kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「小作農」を復活させる農水省の「トンデモ」な政策転換

少し前の毎日新聞記事。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20070824k0000m010156000c.html

以下引用する。

農地法農水省が原則転換「自作農」から「利用農」へ 

 農林水産省は、戦後の農地制度の基本理念だった「自作農主義」を放棄する方針を固めた。耕作者自身が農地を所有することを原則とした農地法の規定を修正する方向で、来年の通常国会に同法改正案を提出する見通し。同省は農業の体質強化のために経営規模拡大を促す改革を進めているが、農地の「所有」よりも賃貸借などによる「利用」を重視した法体系に転換することで、大規模農家や法人に農地が集まりやすいようにする。

 戦後の農地改革は、農村を民主化・近代化するため、戦前からの大地主による土地所有を解体。小作農の大半を自作農に変えた。これを受けて1952年に制定された農地法は、立法目的を定めた第1条で「農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認め」るとした。農地の貸し出しには、小作地の面積制限など厳しい規制がかけられた。

 その後は高度経済成長下で農業人口が減り、規模拡大による効率化が課題に浮上した。しかし、農地を手放すことへの農家の抵抗感は強く、所有権の移転による農地集積は成功しなかった。このため、農水省は賃貸借による農地の流動化へ徐々に軸足を移し、農地法の特例として借地の制限を緩めるなどした。法体系の根幹にある自作農主義は実情に合わなくなった。

 農家が高齢化し耕作放棄地が急増するなか、農水省は農地の「利用」重視を更に明確にした農地政策全般の見直しを検討中だ。具体案を秋にまとめる。農地の貸手と借り手を仲介する新しい機関の設置▽農地を貸しやすくするための税制見直し▽一般企業の農地借り入れ規制の緩和−−などが柱となる見込みで、24日に開く同省の有識者会議で骨格を提示する。自作農主義からの転換は、こうした改革を理念の面から支える。「小作」など時代に合わなくなった用語も廃止することを検討している。【位川一郎】

毎日新聞 2007年8月24日 3時00分

響きの悪い「小作農」という言葉を「利用農」と言い換えようとしているあたりが、差別用語狩りみたいで胡散臭いが、そもそここれは典型的なグローバリズム新自由主義政策にほかならず、こんな政策転換が実現されたら、農民は戦前のような貧困にあえぐことになろう。「逆方向」の「カイカク」の最たるものだと思う。