kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

プロ野球に「新自由主義的カイカク」を導入した成れの果てが現状の不人気だ

星野仙一安倍晋三を擁護したことに逆上して書いた感情的な記事がアクセスを集めて驚いたが(笑)、10年前、ヤクルトと横浜が優勝を争っていて、巨人・阪神・中日が揃ってBクラスに低迷していた頃、「プロ野球を面白くするためには巨人と阪神を強くしなければならない」とかいうプロパガンダが行われた。民放テレビの野球中継は、日本テレビ系列以外でも、極端に巨人をひいきするようになり、これがいやだったので巨人戦中継を見る頻度が徐々に減っていった。また、NHK-BSが「阪神偏向中継」を始めるなど、球界こぞって阪神の強化にも力を入れ始めた。そして阪神の監督にはヤクルトを辞めた野村克也を引き抜き、野村時代はずっと最下位ではあったが、シーズン序盤だけでも一時首位に立つなど(1999年、2000年)、チームの土台を作った。そうしてお膳立てが整ったところに迎え入れられたのが星野仙一だった。

1993年からのナベツネによる球界カイカクによって、ドラフトの逆指名制度とフリーエージェント制が導入され、ヤクルトや広島といった資金力のないチームは、草刈り場と化した。たとえばヤクルトは広沢克己やハウエルといった主力選手が巨人に引き抜かれた。それでも、名将野村克也は93年、95年、97年と隔年でチームを日本一にした。また、地道にチームを強化してきた横浜ベイスターズは、97年突如開花してヤクルトと優勝争いを演じ、翌98年には38年ぶりのリーグ優勝、日本シリーズ制覇を果たした。1997年にヤクルトと横浜が優勝争いを演じたのは、セ・リーグ史上空前のことであったが、絶後にもなりそうだ。この頃は、巨人戦中継はくそ面白くもなかったが、ヤクルトと横浜の試合は面白かった。首位攻防戦で石井一久ノーヒット・ノーランを演じてからもう10年にもなる。

しかし、いつかは金のあるチームしか勝てない状況になる。それは覚悟していたし、その最悪のあらわれが2000年のシーズンだった。あの年の暑い夏、広島から巨人が引き抜いた江藤智らが広島市民球場でホームランを連発して巨人が広島を3タテしたのを見て、私のプロ野球への愛着の糸がぷっつり切れた。今では、年に10試合ほどをテレビで見るだけだ。それも、セパ半々ほどで、巨人の試合は避けることにしている。パ・リーグではロッテと日本ハムの試合が面白いと思うが、しょっちゅう見る気にはなれない。

プロ野球新自由主義的カイカクによって、セ・リーグでは2000年以降、奇跡的な2001年のシーズンを除いて(なにしろヤクルトと今はなき近鉄日本シリーズを戦ったのだ)、巨人、阪神、中日という資金力のある3球団にしか優勝のチャンスのない時代になった。今年はその3チームによってプレーオフまで行われる。「伝統の一戦」がプレーオフになるなんて(対戦しない可能性もあるが)、一リーグ時代の二シーズン制で巨人と阪神が優勝決定戦を行った時以来ではないだろうか。

しかし、プロ野球の人気は凋落した。阪神はまだ人気があるが、巨人は見る影もなく人気を失い、先日の巨人−阪神の首位攻防戦も、首都圏では視聴率10%にも届かなかったそうだ。もちろん私も見ていない。昨日(9月15日)、久しぶりに阪神−中日の首位攻防戦をテレビで見た。阪神の試合を見たのは今季3度目。前回も同じ中日戦だったが、場所が大阪ドームで、試合も中日が勝ったのであまり盛り上がらなかったのだが、昨日は投手戦の末に阪神が勝ち、甲子園球場は大いに盛り上がった。そして、ナイターで巨人も勝ったらしいので、巨人が2位に浮上した。だが、その盛り上がりは球場内にとどまり、「巨人と阪神が競ってプロ野球人気を盛り上げる」という10年前の球界のもくろみは、完全に失敗に終わった。

プロ野球界に「新自由主義的カイカク」を導入した成れの果てが、現状の不人気なのである。