kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

トンデモに「右」も「左」もない! 文科相・下村博文の呆れた「前科」

はてなブックマーク - 山本太郎議員に必要なのは「トンデモの切捨て」 - vanacoralの日記 を眺めていたら、「関連エントリ」として、昨年末の第2次安倍政権発足直後の下記2件が表示されていた。


「子ども」という表記を止めさせ、「子供」に統一させようとしている文科相下村博文がいかなる人間かを再確認するために、後者を引用しておく。かなり長い。

安倍内閣、組閣人事の目玉は文部"擬似"科学大臣


先の衆院選を受けて、かつてホメオパシーをはじめとする非科学的な擬似医療を国費で研究しようと目論んだトンデモ民主党政権が崩壊し、代わってトンデモ自民党による第2次安倍晋三政権が誕生しました。今回のトンデモ政権の最大の売りは、「EM菌」「親学」「ナノ純銀除染」「予言者ジュセリーノ」の信奉者で幸福の科学信者からシンパ扱いされている下村博文氏の文部科学大臣への起用です。ネット上では「これじゃ文部擬似科学大臣だ」との声も挙がっています。


■EM菌推進団体から表彰

下村博文文科相は、2011年に「日本アルベルト・シュヴァイツァー顕彰協会」という団体から「アルベルト・シュヴァイツァー賞」なるものを贈られています。この協会は、「EM」と呼ばれるオリジナル・ブレンドの微生物で水質を浄化したり放射能まで消せてしまうなどと謳う理美容室経営者の団体「SPC Japan」を母体としています。「SPC Japan」の顧問は、EM菌の提唱者である比嘉照夫氏が務めており、名実ともになEM菌推進団体です。

下村大臣は受賞報告にからんで、ウェブサイトにこう記しています。

衆議院議員下村博文公式WEB 2011年04月19日】アルベルト・シュヴァイツァー賞受賞とSPC JAPAN
(略)
記念講演での比嘉照夫氏の地震災害後のEMの活用についての話が興味深かった。EM技術による放射能被曝対策もできるそうだ。EMとは、光合成細菌を中心に、乳酸菌や酵母等の抗酸化機能を持つ微生物の複合共生体であるそうで、同様の提案が私のところにも他からも来ている。私も勉強してみたい。

福島第一原子力発電所の事故で、さまざまな疑似科学商法関係者たちが「これこそ放射能除去に有効だ!」とこぞって持論をアピールし始めましたが、比嘉氏やEM菌推進団体もそのひとつ。

もともとEM菌は、比嘉氏が開発したというオリジナル・ブレンドの微生物を河川に放り込んで水質を浄化できるなどとして、全国で「EM団子」を川に投げ込む祭りを開催しています。しかし2008年には、福島県環境センターがEM菌を含む微生物資材を培養して比較した結果、「EM菌の投入は環境基準を超える汚染物質投入にあたる」とする見解を発表。つまり、効果がないばかりか水が汚れるからEM団子投げ込むな、という話になったわけです。

ところが原発事故以降、EM菌普及団体は、いちどEM菌を否定した福島県をはじめとする東北地方に入っていき、避難所の下水処理のためだの放射能除去ができるだのと言ってEM菌を配布しています。

実際には、土壌から農作物への放射性物質の移行を抑えるには「EM菌より囲炉裏灰の方がマシでは」という話もあるなど、お話にならないシロモノです。


■「親学」推奨でウェブサイト炎上

親学」は、教育学者・高橋史朗氏が提唱する教育論で、日本の伝統的教育を重視する保守的な主張です。その論理の一部に、児童の自閉症を含む発達障害は伝統的な教育法によって治療できるとする部分があり、この点には科学的根拠がないとの批判を浴びています。もともと発達障害とは、先天的もしくは幼児期に疾患や外傷の後遺症によるものを総称する言葉で、養育環境や心理的要因などによるものは含んでいません。

今年5月に、「大阪維新の会」が、この親学をベースとした家庭教育支援条例案を市議会に提出しようとしました。ところが、

大阪維新の会 大阪市会議員団 2012年05月】家庭教育支援条例(案)
(略)
第15条
乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因であると指摘され、また、それが虐待、非行、不登校、引きこもり等に深く関与していることに鑑み、その予防・防止をはかる。
(略)
第18条
わが国の伝統的子育てによって発達障害は予防、防止できるものであり、こうした子育ての知恵を学習する機会を親およびこれから親になる人に提供する。
(略)

