初めに書いておくが、私は当ダイアリーでも『きまぐれな日々』でも、「橋下徹大阪市長(日本維新の会共同代表)の『慰安婦は必要だった』という発言が騒がれることによって、自らの歴史認識問題がスルーされる安倍晋三首相は運が強い」という言説を厳しく批判してきた。下記エントリをご参照いただきたい。
- 海外の報道は橋下の妄言を安倍晋三の歴史修正主義と関連づけている - kojitakenの日記(2013年5月16日)
しかるに、上述の論点に関して、「安倍首相は運が強い」と軽口を叩いていた人たちから反論のコメントを一切いただいていない。かつてインターネットの議論において、「反論がなければ合意」という、いささか強引かもしれない論法があったが、今回これを借用させてもらう。つまり、「橋下の『慰安婦は必要だった』という発言が騒がれることによって、自らの歴史認識問題がスルーされる安倍晋三は運が強い」という言説は誤りである、という合意が得られたことをここに確認しておく。
さて、この問題で安倍晋三と橋下が妄言を競い続けている。まずは安倍晋三から。
http://mainichi.jp/select/news/20130518mog00m010005000c.html
安倍首相:「元慰安婦に申し訳ない」 07年日米首脳会談、当時の発言認める
政府は17日の閣議で、安倍晋三首相が第1次内閣当時の2007年4月、米ワシントン郊外のキャンプデービッドでブッシュ米大統領(当時)と首脳会談を行った際、従軍慰安婦問題について「元慰安婦の方々に、首相として心から同情し、申し訳ないという気持ちでいっぱいだ」と発言したとの答弁書を決定した。
辻元氏は3月の衆院予算委員会で、安倍首相とブッシュ米大統領の首脳会談について「ブッシュ大統領が『首相から釈明があった』と発言した」と指摘。首相はその際、「この問題は全く出ていない」と全面否定したが、一転して答弁書で事実関係を認めた。【村尾哲】
(毎日新聞 2013年05月18日)
つまり、3月の衆院予算委員会で安倍晋三が嘘をついていたという記事である。ところがどっこい。
http://mainichi.jp/select/news/20130521k0000m010028000c.html
安倍首相:07年日米首脳会談時の政府答弁書を否定
安倍晋三首相は20日の参院決算委員会で、首相が第1次内閣時代の2007年4月に行ったブッシュ米大統領(当時)との首脳会談で従軍慰安婦問題について「申し訳ない」と発言したとの政府答弁書に対し、「共同記者会見の場で記者の質問に私が答えた。首脳会談の中で私がそう申し上げたわけではない」と否定した。神本美恵子氏(民主)への答弁。3月の衆院予算委員会でも「(日米首脳会談で)この問題はまったく出ていない」と否定していた。
しかし、政府が17日に閣議決定した答弁書は、「元慰安婦の方々に心から同情するとともに、そうした極めて苦しい状況におかれたことに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。このような話をブッシュ大統領にも話した」という首相の共同記者会見での発言について、「首相から大統領に慰安婦問題に関する説明があったことを意味するか」との辻元清美氏(民主)の質問主意書に「日米首脳会談における首相の説明を踏まえたものだ」と回答。首相の国会答弁と、政府の答弁書が食い違う事態になっている。
もはやまともに論評する気も起きないので、この記事についた「はてなブックマーク」にリンクを張っておく。