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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

安倍晋三:汚染水「完全にブロック」発言、東電と食い違い(毎日)

http://mainichi.jp/select/news/20130910k0000m040073000c.html

安倍首相:汚染水「完全にブロック」発言、東電と食い違い


 安倍晋三首相が、7日にアルゼンチン・ブエノスアイレスで行われた国際オリンピック委員会(IOC)総会の五輪招致プレゼンテーションで、福島第1原発の汚染水問題をめぐり、「完全にブロックされている」「コントロール下にある」と発言したことについて、「実態を正しく伝えていない」と疑問視する声が出ている。

 9日に開かれた東京電力の記者会見で、報道陣から首相発言を裏付けるデータを求める質問が相次いだ。担当者は「一日も早く(状況を)安定させたい」と応じた上で、政府に真意を照会したことを明らかにするなど、認識の違いを見せた。

 防波堤に囲まれた港湾内(0.3平方キロ)には、汚染水が海に流出するのを防ぐための海側遮水壁が建設され、湾内での拡大防止で「シルトフェンス」という水中カーテンが設置されている。また、護岸には水あめ状の薬剤「水ガラス」で壁のように土壌を固める改良工事を実施した。

 しかし、汚染水は壁の上を越えて港湾内に流出した。フェンス内の海水から、ベータ線を出すストロンチウムなどの放射性物質が1リットル当たり1100ベクレル、トリチウムが同4700ベクレル検出された。東電は「フェンス外の放射性物質濃度は内側に比べ最大5分の1までに抑えられている」と説明するが、フェンス内と港湾内、外海の海水は1日に50%ずつ入れ替わっている。トリチウムは水と似た性質を持つためフェンスを通過する。港湾口や沖合3キロの海水の放射性物質は検出限界値を下回るが、専門家は「大量の海水で薄まっているにすぎない」とみる。

 さらに、1日400トンの地下水が壊れた原子炉建屋に流れ込むことで汚染水は増え続けている。地上タンクからは約300トンの高濃度汚染水が漏れ、一部は、海に直接つながる排水溝を経由して港湾外に流出した可能性がある。不十分な対策によるトラブルは相次ぎ、今後もリスクは残る。「何をコントロールというかは難しいが、技術的に『完全にブロック』とは言えないのは確かだ」(経済産業省幹部)という。

 安倍首相は「食品や水からの被ばく量は、どの地域も基準(年間1ミリシーベルト)の100分の1」とも述べ、健康に問題がないと語った。厚生労働省によると、国内の流通食品などに含まれる放射性セシウムによる年間被ばく線量は最大0.009ミリシーベルト。だが、木村真三・独協医大准教授は「福島県二本松市でも、家庭菜園の野菜などを食べ、市民の3%がセシウムで内部被ばくしている。影響の有無は現状では判断できない」と指摘する。【鳥井真平、奥山智己】

毎日新聞 2013年09月09日 21時07分(最終更新 09月10日 01時09分)


この記事には350件以上の「はてなブックマーク*1がついている。東電が政府に安倍晋三の発言の真意を照会したり、経産省の幹部から「『完全にブロック』とは言えないのは確かだ」と発言したりしたことに焦点を当てた記事の着眼点が良かった。


http://www.47news.jp/CN/201309/CN2013090801001923.html

汚染水めぐる首相発言に批判の声 福島の漁業者ら「あきれた」


 「状況はコントロールされている」。安倍晋三首相は、国際オリンピック委員会(IOC)総会で、東京電力福島第1原発事故の汚染水漏れについて、こう明言した。しかし、福島の漁業関係者や識者らからは「あきれた」「違和感がある」と批判や疑問の声が上がった。「汚染水の影響は福島第1原発の港湾内0・3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」とも安倍首相は説明した。だが、政府は1日300トンの汚染水が海に染み出していると試算。地上タンクからの漏えいでは、排水溝を通じて外洋(港湾外)に流れ出た可能性が高いとみられる。

共同通信 2013/09/08 20:51)


福島の漁業者による安倍晋三批判なら、今朝(9/10)の朝日新聞にも出ていた。

しかし予想をはるかに超えてひどかったのは、昨夕の朝日新聞夕刊だった。16頁の紙面本体に、4頁のカバーがかかっていて、「お帰り五輪。夢の炎、熱く熱く」と題した、朝日新聞編集委員・西村欣也(元報知新聞のプロ野球・読売軍担当記者)の駄文が最初の面に出ていた。夕刊本体も五輪翼賛記事一色。想像を絶していた。ようやく10日付朝刊に、「憤る福島の漁師」と題した記事が掲載された。書き出しの部分のみ引用する。

 「ふざけんじゃない。原発をコントロールできないから、汚染水にこんなに苦しんでいるんじゃないか」。福島県相馬市の漁業今野智光さん(54)は憤る。

朝日新聞 2013年9月10日付3面掲載記事より)


だがこうした記事も、朝日の報道全体から見れば「焼け石に水」にしかなっていないのである。