共産党が大量の小選挙区候補を立てながら比例ブロックでの得票率を減らした件について。
共産党の比例票が伸び悩んだのが、大量の候補擁立によるものかは、候補擁立した選挙区と擁立していない地域での得票率の減少(増加)幅がどのくらいかを確認できるとよさそう。
— ツイッター政治おじいちゃんお化け (@micha_soso) 2024年11月3日
共産党はかねてから比例得票数650万、得票率10%という目標を立てている。2021年衆院選敗北の結果に志位和夫は総括を拒否したが、今回の衆院選の擁立状況から見て確実に言えることは、2021年は小選挙区の候補者を絞ったから比例票が伸び悩んだのであって、それなら多くの選挙区に候補者を立てて比例票を掘り起こすべきだという意見が、おそらく党中央で優勢になったため(市田忠義あたりが中心の唱導者なのではないかとみられているようだ)、候補者の大量擁立に踏み切ったということだ。
ただそれと矛盾するのが、共産党の大票田であるはずの一部の区で共産党が候補を取り下げたことだ(たとえば東京5〜9区)。これは東京の共産党が、立憲民主党(立民)の東京都連の権力者と取引した結果であることはほぼ疑いない。
そうした意図が見透かされたかどうかはわからないが、選挙結果からいえることは、小選挙区に候補者を立てれば比例票を掘り起こすことができるという仮説が今回脆くも崩れ去ったことだ。
おそらく手塚仁雄と小池晃との勝手な取引から漏れて、共産党が小選挙区に候補者を立てたわが東京15区では、共産党は前回の衆院選から比例ブロックの得票率を23%も減らし(10.0%から7.7%に減少)、小選挙区の候補者の得票率は過去最低の6.2%だった。明らかに比例で共産党に投票した人たちのうちかなりの部分が選挙区では共産党候補者に入れなかったことがわかるが、それはもちろん想定の範囲内だろう。問題は比例票まで減らしてしまったことであって、これは遠慮なく書かせてもらえば、「せっかく補選で野党共闘の候補を当選させたのに、共産党は今回は自公をアシストするつもりか」と共産党に反感を抱いた反自公政権系の有権者が少なからずいたことを示す。
この感情論に対しては、そうではなく、あくまで得票数650万、得票率10%という、傍目には無理としか思えない目標を達成するためには東京15区を特別視するわけにはいかなかったのだろうと私は思うけれども、しかし有権者の一部にそういう感情を抱かせて、本来共産党に投票する傾向を持っている人たちを離反させる結果になるであろうことは私でも予想できた(もちろん選挙中にはそう思っていても記事には書かなかったが)。だから私は、この選挙区ではヤメ維新の無所属候補が4位になるだろうと何度か書いた。これは暗に共産党候補者は最下位だろうと予想していることを意味した。これに対して当該ヤメ維新候補は最下位になってもおかしくないのに東京ではそうはならないのかというコメントをいただいたが、これは今までの流れからいってそうなるしかなかった。4位の無所属候補は当地で5年ほど地道な活動を続けていた(但しその活動の効率にはいささか問題があったようだが)。
2023年の江東区長選で私が投票した共産・社民支持の候補の得票率は12.7%だった。社民系の寄与は残念ながらそのうちわずかだろうから、江東区においては共産党は本来比例で10%くらいの得票率を稼げるポテンシャルを持っているといえる。しかし今回の衆院選東京15区で、同党は比例ブロック7.7%、小選挙区6.2%の得票率しか得られなかった。これは共産党江東区委員会の責任ではなく、共産党執行部の責任だと私は思う。
なんというか、共産党執行部は全体の得票数や得票率のことしか考えていなくて、個々の選挙区の事情など顧慮していないのではないか。そのくせ、東京5区のような一部の選挙区では平気で立民と野合する。党の中央にいる権力者はそれなりに勝手な振る舞いができるようなのである。
立民もいいかげん東京西部偏重で、昨年も東京14区(墨田区全域と江戸川区北部)を元号新選組に差し出すような真似をしたが(そこに共産党が候補を立てたので新選組支持者と共産党支持者の間で喧嘩腰のやりとりもあったようだ)、共産も立民も「人を大事にしない」点で共通している。この点は広島の新選組系のさとうしゅういちさんの仰る通りだと思う。