kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

まるで「逆ライブドア事件」だな

2006年のライブドアへの強制捜査はたしか1月16日、休み明けの月曜日だったと記憶している。耐震偽装問題でヒューザー小嶋進社長(当時)が証人喚問される前日だった。証人喚問をなぜ阪神大震災の日に当てるのかと思っていたのだが、その証人喚問も吹っ飛ぶ大きな事件だった。

やはり1月中旬の今日、小沢幹事長政治団体陸山会や、ゼネコンの鹿島建設などに東京地検特捜部が一斉捜索を行なったとのニュースに接し、まるで「逆ライブドア事件」だなと思っていたら、『広島瀬戸内新聞ニュース』がホリエモンのブログを引用するエントリをあげていた。

ホリエモンも冷静に分析、東京地検の陸山会捜索 : 広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)

以下引用する。

小沢幹事長政治団体陸山会や、ゼネコンの鹿島建設などに東京地検特捜部が一斉捜索を行なっています。

これについて、堀江貴文さん(ホリエモン)が以下のような分析をしています。

http://news.livedoor.com/article/detail/4546465/

小沢氏の窮地と検察とのガチバトル
2010年01月13日17時26分 / 提供:堀江貴文オフィシャルブログ

陸山会」問題で石川議員事務所など捜索 東京地検特捜部

地検特捜部の独善的体質というかメディアとの癒着というか、嫌われ者を狙う体質が象徴的に現れたというべきか。ポッポ首相の脱税に関しては上申書だけでOK というのは、日本人の多くが代々の金持ちおぼっちゃんに対して比較的優しいという反面、小沢氏のような(実際には親も政治家なのだが)一般的には成り上がり者で(おそらく)金に汚いのではないかと思われている印象の人物に関しては、容赦なく切り込んでくるという、大衆の気持ちを読みながら強制捜査を仕掛けてくるというのは、明らかに検察の捜査権+起訴便宜主義の濫用というべきだろう。

(中略)

ただ、今回の小沢氏の問題は複雑である。鈴木宗男氏の摘発と佐藤優氏の「国策捜査」論がそれなりに世間に認識されつつあり、検察の無茶な捜査の一環とこの小沢氏の問題も認識されつつある。失敗した場合特捜部の存在自体が問われる自体になりかねない。検察は大勝負をかけていると思われる。

でも、それが自分達の利権の確保と、検事総長の人事問題とかそんなくだらないプライドを確保するためだったとしたら逮捕されて拘留されたりする人たちがかわいそうな気がする。


申し添えれば、わたし自身は、ホリエモンを2005年衆院選で刺客に送られた亀井静香さんを推していた側の人間です。ですが、今回のこの分析に関してはそのとおりだと思います。

検察は、「小沢さんが、胆沢ダムの利権を巡って、鹿島建設などから闇献金を受け取り、それが4億円の土地代金購入資金に充てられていた。」というシナリオを描いていると思われます。

だが、そもそも、2000年4月に与党を離脱した小沢さんに、「職務権限」などあったのでしょうか?

むしろ各種国の公共事業に関連して、怪しいのは、二階前経済産業大臣ら、自民党サイドの方々でしょうが?

だいたい、職務権限があるなら、受託収賄罪で小沢さんを逮捕すべきですが、そういうことはしないでしょう。


あのライブドア事件強制捜査が報じられた時にも、これは政治的な捜査だなと思った。前年の総選挙で、小泉自民党が圧勝し、小泉・竹中に代表される「新保守」の絶頂期に、「旧保守」が「新保守」に敢然と挑戦した権力闘争だと、私は見ていた。それは壮絶きわまりない闘いだった。

今にして思えば、前年の耐震偽装問題にも同じ構図が当てはまった。当時ネットで大きな話題を呼んだ『きっこの日記』のスクープは、明らかに東京地検筋をニュースソースにしていた。「綜合経営研究所」の内河健四ヶ所猛が「黒幕」であるというシナリオは、東京地検が描いたものに過ぎなかったし、現在ではこのシナリオは誤りだったというのが定説になっている。つまり、内河氏や四ヶ所氏は濡れ衣を着せられた可能性が高いのである。しかし、当時は『サンプロ』でも田原総一朗が内河氏や四ヶ所氏に対して行ったインタビューも放送され(2005年12月18日放送)、誰もが「内河や四ヶ所はクロだ」と思った(私も例外ではなかった)。4年後のいま冷静に振り返ると、ネットがリアルに影響を与えたわけでもなんでもなく、東京地検が糸を引き、マスコミも公認したネットのキャンペーンに過ぎなかった。

そして、東京地検耐震偽装問題の次のターゲットに定めたのが、ホリエモン村上世彰だった。私は、彼ら、特に村上世彰は逮捕されて当然だったと今でも思っているが、それでも彼らはスケープゴートに過ぎなかった。本当に東京地検が巨悪にメスを入れたいのだったら、自民党の大物政治家たちに捜査が及ばなければならなかったはずだが、そうはならなかった。耐震偽装事件とライブドア事件は、新自由主義全盛の風潮に陰りがさすきっかけになったことは確かで、つまりコイズミや竹中平蔵はダメージを被ったといえなくもないが、どういうわけか疑惑は安倍晋三をスルーしていった。「安晋会」の理事を務めていた野口英昭氏が沖縄で変死した事件も起きたが、「自殺」で片付けられた。NHKテレビの『日曜討論』で現首相の鳩山由紀夫(当時民主党幹事長)が「ライブドア投資事業組合に関与した自民党の政治家」として「安倍官房長官」(当時)の実名を挙げたことさえあったのに(2006年2月12日放送)、なぜかマスコミはこの鳩山発言を全くフォローせず、「なかったこと」にしてしまった。そして、その4日後の2月16日、あの「偽メール事件」が起き、以後急速に事件の追及が尻すぼみになってしまった。罠に引っかかった元民主党代議士・永田寿康は、議員辞職に追い込まれ、事件から3年後の昨年1月3日に自殺した。

今回も、昨年の総選挙で民主党が圧勝した翌年の1月中旬の強制捜査ということで、いやでもライブドア事件が思い出される。「新保守」に対しても小沢一郎に対しても敵対的な勢力というと、あの人たちくらいしか思い浮かばないのだが、その人たちの意を受けた政治闘争の色合いが濃くはないか。陰謀論的な発想ではあるが、そう思えてならない。