kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

今上天皇の名前「明仁」を「昭仁」と誤記していた産経新聞(2012年)

しばらく前に「漢字が書けない中国人」の報道が話題になったが、この件に関する韓国・朝鮮日報の記事が面白い。


http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/25/2013082500356.html より。

 数年前、中国陝西省西安碑林博物館に行った。王羲之や蘇東坡をはじめとする名書家の文字が刻まれた石碑約1万1000点が所蔵されている場所だ。同行者が碑文を声に出して読んで解釈したところ、中国人がやって来て「どこから来たのか」と尋ねた。「韓国だ」と答えると、「どうして韓国人が中国語の古文を読めるのか」と驚いた。現代の中国人にとって、碑文に書かれた中国語の古文は暗号と同じだ。1960年代に毛沢東らの指示で普及した簡体字を習っているからだ。

朝鮮日報 2013/08/25 09:47 池海範(チ・ヘボム)論説委員 「【萬物相】漢字が書けない中国人」より)

ハングルを用いている韓国人にどのくらい中国語の古文(漢文)が読めるのかという気もするが、あの「簡体字」には困ったもので、もとがどんな漢字だったか想像がつかないことが多い。もっとも台湾の人たちからみれば、日本の常用漢字に見られる新字体も「なんじゃこりゃ」ってところだろうか。

 今年6月末、中国福建省廈門(アモイ)市の新聞が習近平国家主席のニュースを伝る際、名前の真ん中の漢字を「進」と書いた。「近」と「進」の中国語の発音は「jin」で四声も全く同じため混同したもので、編集責任者が懲戒処分を受けた。

(同前)

戦前の日本で同様のことをやって新聞社員のクビが飛んだという話を聞いたことがあるが、昭和天皇が病に臥した1988年(昭和63年)だったかに、朝日新聞に「天皇倒下」という誤記が載ったと、右翼系の月刊誌が騒いでいたとか、2005年に勝谷誠彦朝日新聞の日曜別刷に「阿保親王」を「阿保天皇」と誤記されていたことをあげつらって、「朝日新聞天皇を『アホ』と書いている」*1と喜んでいたとかの話が思い出されるが、ネット検索をかけたらこんな傑作な件を見つけて爆笑した。


http://d.hatena.ne.jp/sankeiaidokusya/20120222/p1(2012年2月22日)

<Yさんほか6人からの投稿を合体>

産経新聞愛読者倶楽部は、保守の新聞でなくてならない産経新聞の弛緩・左傾化に警鐘を鳴らしてきた。特に皇室関連の間違いについては再三指摘してきた。しかし産経側は反省せず、読者の指摘(寛仁親王殿下は三笠宮家ではありませんなど)に頑として訂正しなかった。

危惧していた決定的なミスが起きた。

きょうの「正論」欄「なぜ今、昭和天皇とその時代か」(学習院大学教授 井上寿一)の中で「昭仁皇太子の婚約をめぐる『皇室ブーム』は」と書いている。今上陛下のお名前「明仁」を「昭仁」と誤記しているのだ。

MSN産経ニュースやイザ!などはけさ、あわてて記事全体を削除したが(MSN産経ニュースは午後に修正してアップ)、200165万部の新聞は既に配達されている。

なぜ井上寿一の「正論」がきょう掲載されたのか。それは、井上が第12回正論新風賞を受賞し、きょう贈呈式が行われることへのご祝儀である。井上寿一は正論新風賞の受賞を辞退すべきである。

そして、この「正論」欄の編集にかかわった産経社内のおそらくは数十人の社員は、誰一人としてこの不敬な間違いに気付かなかった。陛下のご快癒を国民こぞってお祈りしている折も折である。日本人失格である。

これは、起こるべくして起こったミスである。なぜ当産経新聞愛読者倶楽部の警告を聞いてもらえなかったのか。

産経新聞社の

  • 専務取締役(編集・論説・正論担当) 斎藤勉
  • 取締役論説委員長 中静敬一郎
  • 取締役東京編集局長 飯塚浩彦
  • 論説副委員長(正論欄担当) 西田令一

は腹を切るべきである。比喩で言っているのではなく本当に腹を切るべきである。そして人事を刷新して、愛国的な新聞に生まれ変わってほしい。


朝鮮日報のコラムの結び。

 国営テレビ局「中国中央電視台」で放送されている番組『漢字の書き取り大会』を見ると簡単な漢字も書けない人が多い、と香港紙が報道した。無作為に選んだ観覧客のうち、「厚」という字を正確に書けた人は半数にもならなかった。難しい漢字「蟾(ヒキガエル)」が書けた人は30%だった。同紙は「デジタル時代で中国人の漢字を書く能力が衰えている」と報じた。「提筆忘字」という新造語も生まれた。「ペンを手に持ったのに文字が思い出せない」という意味だ。

 中国人の漢字能力は共産政権発足後の「簡体字化」で急激に低下した。現在の簡体字すらきちんと書けないという現象は「第2次断絶」とも言える。デジタル機器が日常を支配し、言語生活を壊しているのは中国だけではない。韓国も「ケージョア(口座)番号」を「クェージャ(壊者)番号」「ウェースンモ(外叔母=母方の叔母)」を「エースンモ(子どもの叔母)」、「ヘグェマンチュク(駭怪罔測=非常に奇怪だ)」を「フェグェマンチク(悔改マンチク)」と書く若者が少なくない。テレビには「メンブン(メンタル崩壊という意味の韓国語の略)」「カムノル(ビックリしたという意味の韓国語の略)」といった「壊れた韓国語」の字幕が次々と登場する。どの国も「デジタル時代に文字を忘れた人」に頭を抱えている。

朝鮮日報 2013/08/25 09:47 池海範(チ・ヘボム)論説委員 「【萬物相】漢字が書けない中国人」より)


もちろん日本でも事情は同じだろう。

*1:阿保親王」の「阿保」は「あぼ」と呼ぶ。勝谷誠彦はこれを知らなかったらしい。アホは勝谷の方である。勝谷の地元である兵庫県の他、大阪にも「阿保親王塚」があるのだが。