kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「漢奸」〜「反日」に相当する中国版ネット右翼用語

4日付の読売新聞に、「ワールド・ビュー "「愛国者」と「売国奴」"」と題された面白い記事が出ている。ネット版では公開されていないようなので、一部を紹介する。

ワールド・ビュー "「愛国者」と「売国奴」"

 中国のインターネット上では、数知れない「愛国者」の群れが、狩りでもするかのように獲物を探している。フランス系スーパー・カルフールヘの不買運動のように外資系企業にかみつくこともあれば、欧米や日本の言い分に一定の理解を示した中国人に襲いかかることもある。

 中国人の標的の多くが「漢奸」と呼ばれる。民族の裏切り者、売国奴という意昧で、中国では、相手に「永遠に罪人たれ」と宣告する最大級の侮蔑語だ。

 「中国一の大罪人になった気分だったね」と言う。

 ネットだけなら無視すればすむが、そうもいかない。「ネット愛国者」たちは、人の姿が見えない人海戦術で「漢奸」のプライバシーを暴いていく。彼の職場には、解雇を求める匿名の手紙やファクスが続々と来た。「闇夜には気をつけるんだな」との脅迫状も届いたそうだ。

 「同僚は遠ざかり、上司は露骨に嫌な顔をした」という。社会的生命が危うくなった。

 「私が漢奸だと?ばかばかしい」と思う。理性的外交こそが中国の利益になる、との考えは今も変わらない。だが、公の発言には用心するようになった。

 チベット問題や北京五輪聖火リレーを巡っても、理性的対応を訴えた多くの中国人が、「漢奸」呼ばわりされた。報道によると、パリで抗議者から聖火を守り抜き、国民の愛国心に火をつけた車いすのヒロイン・金晶さんでさえ、カルフール不買運動に賛成しなかったため、一部で「漢奸」と呼ばれた。

 「愛国」の旗を高く掲げる我々こそ正義、という自己中心的な群集心理が見てとれる。

(後略)

(2008年5月4日付読売新聞より 中国総局・杉山祐之)

コイズミ政権の頃、たとえばコイズミの靖国神社参拝に反対する意見をネットで述べると、「反日」呼ばわりされた。

私がブログ(「きまぐれな日々」)を立ち上げてから2か月くらいの頃、早くも「反日Blog監視所」に監視対象のブログとしてリストアップされたものだ。極右の安倍晋三政権が無残な倒れ方をして、そうしたファナティックな傾向には歯止めがかかったが、中国のネットの状況は、まるで日本のあとを追うかのように、現在は中国版ネット右翼ともいうべき人たちが跳梁跋扈しているようだ。「漢奸」とは、日本のネット右翼用語「反日」に相当する、中国のネット右翼用語なのだろう。