kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

志位和夫が敬愛するショスタコーヴィチと「民主集中制」とは相容れないのではないか

 Twitter立憲民主党(立民)支持者の中でも最左派の一人と思われる神子島慶洋氏が、共産党志位和夫氏を評価するツイートを発信している。

 

 

 志位は東大の物理工学部卒でショスタコーヴィチが好きなんだっけ。音楽好きならバルトーク愛好者の福田康夫が直ちに連想されるが、福田は早稲田の政経だったな。

 ちょっと皮肉を言うと、ソ連共産党の強権体制下で裏表ありまくりの音楽を作ったショスタコーヴィチの愛好家が民主集中制を堅持する日本共産党の最高指導者だというのはまずいんじゃないかねえ。いや問題なのは志位氏自身の資質ではなく「民主集中制」の方だけど。そろそろ日本共産党の党内外から同党の民主集中制の是非に関する本格的な論戦が活発化しなければならない時期に入ったと私は確信している。衆院選での野党共闘に関して「間違っていなかった。マスメディアの報道が悪い」一辺倒のように思われた志位氏の「総括」は問題含みだ。小選挙区制を軸とした衆院選での「野党共闘」は、敗北の責任を取って立民代表を辞任した枝野幸男が言った通り、共闘するしか方法がなかったというのが実情だろう。その戦術を強いられたのはいうまでもなく小選挙区制のせいだが、衆院選から2か月経って早くも選挙制度の抜本的な改正に関する議論は全く行われなくなった。このことは、政治において「既成事実を作る」影響力が以下に大きいかを示している。現役の国会議員の中で1990年代の「政治改革」にもっとも重い責任を有しているのはいうまでもなく小沢一郎だ。小沢の罪は万死に値する。しかし、某新選組の支持者(や「信者」)の多く(「信者」の場合はほぼ全員)が未だに小沢を支持あるいは信奉し続けている。あの組が信用ならない最大の理由だ。もちろん、小沢自身が属している立民も信頼に値する政党だとは全く言えないが。

 志位の音楽の話に戻ると、一昨年前には旧国民民主党(民民)が下記のツイートを発信していた。それから2年しか経っていないが隔世の感がある。

 

 

 志位和夫を呼んでいた旧民民がその後右翼・新自由主義色を強めた新民民になり、玉木は排外主義のネオナチ政治家かと思わせる言葉を発するに至った。

 動画で志位が弾いているのはショパンの作品24-4のマズルカ変ロ短調だが、この曲は昔、故野村光一(1895-1988)*1が「構成」した(読み上げはNHKアナウンサー)NHK-FMの「大作曲家の時間 ショパン」のオープニングで流れていた。中学生時代の私はショパンの主要な作品をこの番組で知った。なんとYouTubeでその音声に接することができることを、この記事を書くためのネット検索で知った。第1回へのリンクを下記に示す。

 

www.youtube.com

 

 リンクは第1回のみ示したが、第2回から最終回の第27回までの音声も、第9回と第24回を除いてすべてアップされている。YouTubeへの登録は2012年だが、全然知らなかった。動画(といっても音声だけの静止画だが)の字幕に「1975年頃」とあるが、1975年9月末から翌1976年3月末にかけて放送されたと記憶する。このあと時間をかけて聴いてみようか。40分番組だったようなので、全部聴くと18時間かかる。暇を見つけて少しずつ聴くしかなさそうだ。

 1975年というと、東京都知事選で石原慎太郎美濃部亮吉に負けた年だし、プロ野球で読売が最下位に落ちた年*2だが、私がクラシック音楽を聴くようになった年でもある。志位和夫が敬愛するショスタコーヴィチが死んだのはこの年の8月9日だった。関係ないが、昨日(12/29)読み終えたアガサ・クリスティが自らの死後に発表するつもりだったエルキュール・ポワロ最後の事件『カーテン』を発表したのもこの年だった*3。クリスティは翌1976年早々に死去したが(1月12日)、その直前に周恩来が死んだ(1月8日)。ショスタコーヴィチと生没年(1906-1975)が同じ人といえばハンナ・アーレントだが、8代目板東三津五郎も同じだった。三津五郎がフグ中毒死したのは1976年1月ではないかと思っていたが、ネット検索するとそれは記憶違いで、1975年1月16日だった。周恩来アガサ・クリスティ(ともに1976年1月没)より1年早かった。

 中国では1976年9月に毛沢東が死んで文化大革命が終わり、江青ら「四人組」が失脚したが、中国共産党民主集中制は堅持され続けて1989年には天安門事件を引き起こし、今また習近平の下でモンスター化しようとしている。それに力で対抗しようとすることは愚策中の愚策だと思うが、日本共産党習近平の中国を非難するのは当然だとしても、その中国に対抗するのに北京五輪の「外交ボイコット」を安倍晋三らと一緒に後押しすることで良いのか。そういう議論をするための大きな阻害要因が、日本共産党が今も堅持する「民主集中制」だろう。もちろんは私は同党の民主集中制を断固として批判する側に立つ。

 何より、志位和夫氏が愛好するショスタコーヴィチ民主集中制とは相容れないのではなかろうか。

*1:最終回の第27回で野村光一の声が聴ける。基本的に標準語で喋っているが時折関西アクセントが混ざるように思われたのでネット検索で調べてみると、やはり野村氏は大阪出身だった。

*2:その後読売は一度も最下位に落ちていない。なんたる痛恨事!

*3:私が『アクロイド殺し』を読んでいる最中に級友にネタバレを食らったのは『カーテン』が発表されるほんの少し前だったはずで、アクロイドでそれをやったクリスティなら、ポワロ最後の事件ではあれをやったんじゃなかろうかとの予測はその時からしていた。「あれ」にはエラリー・クイーンの先例があったからだ(そのこともネタバレを食って知ってしまったので、同作は今に至るも読んだことがない。今から読み返すなら四部作全部になろうが、時代を経て人気が凋落したクイーンのミステリを今さら読み返す気が起きるかどうかはわからない。)。果たしてその通りだったことはその後ネタバレで知ったが(記憶が曖昧になっていたが、つい最近にもダメ押しを食ってしまった)、それを確かめる読書でもあった。詳しくは明日(12/31)公開の読書ブログの記事に書く。