などとする内容に、案の定、非科学的だとの批判が集中。「日本自閉症協会」も要望書を大阪維新の会に送付し、条例案の修正を求めました。

【社団法人日本自閉症協会 2012年05月06日】大阪維新の会への要望書
(略)
とあります。しかしながら、同条例案発達障害に関する部分は、前提に明確な誤りがあり、内容に疑義があるばかりか、自閉症の人々およびその家族に対する偏見を助長するのではないかという大きな懸念があります。従いまして、全文にわたり、発達障害についての項目には再考が必要と考えますが、とくに第 15 条と第 18 条については、大幅な修正を要望いたします。
前提条件の誤りといたしましては、まず、発達障害は脳の機能的な障害であり、予防という概念が当てはまりません。第 15 条では、「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因であると指摘され、また、虐待、非行、不登校、引きこもり等に深く関与していることに鑑み、その予防・防止をはかる」とあります。しかし、乳幼児期の愛着形成は子育てには重要なものと考えますが、その不足が自閉症を含む発達障害の原因でないことは医学的に確立されております。

結局、大阪維新の会はこの条例案を白紙撤回するに至ります。

一方、国会には「親学推進議員連盟」なるものがあり、新トンデモ内閣の安倍晋三首相自身が会長を努めます。顧問には同じく元・トンデモ首相の鳩山由紀夫氏。そして事務局長を下村文科相が努めます。

大阪維新の会の騒動があったおよそ3週間後。同議連・事務局長の下村文科相自身のウェブサイトで「親学」の論理を開陳し、コメント欄が炎上しました。


■ウソつきホタル博士に踊らされ

板橋区ホタル生態環境館の阿部宣男館長が推奨する「ナノ純銀除染」というものがあります。「ナノ純銀」なるものと骨炭を合わせることで、放射性物質半減期に近づけることができるとするもの。これを使って、福島第一原子力発電所事故で放射性物質に汚染された地域の除染活動をしよう、というわけです。

ご本人のブログによると、現在、「ナノ純銀」はノロウイルス新型インフルエンザ、豚の口蹄疫にも効果があるということになっています。

阿部氏によると、ホタルは一定の放射線を浴びると発光器に異常をきたして光らなくなるといいます。その証拠として阿部氏は自身のブログに、放射線を浴びて発光器に異常をきたしたホタルと正常なホタルの光り方の違いを示す写真を掲載(すでに削除)。撮影条件はいずれも「3秒露光」と記し、放射線を浴びたホタルの発光が弱いかのように見せています。

しかしtwitterユーザーの手によって、デマであることが露呈しました。そのまとめが、“環境水族館”アクアマリンふくしま が教えてくれること、そして…。ここでは、阿部氏のブログにあった写真データの中に残された撮影情報が示されています。それによると、2枚のホタルの写真の撮影条件は、こうです。

阿部氏が「発光器異常」とするホタル
撮影モード:オート
露出時間:1/5秒
レンズF値:F3.8


阿部氏が「正常」とするホタル
撮影モード:マニュアル
露出時間:1.8秒
レンズF値:F5

これはつまり、「異常」とするホタルはカメラのシャッター・スピードを早くすることで暗く写るように撮影し、「正常」なホタルはシャッター・スピードを遅くすることで明るく写るように撮影したということです。

さて、そんなウソつきホタル博士に感化されて、自身のウェブサイトで宣伝したのが、下村文科相です。

「(阿部氏の除染法は)これまでの除染の方法ではなく、放射線量そのものを低減し無害化する方法であるが、文科省原子力研究開発機構などの理解か得られず、あまり進んでないという。消滅しつつあるホタルを見に行った私も、阿部さんの話を聞き放射線量の低減や無害化に向け勉強し、国会で質問することにした」

本当に、国会でそんな質問をしちゃったのでしょうか。


■“予言者”ジュセリーノの宣伝も

少し前のことですが、自称予言者のブラジル人ジュセリーノ氏という人が2007年12月に来日しました。オカルト出版社「たま出版」がらみの来日だったようです。このとき下村文科相民主党議員とともにジュセリーノ氏に会ってきたとして、「Internet TV 超人大陸」というウェブサイト上の映像で5分ほどかけてジュセリーノ氏のメッセージの重要性を語りました。

