昨日読み終えた本。

エネルギー進化論―「第4の革命」が日本を変える (ちくま新書)
- 作者: 飯田哲也
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/12/01
- メディア: 新書
- 購入: 5人 クリック: 89回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
著者は今年の東電原発事故以来マスメディアにひっぱりだこなので紹介不要だろう。私は2008年以来、当時の「日経エコロミー」のコラムや何冊かの著書で飯田氏の論考に触れていたので、正直言って特に新味は感じられなかったが、東電原発事故を受けての手頃なまとめになっていると思った。
とはいえ、3年前に初めて飯田氏のコラムを読んだ時には、多くのことに驚かされるとともに自らの不明を恥じたものだ。当時ブログに飯田氏や金子勝、アンドリュー・デウィット氏らの自然エネルギー(再生可能エネルギー)に関する論考を取り上げた記事を何度か書いたが、決まって不人気エントリになった。しかし、東電原発事故で一変した。
事故が起きるまで全く変わらなかった日本政府の原発推進政策は問題だし、事故が起きても事故前までの原発推進路線にこだわる「野ダメ」(野田佳彦)政権の姿は滑稽でさえある。
1999年11月に、著者らの働きかけによって超党派の自然エネルギー促進議員連盟が作られた。著者はまず社民党の福島瑞穂参院議員(のち党首)に働きかけて賛同を得たが、多数派を形成すべく保守の政治家にもアプローチした。まず愛知和男*1、次いで河野太郎、故梶山静六の各議員に働きかけて賛意を得た。おそらく河野太郎はこの頃から「脱原発」派の政治家になったものと思われる。当時議連が国会に提出した自然エネルギー促進法では、固定価格買取制度の財源として電源開発促進費*2を用いるとしていた。
だが、議連が成立を目指したこの法案は、経産省や電力会社といった「原子力ムラ」の抵抗にあって頓挫した。私は当時この分野への関心がなく、この経緯を初めて知ったのは3年前に飯田氏のコラムを「日経エコロミー」で読んだ時のことだった。
2008年までの私と同様、(東電原発事故以前には)エネルギー政策の問題に関心の薄かった方々にはおすすめの一冊。