見逃していたが、日経リサーチ(読売・日経)の2日前に、共同通信が衆院選終盤の情勢を報じていた。調査日は15-17日で、日経リサーチ(17-19日)より2日早い。18日付中日新聞から引用する。
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017101802000088.html
自公3分の2維持の勢い 衆院選終盤情勢
第四十八回衆院選に向けて共同通信社は十五〜十七日、全国の有権者約十二万人を対象にした電話世論調査を実施し、取材も加味して終盤情勢を探った。自民党は堅調で、公明党と合わせた与党で定数四六五の三分の二(三百十議席)前後をうかがう。希望の党は苦戦が続き、五十議席程度と公示前勢力(五十七議席)を下回ることも想定される。立憲民主党は公示前から三倍増の五十議席近くとなる勢いで、野党第一党に躍進する可能性がある。共産党は議席を減らし、日本維新の会は横ばいとなりそうだ。投票先を「まだ決めていない」とした人が小選挙区で40・3%、比例代表で40・0%に上り、二十二日の投開票日までに情勢が変わることもあり得る。
自民党は、二百八十九の小選挙区のうち約二百二十で優位な戦いを展開する。北海道や新潟、沖縄などで先行される選挙区が目立つ。十一ブロックの比例代表(定数一七六)でも他党を上回るが、公示前や序盤情勢の六十八議席の確保は難しい。小選挙区を合わせた全体で公示前の二百九十議席から二百八十程度に減らす予測だ。
希望の党は失速し、小選挙区と比例代表のそれぞれで公示前から二、三議席ほど減らすとみられる。特に新人候補は劣勢を強いられている。小池百合子代表が知事を務める東京は全ての小選挙区で厳しい戦いとなっている。
公明党は公示前の三十五議席の確保が展望できない。共産党も比例代表で落ち込み、全体で公示前の二十一議席から十議席台に減らすこともあり得る。
立憲民主党は小選挙区で公示前(七議席)から倍増、比例代表(九議席)でも三倍強に伸ばす調査結果となった。希望の党を抜き、自民党に次ぐ第二党が視野に入る。
維新は地盤とする大阪で自公両党にリードされる選挙区が多い。社民党は公示前の二議席維持を狙う。日本のこころも議席獲得を目指すが、厳しい情勢だ。衆院定数は前回から小選挙区六減、比例代表四減となった。
◆愛知は9選挙区で自民優位共同通信社の衆院選全国世論調査に合わせ、中日新聞社は中部六県(愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀)の終盤情勢調査を行った。全三十五選挙区のうち、二十一選挙区で自民党の候補が優勢となっている。
愛知(十五選挙区)は1、4、6〜8、10、13〜15の九つの選挙区で自民党前職が優位。いずれも自民党、公明党の支持層を固め、幅広い年代に浸透している。
希望の党は、2、11区で前職がいずれも自民党の前職らをリード。3区と5区は立憲民主党前職、12区は無所属前職がそれぞれ優勢だ。9区は希望の党前職と自民党前職が互角の戦いを見せている。
岐阜(五選挙区)は、いずれの選挙区も自民党候補が優勢を保つ。4区は、引退した元国土交通相から地盤を継いだ長男の自民党新人が希望の党前職らに対して優位な戦い。ほかの四選挙区でも、自民党前職が支持を広げる。
三重(四選挙区)は1、4区で自民党前職が優勢。3区は無所属の前職が一部の与党支持層も取り込んでリードしている。2区は野党統一候補の無所属前職が自民党前職を猛追。4区は県内唯一となる希望の党公認の元職が自民党前職を追う展開だ。
【調査の方法】15〜17日の3日間、全国の有権者を対象に、コンピューターで無作為に電話番号を発生させて電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。今回、無作為に発生させた番号のうち、実際に有権者がいる世帯にかかったのは14万7063件で、このうち12万1484人から回答を得た。
(中日新聞 2017年10月18日 朝刊)
同じ新聞社が出している東京新聞は、同じ共同通信の記事に基づきながら、中日新聞と若干違う予想議席数を出している。自民の予想281議席は同じだが、中日新聞が希望52、公明32、共産14、立憲民主48、維新13、社民2、無所属23と予想しているのに対し、東京新聞は希望47、公明34、共産14、立憲民主46、維新15、社民2、諸派1、無所属25としている。
中日新聞が愛知・岐阜・三重の情勢を細かく書いているのに対し、当然ながら東京新聞は東京の情勢に焦点を当てている。
以下に、東京新聞の数字が、共同通信の数字をそのまま使ったと思われる中日新聞と違う理由が書かれた部分と、東京都の情勢について書かれた部分をそれぞれ引用する。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201710/CK2017101802000136.html
自公2/3維持の勢い 希望、立民 野党第1党争い 終盤情勢
(略)
【議席予測の方法】 衆院選終盤情勢は、本紙が独自に行った二百八十九小選挙区ごとの情勢分析と、比例代表各ブロックの各党の獲得予測議席数に、共同通信社の電話世論調査の結果を加味した上で、十七日に本紙が総合判断してまとめた。
(略)
◆希望「お膝元」 東京全区で苦戦衆院選の終盤情勢について本紙が実施した世論調査で、東京都の小池百合子知事が代表を務める希望の党が、「お膝元」の東京で苦戦を強いられていることが分かった。都内二十五の小選挙区のうち、公認候補を擁立した二十三の選挙区は、いずれも当選圏に届いていない。比例代表でも伸び悩んでいる。
多くの候補が、希望を支持する有権者以外への支持の広がりを欠き、新人は一部を除くと次点も厳しい。前職の松原仁氏(3区)、若狭勝氏(10区)、柿沢未途氏(15区)は、当選圏に入った自民を追う展開。民進を離党し、希望の結党メンバーとなった前職長島昭久氏(21区)が唯一、当落線上で自民と競り合っている。
小池知事の衆院議員時代の選挙区を引き継いだ若狭氏は、立憲民主の候補にも差を詰められている。
定数一七の比例東京ブロックでは、希望は三〜四議席にとどまる。自民が五〜六議席を確保する勢いで、これに続く立憲民主も四議席を得る可能性がある。ただ、選挙区、比例代表とも三割以上が投票先未定と答えており、情勢が変わる可能性はある。
(東京新聞 2017年10月18日 朝刊)
前にも書いたが、希望の党が全員東京の選挙区に全敗し(天気も大雨みたいだから高い確率でそうなるだろう)、比例で3議席なら長島、松原、柿沢、若狭のいずれかが落選することになるが、この情勢調査を信じれば長島は当選してしまいそうだ。一番危ないのが若狭で、次いで柿沢だろう。
しかし波乱の要因は大雨だろうな。公明と共産、それに公明票の乗る自民は各種メディアの予想議席より増える可能性があるし、浮動票頼みの希望は予想よりさらに悲惨な結果になる可能性がある。立憲民主も浮動票頼みだが、野党共闘の選挙区では共産党の票が乗るから、希望よりはまだしもダメージはましかもしれないが、それでも悪天は大きな懸念材料だろう。
明日の開票速報を見るのが今から気が重い。