kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「野党共闘」を応援した朝日・毎日、政治評論家、「リベラル」ブロガーの愚昧を嘆く

朝日(12/5)の1面トップ記事を見て脱力した。見出しだけ並べる(東京本社発行最終版)。

「自民300」予測の衝撃

民主「郵政のような熱気ないのに」

野党連携 効果見えず

首相「油断した方が必ず負ける」

自民も驚き 緩み警戒


プロ野球楽天監督時代の野村克也が、読売球団・原監督の自滅采配に助けられて勝った(読売が負けた)試合後に吐いた「バッカじゃなかろかルンバ♪」というフレーズがこのところやたら頭に浮かぶ。各メディアが発表する政党支持率は、特に時事通信がトレンドを追っていてわかりやすいのだが、この各党の支持率と、勝者総取りの小選挙区制という選挙制度を考え合わせたら、自民圧勝以外の結論など出るはずがない。この間から「小沢信者」に絡まれたり(って、私自身が挑発していたわけだがw)、その前から「悲観論を唱えて悲壮ぶっている悪癖」などと批判されていたが、選挙制度を常日頃から意識しながら思考する私は、根拠に基づいて「これ以外あり得ない」と自民圧勝を確信していたから、意に介さなかった。これが「小選挙区制」中心で行われる選挙の現実なのだ。

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20141203/1417561329#c1417689101

id:spirit7878 2014/12/04 19:31
一選挙区に一人しか当選しない小選挙区制だと、どうしても与党か野党かという、言わばオセロの世界になってきますね。
そうなる場合は与党候補も野党候補もそれぞれ1人ずつに絞った方がいいと僕は考えたのですが、当てが外れたかな?

この間はいただいたコメントを批判してきつい書き方をしてしまってごめんなさい。spirit7878さんは、お若い方と認識しています。おそらくまだ何度も小選挙区制下の衆院選をリアルタイムで追ってこられなかったでしょうから、そのように思われたのもわかりますが、「野党共闘」をしても得票は足し算には決してなりません。政党支持率の低い政党の候補は、いくら政党支持率の相対的に高い政党が候補者を出さずに「支持」を打ち出しても、得票は伸びないのです。前々回、2009年の衆院選の時に私が住んでいた香川県では、3区に社民党候補が立っていたのですが(今回の総選挙でも同じ)、1区、2区が「政権交代」の熱気に乗った民主党候補が票を集めて圧勝した一方、3区の社民党候補はお話にならない惨敗でした。今回の「野党共闘」も同じことで、落ち目の維新や生活の党の候補は、民主が立候補してなくても、民主の票が維新や生活の候補に流れる程度はたかが知れているのです。

ましてや、維新に対しては、民主党支持者のうち大まかにいって「左」側の半分か、そこまではいかなくとも3分の1程度は、強い拒絶反応を持っているだろうと私は推測しています。橋下徹が最初、自公の支援を受けて民主党が推す候補と大阪府知事選を戦って以来、右翼かつ新自由主義色の強い維新を拒否する民主党支持者が相当多数いるのは当然のことです。私自身は現在は支持政党なしのリベラル派と自己規定していますが(「小沢信者」から見たら共産党支持者に見えるらしいですし、現に最近の選挙ではしばしば共産党に投票しますが、あくまで「支持政党なし」です)、私の選挙区は自民と維新の一騎打ちで、日々の皮膚感覚とは異なって自民候補がややリードしているそうですが、それでも維新の候補なんかには死んでも投票しません(もちろん自民党候補にも死んでも投票しませんけど)。テレビ討論などで知る江田憲司橋下徹の主張を聞く限り、維新の経済政策は自民よりもっと悪く、次世代と並んで最低点というのが私の評価ですから、維新の候補が選挙区で自民に負けようが知ったことではありません。私は維新の党(や、何かと維新にくっつきたがったり候補者が維新に移籍したりする生活の党)こそ「自民党の補完勢力」だと思っているので、私にとっては自民の議席と維新の議席は等価なのです。

