kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

河野洋平氏「小選挙区制度が日本の政治の右傾化を招いた」と指摘。責任者出てこい(笑)

前回、2009年の「政権交代選挙」では、毎日新聞の「中盤戦の情勢」調査が極端な数字を叩き出し、朝日・読売がそこまでは行かない最終予想を出して、さらに朝日や読売の予想と比較しても自民党の地盤の強い北陸・中国・四国などの自民党候補(たとえば稲田朋美)が踏ん張って議席を確保する選挙結果になった。

今回も同様になるのではないかと思う。いくらなんでも地下原発推進議連顧問・亀井静香広島6区自民党候補に負けることはあるまい。しかし、朝日・読売の調査が「序盤戦」よりもさらに自民党議席が増え、民主党議席が減ったものになるのはほぼ確実だろう。自公の300議席超えはその通りになるだろうが、民主党は70議席未満(55〜69)、維新の怪は50議席未満(35〜49)、未来の党は10議席台前半から半ばくらい(12〜16)、社民党は2議席前後(1〜3)といったあたりが最終的な選挙結果ではないかと私は予想している。

これで衆院選は3度続けて極端な選挙結果になる。

今朝(12/12)の朝日新聞に、前回の衆院選に立候補せず政界を引退した河野洋平氏のインタビュー記事が出ている。「右傾化の歯止め 必要」という見出しがついていて、前半は自民党総裁選から今回の総選挙における右傾化への懸念であり、河野氏

民主党政権でも武器輸出三原則を緩和し、集団的自衛権の行使検討を主張する人がいる。政権与党と野党第1党が同じ方向を向き、右傾化まで先陣争い。昔の社会党と違い、チェック機能が働かなくなっている」(2012年12月12日 朝日新聞4面掲載「ここに注目 総選挙」の河野洋平氏インタビューより)

と指摘している。

ここで河野氏は言及していないが、集団的自衛権の行使に関しては、現在の野党第2党*1も同じ方向を向いている。同党のさる一兵卒は改憲に賛成し、集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈を「見直すべきだ」と毎日新聞の「えらぼーと」に回答しているのだ。

つまり、自民党よりも過激な維新の怪や、自民党と同程度にタカ派的なみんなの党も合わせて、「自民民主維新未来みんなはみんな同じ」なのだ。河野洋平氏も私の左記の標語と実質的に同じことを言っている。毎日更新していてさえ普段のユニークアクセス数が日に4千件、選挙の時期の現在でさえ同7千件程度の当ダイアリーに「人気がある」といえるかどうかは別として、「こういう極端な主張をする人のブログに人気があることは問題だ」などとほざいている輩をタイムマシンで1970年代半ば、河野洋平自民党を割って出て新自由クラブを結成した当時に連れて行ったら、「極右」とは言わぬまでも十分「右翼」程度にはなれるだろう(笑)。

さて、インタビューの後半で河野洋平氏は小選挙区制の問題点を指摘している。以下引用する。

小選挙区制にも問題がある。かつては自民党議員の3割くらいはハト派だった。自民党内で3割で、国会全体では社会党公明党を足せば約5割がハト派。それが日本政治のバランスをとってきた。ただ、3割では小選挙区自民党の候補にもなりにくく、他の革新政党も伸び悩む」(同前)

この選挙制度改革を軸とした「政治改革」を主導した人物は、現在野党第2党の一兵卒氏(ゴーマンだかゴーワンだかの異名をとるとも風の便りに聞いた)だが、氏は当時自民党タカ派政治家として知られていた。社会党自民党内のハト派の勢力を弱める狙いを持っていたのではないかと思われる。

もっとも、選挙制度改革には当時自民党総裁だった河野洋平氏も協力していた。聞き手の朝日新聞・田伏潤記者の「では、小選挙区制の導入で細川護煕首相に協力したのはなぜですか」という問いに、河野氏

正直こうなるとは想定していなかった。当時、派閥のない政治、党組織を重視する政治に変わるという指摘は、かなりくすぐられた。政治にカネがかからなくなると思っていたが、あの時の選挙制度改革が正しかったかどうかは疑問だ」(同前)

と答えている。

河野氏にとっては悔やまれるところだろう。田中角栄の流れをくむ稀代の金権政治家である現一兵卒氏の甘言に騙されてしまった河野氏の判断は甘かったとしか言いようがない。一兵卒氏は、単に経世会内部の権力闘争に敗れたから党を割って出ただけであり、政治資金持ち逃げ疑惑が何度もささやかれたこの男の狙いが「カネのかからない政治」なんかであったはずがない。それは単なる権力争いのための方便に過ぎなかった。現在この一兵卒が掲げている「(なんちゃって)脱原発」も同じだ。

インタビュー記事の最後、「日本の政治はどうなると思いますか」という問いに、河野氏

「このまま右へ右へと行けばリベラル勢力が絶滅しかねない。崖から落ちれば有権者も気づくかもしれないが、その時は引き返せなくなるという危惧があり、右傾化への歯止めが必要だ。選挙後には政界再編があるかもしれない。信頼がなくなりつつある政党よりも、主張を曲げずに真面目に目標に向かって歩く人間を選ぶべきでしょう」(同前)

と答えている。「信頼がなくなりつつある政党」には、現与党のほかに、それから分かれた、選挙後には野党第何党になるか知らない政党が含まれることは間違いない。その党の当選者の中にも何人かはリベラルな政治家がいるかもしれないが、選挙制度を改悪し、今なおいろんな方便を使っては政治家仲間や有権者を騙そうとしている一兵卒を排除することがリベラル勢力再編の第一歩になろうかと思う。

しかし、その道のりは限りなく遠い。あの一兵卒になびいてしまった人が多数いたことは、日本の政治にとって大いなる不幸だった。

*1:選挙後は第6党、良くても第5党への転落が予想されている。野党(あるいは与党)第何党になるかは知らないが。