kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「自民、単独過半数の勢い…衆院選・序盤情勢調査」(読売)

衆院選の情勢調査は読売も共同通信(毎日は共同に乗っかっている)も出している。読売はおそらく意識的に自民党の引き締めを狙ってか、自民に厳し目にデータを解釈していると思われる一方、共同は自民の議席予想が10議席減った前回衆院選と同程度の数字を出しており、こちらは特に親自民でも反自民でもなく、余分な操作はしていない印象。ここでは読売の記事を引用する。

自民、単独過半数の勢い…衆院選・序盤情勢調査 : 選挙 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

自民、単独過半数の勢い…衆院選・序盤情勢調査
2017年10月11日 23時00分

 読売新聞社は22日投開票の衆院選について10、11の両日、全国の有権者を対象に世論調査を行い、全国の総支局などの取材を加味して序盤の情勢を探った。

 自民党小選挙区選、比例選とも優勢に戦いを進め、単独で過半数(233)を大きく上回る勢いだ。希望の党は、公示前の57議席をわずかに超える程度で伸び悩んでいる。立憲民主党は躍進し、自民、希望両党に続く第3党の座をうかがっている。

 自民党(公示前勢力284)は、衆院の常任委員長ポストを独占し、各委員会で過半数を確保できる「絶対安定多数」(261)にも届く勢いをみせている。小選挙区選では140人超が優位に立ち、青森、富山、島根、山口の各県などで議席独占の可能性がある。比例選では60議席前後を固めつつある。野党候補の乱立に救われた面もあるようだ。

 公明党は、小選挙区選に立候補した9人の大部分が優勢で、比例選も堅調だ。自公両党で300議席をうかがう。

 希望は小選挙区に198人を擁立したが、優位に立っているのは7人のみ。衆院解散直後に合流した民進党の前議員がほとんどだ。党代表の小池百合子東京都知事が地盤とする東京で伸び悩んでおり、比例選でも30議席台にとどまりそうな情勢だ。

 立憲民主は公認候補を擁立した63選挙区中、5選挙区で優位に立っている。比例選でも全ブロックで議席を獲得する見込み。公示前の15議席を大きく上回り、計40議席を超える公算が大きい。安倍首相に批判的な有権者の、新たな受け皿になっているとみられる。

 日本維新の会は、拠点とする大阪でさえ、優勢なのは1人にとどまる。比例選を合わせても公示前の14議席を維持できるかどうか微妙だ。前回の2014年衆院選で13議席増と躍進した共産党は苦戦している。立憲民主に「政権批判票」を奪われた格好で、公示前の21議席を下回る見通しだ。社民党小選挙区で1人が優位に立っている。日本のこころは厳しい戦いを強いられている。

 今回の衆院選では、無所属で出馬した前議員が多いのが特徴だ。民進党による分裂を受け、小選挙区選に無所属で立候補した同党出身前議員21人のうち、11人は優位に立っている。

 調査は電話で実施し、有権者が在住する13万229世帯のうち、7万8285人から回答を得た(回答率60%)。小選挙区選で3割、比例選で2割の人が投票する候補者や政党を挙げておらず、情勢は終盤にかけて変わる可能性がある。

 衆院選には、小選挙区選(定数289)に936人、11ブロックの比例選(定数176)に244人の計1180人(重複立候補を除く)が立候補している。

YOMIURI ONLINEより)


10月10日にこたつぬこ(木下ちがや)氏がこんなことをつぶやいていた。

https://twitter.com/sangituyama/status/917743517048254465

今回の選挙は、いったん政権交代の兆しがみえたことと前回総選挙に比べて報道量が飛躍的に伸びているから、有権者の関心は高く投票率は前回より上がる。しかし希望はコケて、自民は安倍さんが大敗宣言し、立憲は限定的にしか候補がいない。どの勢力に舞い上がった有権者の票が落ちるのか全くわからない

