kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

セ・リーグはすさまじい「格差社会」

昔から、豊田泰光のファンである。

といっても、豊田の現役時代は知らない。子供の頃、読売テレビ(私は関西で見ていたから)の巨人戦ナイター中継が早く終わった夜、1958年の日本シリーズ西鉄、奇跡の大逆転優勝」の映像が流されたことによって、西鉄ライオンズの栄光を知ったが、そのシリーズでは「神様・仏様・稲尾様」がヒーローであって、打者では中西太も有名だったが、豊田は稲尾や中西ほどにはクローズアップされていなかった。私が中高生だった頃、稲尾と中西はともに大阪で野球解説者をしていたが、豊田は選手時代の末期にスワローズに移籍した縁からか、東京のフジテレビで解説者をしていたため、なじみが薄かった。

私自身が上京して、フジテレビの「プロ野球ニュース」を毎晩見るようになった頃、他の解説者と一味違うコメントをする豊田泰光に注目するようになったのだった。それが1981年のことで、当時確か豊田は46歳だったはずだから、今年で75歳ということになる。月日の経つのは早いものだ。

その後、豊田泰光が書く文章を読むようになって、本格的に豊田のファンになった。豊田は、決して代筆はさせず、自分で文章を書く人間だ。今ではもう読まなくなったが、かつてはコンビニに売られている『週刊ベースボール』で豊田泰光のコラムを必ず読んでいた。調べてみると1993年連載開始だそうだ。80年代前半には『サンデー毎日』にもコラムを持っていたように記憶しているし、私が日経新聞を購読していた頃、豊田泰光のコラムの随時掲載が始まり、ほとんど共感できなかった日経の紙面にあって、楽しみにしていた数少ないコラムだった。その豊田泰光が書いた最新の日経コラムは読ませる(下記リンク先)。


セリーグ 深刻な球団格差 :日本経済新聞


私は、今でも当ブログにプロ野球に関する文章を書くけれども、実際には球場に足を運ばないどころか、プロ野球中継もほとんど見なくなった(中継が激減したせいもあるが)。それは、プロ野球チームのない四国に最近まで住んでいたせいもあるが、それでも、2005年8月にははるばる松山の坊っちゃんスタジアムまで、阪神と広島の試合を見に行ったことがある。だが、その試合は阪神ワンサイドゲームだった。広島の先発は現ドジャースの黒田だったと記憶するが、早々と阪神打線に打ち込まれて、結局広島は二桁失点を喫して大敗した。試合が終わるまで見ていたのでは家に帰り着けないので、8回で球場をあとにした。これが、最後のプロ野球生観戦になっている。プロ野球の常打ち球場が近くなった今も、球場に足を運ぶ気がしない。

上記の試合に象徴されるように、広島は上位球団に勝てなくなった。私がこの試合を見た2005年は、阪神が中日との優勝争いを制して優勝したが、当時巨人は参院選に立候補する堀内恒夫が監督を務めていて、5位に低迷していた。現役時代に巨人キラーとして知られた元中日・ロッテの牛島和彦が率いる横浜が、巨人をカモにしていた。

しかし、巨人に原辰徳監督が復帰すると、巨人の成績はV字回復し、横浜も巨人に歯が立たなくなる。さらにひどいのはヤクルトで、投打の柱・グライシンガーとラミレスが巨人に移籍して以来、巨人に歯が立たなくなった。

2007年に「クライマックス・シリーズ」が始まってから、3年続けてリーグの覇者・巨人に中日が挑んだ。最初の年には中日が勝ったが、リーグ優勝チームにアドバンテージがついた2年目以降は巨人が楽勝している。巨人への挑戦権を賭けた第1ステージは、最初の2年は中日が阪神を下し、3年目にはヤクルトが進出したものの中日に負けた。昨年のヤクルトは、前半は巨人を追って2位につけていたのに後半に大失速し、中日に抜かれ、阪神にも危うく抜かれそうになった。たまたま前半戦で中日と阪神を相手に稼いだ貯金にものをいわせて、なんとかクライマックス・シリーズに進んだとはいえ、力不足は否めなかった。

現在のセ・リーグは、巨人>中日・阪神>>広島・横浜・ヤクルトという階級ができ上がっている。2007年には中日が巨人に勝って日本シリーズに進出したり、今年は阪神が巨人との対戦成績をリードしていたり、広島が中日との対戦成績をリードするなどの小さな波乱はあるけれども、この階層構造は大きくは動かない。

豊田泰光は書く。

 セ・パ交流戦はみんなうすうす感じてはいるけれど口にしてこなかった懐疑を、明るみのもとにさらした。巨人、阪神、中日が、ひごろ下位相手に積み重ねている勝ち星の価値はいかほどのものか、という懐疑を。

 リーグにメジャーでないチームを抱えることは全体の地盤沈下を招く。大リーグが球団間の貧富の差をいわれながら永らえているのは、過去10年のワールドシリーズで、入れ替わり立ち替わり8球団が世界一になるなど、ファンの気をそらさないようにできているからだ。

 日本でも地道に頑張っている広島あたりが、10年にいっぺんぐらいは優勝できるようにしないと、忍耐強いファンもしびれを切らす。

 セの上位は「ルールにのっとって補強している」というだろうが、興行として成り立たなければ元も子もない。オーナーたちで緊急ミーティングを開いてはいかがか。それくらい事態は切迫している。


その通りだ。久々に、プロ野球について書かれた文章を読んで溜飲を下げた。

中日には向こう3年、巨人と阪神には向こう5年くらいの補強禁止処分を下すとか、ラミレスはヤクルトに、新井は広島に、谷繁は横浜にそれぞれ強制復帰させるなどの措置をとらなければ、セ・リーグは立ち枯れるだけではないだろうか。