kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「みんなの党」応援に傾斜する「ロスジェネ」系学者たち

誰がどうとは言わないが、週刊誌などを立ち読みしていて目立つのが、いわゆる「ロスジェネ」系の学者たちが「みんなの党」応援に傾斜していることだ。

狡猾な彼らは、決して「みんなの党」支持は公言しない。そこへと誘導するようなことを書くだけだ。彼らの書く文章を読んだ読者は、「みんなの党」支持へと傾くだろう。そんな書き方をしているのだ。たとえば雨宮処凛との共著を持つ、ある学者がその代表例である。

雨宮処凛神野直彦の本を読んだ感想文をコラムに書く*1ような人だが、「ロスジェネ」系の学者は雨宮を取り込もうとする。

この構図についてちょっと考えてみたのだが、要するに彼ら「ロスジェネ」系の学者たちはいわゆる「リフレ派」であって、金融政策だけで、と言って悪ければ、主に金融政策で問題を解決できると考えているから、もともと「大きな政府」には反対なのだ。彼らは、累進課税所得再分配ベーシック・インカムには賛成するけれども、最低賃金の引き上げや派遣の規制には反対している。だから、もともと「みんなの党」とは親和性が強い。もっと言うと、彼らは、中川秀直自民党の「上げ潮派」とも親和性が強い、というより小泉・竹中との親和性が強い。現に、朝日新聞のインタビューに答えて、小泉構造改革を肯定的に評価する発言をしていた。

彼らの方が、主に財政政策に重きを置く学者たちの訴えより、広く支持を集めるところと、「みんなの党」への追い風は相通じるものがある。

実際のところ、世界金融危機をきっかけに各国が経験した不況に対して各国政府がとった政策は、財政政策と金融政策の併用であって、大規模な財政出動によって経済を立て直したのだが、日本では、政府に対する国民の信頼があまりに低いせいか、財政出動には世論から大きなブレーキがかかる。そして、実質的には「ニューディール政策」を主張しているに過ぎないケインズ派の学者が、「増税主義者」として叩かれる*2

どう考えても、この事態は異常である。『きまぐれな日々』に、

大きな政府」「小さな政府」を述べるまえに「民主党」を惨敗させ「消費税増税」を阻止するのがこの参議院選挙における私の最大のテーマです。

とのコメント*3をお寄せくださった読者の方がおられたが、その方が支持政党の候補として「幸福実現党」(!)まで視野に入れていたのにはぶっ飛んだ。そして、最終的にこの方は参院選では「みんなの党」に投票するのだと仰る。

これは、社民主義を志向する私のような人間にとって、頭の痛い事態である。私は、「大きな政府」か「小さな政府」かというのが、議論の基本であると考えている。「大きな政府」の前提下でも、消費税増税は直接税の税収を立て直したあとに行え、いま消費税だけ上げたら逆再分配になって人々の暮らし、ひいては日本の経済を破壊する、というのが私の主張であって、だから菅首相の唱える消費税増税に反対している。それを、「小さな政府」を目指す「みんなの党」の消費税増税反対と一緒にされてはたまらない。

みんなの党」については、社民党福島瑞穂党首の批判*4が的を射ている。

みんなの党(の政策)は小泉構造改革であって、みんなの生活を破壊する。民主党に不満な人がみんなの党に投票すれば、むしろ生活は壊れる。だから社民党に入れてくれという主張をしっかりやっていきたい。


福島氏のこの発言は正しい。しかし、福島氏の発言というと、私の耳に残っているのは、

社民党は、消費税の増税には、反対ですぅ。

という言葉だけなのだ。高福祉高負担の社会を建設するに至るロードマップを福島氏が熱く語ったことを、寡聞にして知らない。マスコミが伝えていないだけなのかもしれないが、少なくとも積極的にアピールしてはこなかった。

みんなの党」も社民党も同じ消費税増税反対なら、新鮮な印象のある「みんなの党」の支持へと、有権者は走ってしまうのである。日頃の社民党の怠慢が、参院選苦戦の原因になった。

*1:http://www.magazine9.jp/karin/100616/

*2:もっとも、ケインズ派の学者も、本来所得税増税論者でありながら、軽率に消費税増税容認発言をしたことには問題があったと思うけれども。

*3:http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1090.html#comment9699

*4:http://www2.asahi.com/senkyo2010/news/kotobaTKY201007090616.html