kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

安倍晋三の「ご都合主義的価値観外交」、朝日に笑われる

朝日新聞(1/19)の社説が、安倍晋三の「価値観外交」とやらを鼻で笑っている。朝日の民主党政権を必死に弁護する社説の数々には大いに失望させられたが、政権が自民党に復帰して安倍晋三に矛先を向けると精彩を取り戻す。というより、衆院選前にネトウヨに必死に媚びていた安倍晋三がひど過ぎるだけだが。

「東南アジア歴訪―『価値観』を語るなら」と題された社説で、朝日は安倍晋三の東南アジア歴訪について一応「一定の成果はあったといえるだろう」と持ち上げたすぐあとの段落で、「だが、首相が掲げる『価値観外交』にふさわしい第一歩になったとは、とてもいえない」と書いて、安倍批判を始める。

安倍晋三(や麻生太郎ら)の外交方針は、よく知られているように「価値観外交」とやらだが、まずベトナム訪問がその方針と矛盾するというのだ。以下引用する。

(前略)最初の訪問国ベトナムは、中国と同じ共産党一党独裁体制が続いている。最近も政府批判のブロガーが相次いで逮捕され、報道の自由も制限されている。

 国際NGOによる言論の自由度調査でも、他のASEAN各国同様、例年下位を低迷する。

 首相は、ベトナム首脳と「戦略的パートナーシップ」をうたい上げたものの、こうした点を改めるよう求めた形跡はない。

 一方、民主党政権を引き継ぐ形でベトナムへの原発輸出の推進を誓った。

 原発事故の検証は道半ばである。新たな原発政策も定まっていない。にもかかわらず、他国への輸出には前のめりだ。

 ベトナム南部で進む原発の導入可能性調査は、日本政府が費用を丸抱えする。日本原電と随意契約したベトナム政府は調査結果を発表しない方針だ。メディアの取材や研究者の現地調査もほとんど認めない。

 透明性からほど遠い原発輸出の推進は「普遍的価値に立脚した外交」といえるのか。


安倍晋三は、1979年に中国に侵略されるなどした経緯があって中国との関係が必ずしも良好とはいえないベトナムに媚びを売って、国内ではなかなか思うに任せない原発推進に関しても、東電原発事故前に民主党の鳩山・菅両内閣が推進していたベトナムへの原発輸出のレールにちゃっかり乗ってこれを推進しようという魂胆なのだ。

ベトナムは、言わずとしれた社会主義国である。ネトウヨは、朝日叩きも良いけれども社会主義国ベトナムに媚びまくる安倍晋三をどう思っているのだろうか。えっ、「特亜三国」じゃないからどうでも良いってか?(笑)


以下、朝日社説からの引用を続ける。

 首相の価値観外交は、中国や北朝鮮への牽制に主眼があるのかもしれない。

 ただ、相手国によって、それを主張したり、しなかったりでは普遍的とはいえない。

 歴訪と前後して、逆に首相自身の「価値観」を問題視する発言が、各国の政府関係者から相次いでいる。

 豪州のカー外相は、慰安婦問題で旧日本軍の強制性を認めた河野談話の見直しについて「近代史で最も暗い出来事の一つであり、見直しは望ましくない」と指摘。米オバマ政権の高官も同様の懸念を示した。

 共有すべき価値観とは何かもまた問われている。


これも全くの正論だ。安倍晋三のご都合主義的な「価値観外交」の欺瞞を突き、それをバカにしながら批判する朝日の社説を読んでいると、やはりこの新聞は自民党政権を批判してなんぼなのかと思ってしまうけれども。


なお、オーストラリア・カー外相の発言について、14日付の朝日新聞記事を以下に引用する。

http://www.asahi.com/international/update/0113/TKY201301130138.html

豪外相「河野談話見直し、望ましくない」 日豪共同会見


 【関根慎一】豪州のカー外相は13日、岸田文雄外相との共同記者会見で、慰安婦問題で旧日本軍の強制性を認めた1993年の河野談話について「近代史で最も暗い出来事の一つであり、見直しは望ましくない」と述べた。

 岸田外相は「慰安婦問題で安倍晋三首相は非常に心を痛めている。歴代首相と思いは変わらない」と説明。「戦後50年の村山談話、60年の小泉談話を引き継ぐ」とも語り、植民地支配と侵略へのおわびと反省を表明した両談話を、安倍首相が継承するとの見通しを示した。豪メディアの質問に答えた。

 菅義偉官房長官は4日のインタビューで河野談話の見直しに慎重な考えを示しつつ、第1次安倍内閣が「政府が発見した資料に強制連行を直接示すような記述は見あたらなかった」とする政府答弁書閣議決定したことにも言及。村山談話は継承したうえで、新たに安倍談話を出す考えも示しており、カー外相はこうした動きに懸念を表明したものとみられる。

 共同会見に先立つ外相会談では、アジア太平洋地域の安全保障面で米国との連携強化で一致。ただ、カー外相は会見で「中国を封じ込める考えはない。日豪にとって重要なパートナーだ」と指摘した。

朝日新聞デジタル 2013年1月14日2時43分)


昨日の記事*1で書き忘れたが、アメリカ政府高官やオーストラリア・カー外相の発言については、安倍晋三だけではなく生活の党代表の森裕子(笑)にも是非とも見解をうかがいたいものだ。