kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

ソ連は海流の流れを変えようとしてたんだっけ?

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20091022/1256165131#c1256259044に、下記のコメント(id:kechack)が寄せられた。

まず環境保護=左翼というのは間違い。共産主義各国の方が西側にり酷い環境破壊が行われていました。

 日本を始め、西側各国の左翼運動化が革命を諦めて、多くが環境保護運動に走ったと言うのは事実ですが。確かに反資本的というところでは取っ付きやすい運動でありますからね。
 経済至上主義の経済保守が環境保護運動に敵対するでしょうが、真正保守主義者はむしろ環境保護運動に親和的なはずです。本来日本の美しい伝統文化を守ると言うことと、日本の美しい自然を守るということは陸続きで極めて親和的なはずですから。
 むしろ今まで真正保守主義者が社会主義と対峙するために様々な保守主義との共闘を重視する余り、本来の保守主義を捨てて経済保守主義に雷同し、環境保護運動を敵視してきたことの方がおかしいです。

これを読んで、ふと大昔の高校生時代に地理の教師から聞いたことを思い出した。

当時、ソ連は、どこの海だったか忘れたが、一大土木工事によって、海流の流れを変えて、暖流が自国の近くに来るようなプロジェクトを計画しているとのことだった。地理の教師は授業でこれを無批判に紹介したのだが、高校1年か2年生だった私と級友は、「それって生態系に影響を与えて自然破壊につながるんじゃないか」と感想を述べ合ったものだ。

旧ソ連は、確かに自然を土木工事で征服しようとしていたところがあった。とにかく、当時の「社会主義国」はありとあらゆるものを征服しようとしていた。芸術の世界には「社会主義リアリズム」が持ち込まれ、たとえば音楽の場合だと、作曲家は聴衆にとって「わかりやすい」(=ソ連の体制を擁護する)音楽を書かなければならなかった。ショスタコーヴィチ(1906-1975)が、表向き体制を擁護するかに見せかけながら、その実体制を皮肉ったダブルミーニングの音楽を作曲したことはよく知られている。人間の尊厳に顧慮しなかったのがソ連共産党だったのだが、驚くべきことに、1980年代前半くらいまで、つまり、ゴルバチョフペレストロイカを始める直前まで、NHK-FMクラシック音楽を解説していた評論家や学者たちの多くが、ソ連や東欧を手放しで賛美する人たちだったのである。そういう人の解説に導かれて、ショスタコーヴィチソ連共産党体制マンセー合唱曲である『森の歌』を聴いたのは1981年のことだったが、私は、そんな馬鹿げた風潮が真面目に受け取られたことをリアルタイムで知っている最後の世代の人間かもしれないと思う。

ポスト冷戦になってからのアメリカもまたろくでもなかったとはいえ、共産党支配のソ連が崩壊したのもまた必然だった。もちろん、毛沢東文化大革命が長続きしなかったのも当然である。