと私は思っている。それを「東京で負けても痛手は少ない」とは、いったい何を言ってくれるんだよと腹が立つ。

 しかも、データを無視した思い込みだけで「酒井氏は区長選からほとんど票伸ばせてない」などと書かれた嘘八百のXをリポストする始末だ。これには頭に血が昇った。

 東京15区の立民と共産との共闘は、立民にとっては共闘をやらなければ勝てないくらい党勢が弱いからであり、共産にしても昨年春に社民と一緒に支援した区長選の候補(私も投票した)が得票率12.8%で「おっさん東大生」の17.3%に負けるくらい弱くなったから、両党とも勝つためにはこの形態しかないからやったまでの話だ。私自身は立民の右側は嫌いだし、共産党も支持しない、あえていえば社民党寄りで(比例票はたいてい社民に入れる)、立民リベラル派にも一定のシンパシーを持つという人間だが、こうしなければ勝てなかったことはよく理解できる。

 そのくらいはわかってほしいと、リベラル不毛の地である東京都江東区に住む人間としては強く思う。

 確かに右側の三分裂に助けられて勝った選挙ではあるが、次の本選でまともに戦うためにはこのチャンスを逃すわけには絶対にいかなかった。しかも今回の選挙結果を見る限り、本選では保守がすんなりまとまれるとは到底思われない。私としては、一番脅威なのは、自民と日本保守党が手を引いて維新の金沢結衣を保守統一候補として出してくる場合だと思うけれども、それが実現するとは思えない。橋下徹なんか維新は東京15区から撤退しろなんて言ってるしね。自民はといえば、7月の都議補選で山崎一輝が三戸安弥に勝てるかどうかも怪しいんじゃないか? 2021年の衆院選でも江東総支部が支援した今村洋史という愛知県から引っ張ってきた極右候補は、柿沢未途、井戸まさえ、金沢結衣に3人に負けて4位に沈む大惨敗だった。

 東京15区はそういう選挙区だ。確かに本選でも酒井氏が勝つことは決して容易ではないが、本選では決して勝てない選挙区かといえばそうでもない。補選を除く過去9度の衆院選で非自民の候補は4勝5敗だ。もっとも残念ながら本選でのリベラル候補の勝利は過去には一度もなく、今回の補選で勝った酒井氏はその最初の例になるべく本選で挑戦するわけだが。そのためにはその前段階である今回の補選には絶対に負けられなかった。さすがにこれだけ好条件が揃った補選でも勝てなければ本選で勝つことなど到底おぼつかない。

 今回の酒井氏の勝利はまた、他の城東5区にも勇気を与えるものではないだろうか。そのことは他地域の人たちにもわかってほしいと思うのだけれども。