私はこれを見て「甘いなあ」と思ったのだった。

小選挙区制下の選挙で野党第一党が分裂したら、政権与党にして第一党の自民党が得をするに決まっている。そんなことは、中学生にもわかる理屈だろう。安倍晋三の「大敗宣言」は三味線に過ぎず、内心は舌を出していた、と考えなければならない。

しかし、現実にはプロの社会学者でさえ上記のようなことを口走ってしまう。ましてや、権威ある政治家がわけのわからない発言をしても、人々、特に「信者」と言われる人たちはそれを鵜呑みにしてしまう。私がいつも思い出すのは、2012年に小沢一郎が発した世迷い言を批判した時のことだ。下記は年末に安倍自民党への政権再交代が起きた2012年の1月にこの日記に書いた記事からの抜粋だ。これまでにも何度も蒸し返してきたが、今回もこの議論を蒸し返すことにする。

「マヤ暦」を持ち出した小沢一郎。終末が近いのはあんたの方だ - kojitakenの日記(2012年1月9日)より

(前略)小沢の政局展望もめちゃくちゃだ。

そんな時に選挙になったら、民主党はほぼ全滅ですよ。かといって、自民党過半数を得られない。


何言ってんだこの馬鹿。今の小選挙区制で民主党がほぼ全滅したら、自民党が前回総選挙の民主党並みに圧勝するに決まってるじゃないか。それとも、「みんなの党」が2003年総選挙における民主党と同程度の議席数を確保するとでも言ってるのだろうか。そうでもなければ「民主党ほぼ全滅」と「自民党過半数確保ならず」という事態は同時には起こり得ない。それとも、「維新の会」の国政進出か何かか?

ネットのブログ記事などを見ていると、いわゆる「小沢信者」のみならず、必ずしもそうではない人たちも含めて、この「小沢予言」のおかしさを誰も指摘しないが、いったいどうしてなのだろうか。(後略)

みんな、もういい加減に小選挙区制という選挙制度がいかに第一党に極端に有利で民意を歪める制度であるかに気づいて、小選挙区制廃止の世論を盛り上げていくべき時だ。

小沢一郎が政界でもっとも頑迷な小選挙区制・二大(保守)政党制論者であるかは論を俟たないが、今回の「野党共闘」の失敗にはまたしてもその小沢が関与している。裏では小池百合子前原誠司を結びつけ(これについては『サンデー毎日』で鳩山由紀夫があけすけに指摘している)、表では希望の党苦戦のマスコミ調査が伝わってくるや共産党陣営に挨拶に出向く。「野党共闘」を応援する学者たちには、昔も今も小沢一郎とべったりの山口二郎がいる。これは「野党共闘」の最大の欺瞞と言っても過言ではない。

その「野党共闘」に乗った共産党は、マスコミ、特に読売の調査では議席を減らすと予想されている。

選挙後には「野党共闘」の批判的見直しが必要になるだろう。

たとえば情勢調査で「第3党をうかがう」とされる立憲民主党は、そうはいっても小選挙区制は第3党以下には非情に厳しい制度であることに加え、党にはもはや小沢一郎鳩山由紀夫もおらず、比例復活を含めても当落線上と予想される菅直人もいなくなる可能性がかなり高い。つまり過去に小選挙区制を強力に推進してきた政治家はいなくなる(か、仮に菅が生き残っても影響力はほとんどない)のだから、もうこのあたりで惰性を振り切って「小選挙区制廃止」へと舵を切るべき時だろう。

そして、「野党共闘」に加わるための必要条件としても「小選挙区制廃止」を打ち出さなければならない。

これが満たされれば、小沢一郎前原誠司といった妙ちきりんな「保守二大政党制論者」に「野党共闘」をぶち壊されることもなくなるだろう。

今までその動きがなかったことは、民進党が中途半端に大きな図体を持っていたことも大きな理由だが、この野党第一党がみごとに割れた今となっては、「野党共闘」が「小選挙区制廃止」を打ち出す大きなチャンスとなるだろう。

そのように考えてでも「希望」を見いださない限りやってられない今日この頃なのである。