さて、以上でコメントへの返事は終わりなので、ですます調も終わり。

若い人は仕方ないけれど、本職の政治家や、自民に批判的な朝日・毎日の記者や、長年政治ブログを書いてきた「リベラル」派のブロガーまでもが、「野党共闘」をすれば選挙で勝てないまでも健闘できると本気で思っていたとするなら(本気で思っていたであろうと推測されるが)、それは「リベラル」*1の劣化以外のなにものでもないと声を大にして言いたい。

特に腹が立ったのが、日頃『日刊ゲンダイ』や鈴木哲夫の書く、読者に迎合した調子の良い記事にうなずき、野党の選挙区調整が進んでいると嬉しそうに書いていた、とある「リベラル」のブログだ。ブログ主は、大新聞や通信社の「自民300議席」の予想に本気で驚いたらしく、あろうことか有権者の批判ともとれる泣き言を書いていた。悪いのは有権者じゃなくて、日頃、見たくない現実を直視しないあなたの方だよと私は思った。「野党共闘」の選挙区調整を手放しで喜んでいたブログ主の選挙区は、おそらく自民対維新の対立構図の選挙区なんかじゃないんだろうな、自民対維新の選挙区に住んでいる人間の気持ちなんかわからないんだろうな、とも思っていた。

当該ブログ主には、政治はお遊びじゃないんだから、本気で政治を変えたい、と思ってブログを発信するのであれば、まず事実を(今年の流行語で言えば)「ありのまま」に見る訓練から始めるべきだと言いたい。こんな記事を読んでるかどうかは知らないけど。

最後っ屁として、政治評論家の無能を晒し、自民党関係者の本音を指摘した記事を引用しておく。公示日直前の記事。

内閣参与・飯島勲が「自民党300議席」予測! 野党切り崩しでさらに肥大化も|LITERA/リテラ

内閣参与・飯島勲が「自民党300議席」予測! 野党切り崩しでさらに肥大化も

選挙予測のプロ・飯島勲の見解は?(画像は『秘密ノート〜交渉、スキャンダル消し、橋下対策』プレジデント社より)

 いよいよ衆院選の幕が切って落とされる。マスコミ各社は先の週末に投票行動調査を実施。今週半ばから週末にかけて各党の獲得議席予測が報道される予定だが、それに先がけ、週刊誌や政治評論家が独自の調査をもとに議席予測を公開している。

 これらの予測を見ていると、数字には幅はあるものの、ほぼすべての予測で自民党議席を減らすという結果がでている。

●「週刊文春」(文藝春秋)11月13日号
232議席(63議席減)〜258議席(37議席減)

●「サンデー毎日」(毎日新聞社)11月23日号 政治ジャーナリスト・鈴木哲夫
254議席(40議席減)〜274議席(20議席減)

●「週刊現代」(講談社)12月6日号 政治アナリスト・伊藤惇夫
40議席〜50議席減らす可能性を示唆

●「週刊ポスト」(小学館)12月6日号 
200議席(95議席減)〜259議席(36議席減)

●政治ジャーナリスト・野上忠興
267議席(27議席減)

●政治評論家・有馬晴海
271議席(23議席減)

 自民党がもっとも減らすパターンでは、60議席以上マイナスで単独過半数割れの可能性を示唆する予測もある。選挙日が近づいて、野党に勢いがないのがわかってくると、さすがにそこまでの予測は影を潜めたが、それでも20議席から40議席議席減は確実というのが一般的な見方だ。

 だが、ほんとうにそうなのか。実はここにきて、これらの予測は実態とかなり食い違っているのではないか、という見方が流れ始めた。ある政治評論家が匿名を条件にこう語る。

「マスコミが報道している数字はみんな自民党が出している情報に引っ張られている。当初、自民党内部からは『50は減る』『単独過半数ギリギリかも』と、とにかく悲観的な見方ばかりが流れてきていたからね。我々の印象とはずれがあったんだが、自民党の調査がそこまで悪いなら、ということで、下方修正した。ところが、この数字はどうも各候補者や支援者の気のゆるみを防ぐために意図的に流されたものだったようだ。実際の自民党の調査では現有議席確保、うまくいけば、議席増ものぞめるという予測が出ているらしい」