【超人大陸 2007年12月(※映像より本紙が書き起こし)】
(略)
ジュリアーノさんの予知は、ほとんど90%は当たっていると。いままでもいろんな災害やテロや地震を予知して、2011年の何月に日本のどこで何が起こるというのを予知して、各政府の関係者に手紙を出し、余地を未然に防げるような警告を出しているということを言われておりまして。未然に防ぐようにすれば90%くらいになると。
(略)

ちなみに、下村文科相が言っているのは「ジュセリーノ」のことなのですが、下村文科相はこの映像で終始「ジュリアーノさん」と言っています。国会議員という影響力のある立場でいながら、名前もようわからん相手のことをすぐに信じて人に勧めてしまうとは。


幸福の科学の映画を真に受ける

幸福の科学信者のブログで

【危機に立つ日本 2012年6月25日】衆議院議員、下村博文氏の、映画「ファイナルジャッジメント」の感想!!

下村博文氏とは面識があります。
名刺交換させて頂きました。
勿論、当会への理解のある方です!

と書かれている下村文科相。今年6月に、幸福の科学による映画『ファイナル・ジャッジメント』を鑑賞してきたことを自身のサイトに掲載していました(なぜかすでに削除)。

衆議院議員下村博文公式WEB 2012年6月24日】映画「ファイナルジャッジメント」を観る(すでに削除)

映画「ファイナルジャッジメント」を観る。ある日アジアの大国・オウランという国に日本は占領され、思想も、言論も、経済も、すべてが統制下におかれ、逆らうものはことごとく弾圧されていくという未来想定映画だった。
日本においてそんなことはあり得ないと一笑に付す人が多いだろうが、あながち奇想天外とは言えず、それは充分可能性があることだと私は思う。
(略)

これに続いて、自虐史観や中国の脅威などについて書き連ねていました。国防も大事ですが、そもそも『ファイナル・ジャッジメント』って、「樹の下でちょっと瞑想しただけで救世主としての自覚を得てしまった若造が演説するだけで、悪の帝国による支配から脱する“宗教民主主義”を打ち立てちゃう」ってストーリー。言うまでもなく、幸福の科学という団体の宗教宣伝映画です。国会議員が(しかも自民党議員が)この映画を真に受けて国防を考えるというのでは、我が国の国防は確かに危機敵状況なのかもしれません。

ちなみに、前述の信者ブログでは、下村文科相の就任を受けて、こんなラブコールが。

【危機に立つ日本 2012年6月25日】安倍氏が重視する教育改革を担当する文部科学相には下村博文氏!!
幸福の科学の新派が重要閣僚を占める政権ですね。

安倍総理麻生太郎副総理兼財務・金融相、そして下村博文氏が文部科学相に!!
下村博文氏は、ヘルメス様の時の文部大臣という噂ですから、当会の政策を
どんどん実行してもらいたいですね。
(略)

「新派」というのは「シンパ」のことでしょうか。下村文科相が「ヘルメス様の時の文部大臣」というのがよくわかりませんが、幸福の科学信者の言うことですから、また勝手に過去世認定でもしたのでしょう。

文部科学省原発事故に絡む放射性物質関連の業務も所管していますし、何よりも学問と教育を担当する役所です。幸福の科学についてだけでも、2013年開校予定の幸福の科学学園関西校が地元住民の反対運動にあい行政訴訟に発展しており、また2015年には幸福の科学大学の開学も予定されています。本紙・藤倉が『週刊新潮』でリポートした、栃木県にある幸福の科学学園那須校での人権侵害や違法授業の問題もあります。

「文部疑似科学大臣」を従えたトンデモ安倍政権。いまから先が思いやられます。

投稿者 藤倉善郎
(『やや日刊カルト新聞』 2012年12月28日)


「トンデモ」は何も一部の「脱原発」陣営に限らず、安倍政権(安倍晋三自身を含む)に深く根を下ろしていることを、自民党支持者はよく認識すべきだろう。もっとも当ダイアリーを読む自民党支持者などほとんどいないだろうから、力説しても効果はほとんどないかもしれないけれども。