孫崎享の穏当な本『日本の国境問題』

「読まずに批判するな」という声がやかましいから、とうとう孫崎享のトンデモ本『戦後史の正体』を買って読んだ。通読して、やはりどうしようもなくひどいトンデモ本だと思ったが、この本の批判を書き始めたらやたら長くなることは間違いない。今日はあまり時間がないので、『戦後史の正体』への批判は後回しにする。

ところで、『戦後史の正体』を読む直前に、同じ著者による下記の本を読んだ（一昨日から昨日にかけて）。

日本の国境問題　尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905)

こちらは穏当至極の主張の本である（ネトウヨは怒り狂うに違いない内容だが）。思うのは、孫崎享は本書のように自分の守備範囲に著作をとどめておけば良いのに、ということだ。それを、鳩山一郎や岸信介といった、改憲派の「保守傍流」政治家たちに肩入れしつつ、妙な思い込みに固執するあまり、イデオロギー的かつ米国陰謀論に凝り固まったトンデモ本を出すから批判される*1。日本近代史の研究者が書いた本（坂野潤治著『日本近代史』）を読んだ直後に孫崎のトンデモ本を読んだ日には、あまりの落差の大きさに目が眩んでしまう。困ったものである（笑）

*1:もちろん、だから一部の信者サマから熱狂的に支持されるのだが。