 そんな中、安倍政権に深くコミットしている人物が、大胆な予測を口にして話題になっている。それは、あの飯島勲・内閣参与だ。飯島参与は「週刊文春」の連載で、「自民党現有議席にさらに上積み」「自民党単独で三百議席も夢じゃないよ」と断言。返す刀で、民主党枝野幸男馬淵澄夫、生活の党の小沢一郎、次世代の党の平沼赳夫ら、大物野党議員が当落線上にいることまで指摘したのだ。

 にわかには信じがたいような話だが、飯島参与といえば、小泉首相秘書時代から選挙予測のプロといわれ、マスコミに出るようになってからも予測を外した事はほとんどない。先の政治評論家もこう言う。

「300議席いくどうかわからないが、自民党が現状維持の295議席を確保する可能性はかなり高くなってきた。それに、民主党の大物が何人か落ちるのは確実でしょう。一説には、代表の海江田万里も危ないとさえいわれている

 まさに、恐怖の予測だが、もっと恐ろしいのは選挙後だ。自民党は野党を切り崩して、さらに勢力を拡大させるのではないかと言われているのだ。そのターゲットとなるのが、直前まで選挙に出ることを示唆しながら、結局、出馬をとりやめた維新の党の共同代表・橋下徹。この裏で、自民との間で合流する事で話ができている可能性があるのだ。全国紙政治部記者が解説する。

「もともと安倍と菅が今回、解散を強行したのは、『野党分断のため』とも言われている。一方の橋下は11月3日のタウンミーティングでも、安倍首相と菅官房長官を『信頼できる』と絶賛するなど、軸足は完全に安倍自民に向いている。しかも、橋下は菅とはかなり親密で、頻繁に連絡を取り合っているからね。出馬とりやめも、菅が間に入る形で、対立していた公明党と手打ちをさせた可能性が高い。実際、維新は大阪の公明党候補者がたっている選挙区には候補者をたてなかっただろ。選挙後のことも橋下―菅ラインで、着々と進めているはずだよ」
 
 安倍自民党が飯島の予測どおりに大勝し、橋下一派、さらに次世代の党が合流すれば、あわせて350議席を超える極右タカ派勢力が誕生する。いよいよ軍国ニッポンの復活が目の前に迫ってきたということらしい。
(野尻民夫)

(LITERA 2014年12月1日)


飯島勲は最近一度だけ『週刊文春』のコラムを立ち読みしたが、その文章に書かれていたことが上記の記事に要約して紹介されている。事実、海江田万里はかなりの劣勢らしいし、小沢一郎についても朝日と読売が接戦と書いた。平沼赳夫はどうやらややリードしているようだが、新聞記事には「次世代の党は熊本4区などで小選挙区議席を獲得する見込み」云々と書かれているので、自民党が候補を立てなかった熊本4区の園田博之ほどの安泰ではなさそうだ。

いずれにせよ、朝日が「自民も驚き」と書くのとは裏腹に、自民党関係者の間では正確な情勢調査が知られていた可能性が高い。

そして、今回の情勢調査の記事で、いささか議席が少なすぎると思われるのが民主党で、逆に多すぎると思われるのが維新の党である。これぞ、民主が維新に過剰に譲歩した選挙区調整のたまものであろうと私はにらんでいる。これは前原誠司ら民主右派の働きかけによるところが大きいと思われるが、かつて維新との合流100%などとほざいていた前原は、自らが属する民主の党勢が伸びるよりも、維新が伸びたくれた方がありがたいと内心思っている可能性すらある。橋下が、かつて自らが担ごうとした安倍晋三に協力する可能性は、上記『LITERA』の記事が指摘する通りである。

これが厳しい現実だというのに、そんなことを考えようともせず、民主にダメージを与えて維新を太らせるだけの「野党共闘」、すなわち野党の選挙区調整に拍手を送っていた「リベラル」のダメさ加減には、開いた口が塞がらない今日この頃なのである。

*1:但し、民主党の候補者は、括弧付きの「リベラル」とさえいえない人間が多数を占める。生活も同様。維新は論外である。