「鍋党〜再分配を重視する市民の会」の煽り文句に、河村たかし批判とともに「みんなの党」批判も入れているが、「みんなの党」支持者からは、「みんなの党はスウェーデン型社会を目指している」とのクレームが寄せられている。
もし、「みんなの党」が同党のシンパである飯田泰之あたりが提言する政策を本当に取り入れるのであれば、飯田は北欧のような大きな政府でなくとも、現在の予算の規模で歳出を組み替えることで効率的な再分配が可能だとし、それに加えて金融政策(リフレ)に景気を上向かせることを重視する論者であるので、「みんなの党」は立党当時の単純な官僚叩きだけの新自由主義から、経済軸上の中道政党へと路線を転換したといえるかもしれない。
私は「みんなの党」についてはあまり知らないのだが、しばらく前に、同党は橋下徹や河村たかしらとの提携はしないことに決めたという話を聞いた。橋下や河村は過激な新自由主義者だから、もし「みんなの党」が経済中道を目指すとしたら辻褄が合う話だ。
河村を積極的に評価する植草一秀は、次の総選挙は「増税VS減税」が対立軸になる、などと寝言をほざいているが、何度も何度も何度も当ブログが書くように、菅直人や与謝野馨の消費税増税・財政再建至上主義も、河村たかしや大村秀章の減税真理教も、ともに新自由主義の「第一の道」であり、「再分配を重視する市民の会」と銘打った「鍋パーティー」は、両者いずれにも対抗する、社会民主主義的、あるいは修正資本主義的な「サービスの大きな政府」の「第二の道」を目指す。既成政党でいうと、自民党と民主党はともに「第一の道」の政党で、橋下徹や河村たかしは、「第一の道」の中でも特に過激な一派とみなすのが実態に即している。「第二の道」を目指しているといえるのは社民党と共産党だが、どんどん勢力を縮小させている。みんなの党が仮に飯田泰之的な路線で行くのであれば、彼らこそが「第三の道」といえるかもしれない。
飯田泰之は、派遣労働の規制にも最低賃金の引き上げにも反対しているし、北欧のように政府が産業構造の変化に積極的に対応すべきではなく、産業界に任せておけばよいという主張だったと思う。これらの点では「第一の道」に近いが、所得税の累進性を高めよ、金持ち減税には効果など何もないと主張する再分配重視派でもあり、いってみれば市場原理主義と社民主義の中間的な主張の学者だと私は考えているし、飯田自身も「中道」を自称しているはずだ。
何が言いたいかというと民主党の小沢一派のことで、もし現在伝えられているように、小沢派が河村や橋下らと提携することになれば、小沢派は一気に経済軸上で「みんなの党」はおろか、同じ民主党の菅一派よりさらに「右」にくることになる。
つまり、小沢派が河村・橋下と提携して「減税」を前面に打ち出した時点で、小沢一郎は自らが掲げた「国民の生活が第一」というスローガンを捨てたも同然であり、新自由主義に再転向するのである。その日がくるのは時間の問題のように見える。
「みんなの党」は新自由主義で民主党小沢派は社民的だなどという固定観念にとらわれている人がいるなら、それは明白な誤りだから考え直した方が良い。
もし本当に小沢派が「減税」を掲げたら、「鍋党」の煽り文句で「みんなの党」を批判している箇所は、小沢一派批判に書き換えようかと思う今日この頃である。