kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

都市票と地方票、菅直人と小沢一郎の限界

今回の民主党代表選だが、一部小沢信者の間には、2005年の郵政総選挙と重ね合わせる噴飯ものの戦評を行う者がいる。私は、下記の点に留意すべきだと思う。

  • 2005年の「郵政総選挙」は都市部の票が動いた。東京や神奈川で、小泉自民党への雪崩が起きた。
  • 2007年の参院選では、地方の票が動いた。それまで自民党の固い地盤だった中国・四国・九州で民主党が圧勝した。
  • 2010年の参院選では、その中国・四国・九州で揺り戻しが起き、菅民主党に「ノー」を突きつけた。
  • 2010年9月の民主党代表選では、中国・四国・九州の票は小沢一郎に「ノー」を突きつけた。むしろ、千葉で票が小沢一郎に流れる傾向が見られたほか、東京・埼玉でも小沢一郎はそこそこの得票を記録した。

2007年の参院選で動いた中国・四国・九州の票が、今年の参院選では自民党に流れ、有権者民主党員に限定されるとはいえ、今回の民主党代表選では菅直人に流れた。今回も小沢一郎は高知の山間部で遊説するなどの「川上作戦」をとったが、この小沢一郎のドブ板戦術は、今回は通用せず、むしろ東京で小沢支持というか小沢狂熱の影響が見られた。菅と小沢で五分五分だった民主党国会議員のセンセたちは、週末には地元に帰るが、小沢支持の議員は、さぞ選挙区で突き上げを食って困ったことだろう。ネットでは小沢一郎マンセーが全盛だったが、それは浮わついたものであり、地に足がついていなかった印象を受ける。小沢一郎の金持ち減税政策では、地方の土豪が潤うだけであり、それは地方ではまだまだ少数派である民主党支持者の利益に合致しないから、彼らが小沢一郎を支持するはずがない。ネット右翼の狂騒が選挙結果に何の影響ももたらさないのと同じことが、小沢信者の狂騒にもいえる。

もはや信者がこんな状態になってしまった以上、仮に小沢一郎に頼る民主党リベラル派がいるとしたら、早くこれを止めた方が良い。民主党リベラル派は、旧世代に頼るのではなく、自分たちのリーダーを強く押し立てるべきだ。今年の政局を通じて、小沢一郎鳩山由紀夫菅直人トロイカが賞味期限切れであることがはっきりした。菅民主党ではせいぜい東京に本社を置く大企業男性正社員のニーズしか満たせないが、それを下から突き上げる際に、いつまでも小沢一郎の力に頼っていてはダメだ。小沢にアサッテの方向に連れて行かれるのが関の山である。それは小沢一郎が「一括交付金による財源捻出」や「所得税・住民税の大幅減税」などのトンデモ政策を突如として言い出した民主党代表選での論戦からも明らかだ。小沢一郎には、自ら掲げた「国民の生活が第一」を実現させる能力はない。市民派は、この看板だけを奪って、独自の流れを作らない限り、この窮状を打ち破ることはできない。小沢一郎では、窮状ならぬ憲法九条を解釈改憲でねじ曲げてしまうだけだ。