kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

気象庁は2011年の霧島山噴火を「予知」したか

鳩山由紀夫植草一秀の悪口を書く前に、またまた細かい話で申し訳ないが、「予知できたマグマ噴火がある」からと言って「全てのマグマ噴火は予知できる」とはいえない - kojitakenの日記(2014年10月9日)の続きで、再び「飛び入りの凡人」さんとのやり取りを紹介する。最近は「きまぐれな日々」のアクセス数は当ダイアリーの5分の1くらいしかない*1ので、こうして周知する次第。議論はすでに大筋で合意が得られており、あとは細部の意見の違いがあるだけではないかと私は考えている。

http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1362.html#comment18298

>古寺多見様

ご返答ありがとうございます。

私も随分と端折って書いてしまったので、誤解を受けられる面があったかも知れません。そのあたりは素直に認めたいと思います。

仰る通りです。私もマグマ噴火ならすべて予知できるなどとは考えておりません。ただ大規模なものになりやすいマグマ噴火は、単純で小規模な御嶽山の水蒸気爆発よりは予知しやすいと考えております。
霧島山については多少条件が違いまして、活動が徐々に活発化していきました。そのため2010年に気象庁は警戒レベルを2に上げました。その後、2011年1月にレベル3に引き上げたあと、2月に中規模の爆発的噴火が起きました。純粋に予知成功とは言えないまでも、警戒レベルはそれなりに対応していると思います。

「kojitakenの日記」も拝読しましたが、概ね同意できるものです。
カルデラ噴火が予知できても、原発を安全な状態にするまでは時間が到底足りないだろうという考えも同じです。おそらく付近住民の避難で手一杯になると思います。
「専門家の意見を仰ぐ」と政府は言いますが、仰いでいるうちに大惨事になるのではと危惧しております。

2014.10.11 01:27 飛び入りの凡人


http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1362.html#comment18299

飛び入りの凡人さん

霧島山の話ですが、

霧島山については多少条件が違いまして、活動が徐々に活発化していきました。そのため2010年に気象庁は警戒レベルを2に上げました。その後、2011年1月にレベル3に引き上げたあと、2月に中規模の爆発的噴火が起きました。純粋に予知成功とは言えないまでも、警戒レベルはそれなりに対応していると思います。

とのこと。

しかし、火山学者の早川由紀夫氏は、気象庁は上記の間、霧島山噴火の警報を3度出したもののすべて外れた一方、警報なしで3度の噴火が起きたとして厳しい評価を下しています。

http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-672.html

霧島山新燃岳
 2007年12月1日 導入 レベル1
×2008年8月22日1634 噴火 M1.3
 2008年8月22日1715 レベル2
 2008年10月29日 レベル1
×2010年3月30日0734 噴火 M0
 2010年3月30日0910 レベル2
 2010年4月16日 レベル1
●2010年5月6日 レベル2
×2011年1月26日0731 噴火 M3.7
 2011年1月26日1800 レベル3
 2011年1月31日0135 レベル3(切り替え)
 2011年2月1日1120 レベル3(切り替え)
●2011年3月22日1700 レベル3(切り替え)
●2012年6月26日1800 レベル3(切り替え)
 2013年10月22日 レベル2


上記引用中、「×」は気象庁が警報を出さなかったのに噴火した例、「●」は気象庁が警報を出したのに噴火しなかった例です。

また、上記の時刻のデータから、「2011年1月にレベル3に引き上げたあと、2月に中規模の爆発的噴火が起き」たのではなく、2011年1月26日7時31分に新燃岳が爆発的噴火を起こしたあと、同日18時に噴火警戒レベルを「2」から「3」に引き上げたことがわかります。

つまり、「純粋に予知成功とは言えない」どころか、(藤井敏嗣氏も認めている通り)「予知」には完全に失敗していたと言わざるを得ません。

もちろん、2010年5月6日に警戒レベルを「1」から「2」に引き上げるとともに、警報を出していたわけですから、火山活動の活発化は把握していたわけですが、それでも噴火直前には前兆がなく予知できませんでした。

火山の噴火に限らず、破壊現象には往々にしてこういう「突然死」がつきものであって、それが破壊という現象の特徴の一つだろうと私は考えています。

2014.10.11 10:43 古寺多見(kojitaken)


補足すれば、「気象庁霧島山の火山活動が活発化していることを把握していた」ことを広義の「予知」とするなら「(広義の)予知をしていた」ことになるかもしれません。しかし、「噴火直前に警報を出せず、噴火警戒レベルも上げられなかった」ことから狭義の「予知」はできなかったといえるでしょう。広義だの狭義だのというと何やら別の話を思い出してしまいますが。

*1:しかもふざけたことに、当ダイアリーから「きまぐれな日々」へのトラックバックが、このところ何回やっても通らなくなっている。