kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

宗像紀夫の虚々実々

先週のサンプロで、元東京地検特捜部長の宗像紀夫東京地検特捜部擁護の論陣を張った時、私はあれっと思ったのだった。

なぜかというと、昨年4月1日付の朝日新聞立花隆小沢一郎を批判する論説が載った時、私が きまぐれな日々 立花隆の痛烈な小沢一郎批判「師から何を学んだ」 でこれを紹介したが、同じ紙面には宗像紀夫へのインタビュー検察批判も掲載されたのである。『きまぐれな日々』でもこれに軽く触れたが、宗像はインタビューの最後に

検察はいつでもどんな事件でもやれるということになったら、『検察国家』になってしまいます

と語っているのだ。上記『きまぐれな日々』は、立花隆による小沢一郎批判を肯定的に紹介したものであり、読者から激しい反発を受けた。以下に、「負け組みの矜持」さんからいただいたコメントの一部を示す。

kojitakenさんには失望しましたね。
「朝日」、「立花隆」、「小沢一郎」をグーグルで検索すると、1番トップにkojitakenさんのエントリがヒットしました。「立花隆」という名前を使ってブログ人気を押し上げることはできるでしょうし、小沢氏を民主党から引き摺り下ろすのにも役立つでしょう。でも、一緒に民主党も分裂しますよ。

(中略)

kojitakenさんが「立花隆」をタイトルに用い、「宗像紀夫」をタイトルに用いなかったkojitakenさんの手法に疑問を持ちます。「おお、立花隆小沢一郎批判か、小沢も終わりだな」とタイトルを見れば、皆思うでしょう。

(以下略)

2009.04.01 12:12 負け組みの矜持

その宗像紀夫が、先週と今週のサンプロで、一転して東京地検特捜部擁護の論陣を張った。だから私があれっと思ったわけだが、これに関して先週の番組に出演していた高野孟が内幕を書いている*1

追加情報としてちょっとした裏話。先日のサンプロで、郷原弁護士が徹底した反検察の立場をとっているのに対し、宗像元特捜部長は親検察というか「特捜の仕事の仕方はこういうことなんだから甘く見てはいけない」という趣旨の発言に終始した。それで番組の議論は結構盛り上がってよかったと思うのだが、終了後、宗像は大谷昭宏に向かって「私も実はあなたと意見は同じなんですよ。今回の検察のやり方は全く目茶苦茶です」と言っていた。ま、ここで郷原と一緒になって検察批判をしたんでは番組として成り立たないという判断だったのだろう。弁護士というのは、例えば個人的には絶対にクロだと思っている凶悪犯のために正々堂々の弁護を繰り広げて無罪を勝ち取ったりすることが出来る仕事柄であって、この程度の演じ分けは苦でもないのだろう。テレビ番組の裏にはこんな虚実もあるのであって、私はこの日、「お、宗像さんは今日はそっちで振る舞うのか」という感じで見ていた。

投稿者: 高野孟 | 2010年1月19日 21:57

この件は、さっき『サンプロ』で郷原信郎宗像紀夫に直接突っ込んでいたが、宗像は言い訳して否定していた。だが、その言い訳は何を言っているのかわからないしろものだった。

高野孟のブログを見ると、革命対反革命だのと気勢を上げていて、民主党と一心同体みたいなスタンスをとっているようだから、その点は割り引いて考える必要があるだろう。しかし、宗像紀夫のスタンスが不自然であるとは、私も感じるのである。もしかしたら、自らが決定的なダメージを受けることなく検察側の立場で論陣を張れる人物などそうそういないから、宗像に白羽の矢が立ったのではないかとも思うし、それには現在の政権政党民主党であることとも関係があるだろう。権力対権力のぶつかり合いだから、片方に一方的にコミットするようなリスクをとれる人は少ない。

宗像紀夫佐藤栄佐久・前福島県知事が収賄で逮捕された事件で佐藤氏の主任弁護士を務めており、二審で有罪判決ながら収賄額は0円だったと裁判所に認めさせた人物であり、番組で宗像は「あの事件については検察が作り上げた事件であり、検察は許せない。だが今回とは事件が違う」と言っていた。そういう人だから、検察を批判したり擁護したり、いかようにも振る舞えるわけだ。