kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

橋下徹の勝利と海江田万里の敗北と「保守二大政党制」と

橋下の勝利 - Living, Loving, Thinking, Again(2014年12月15日)

本当に、「橋下の勝利」だった。土壇場でマスコミの予想より若干自民の議席が減り、維新の議席が増えたのは、大阪で維新が予想以上の議席を得た影響が大きい。そのような結果になったのは、比例近畿ブロックの得票率(自民29%、維新26%)が示すように、近畿ブロックでは「保守二大政党」が拮抗する状態にあったからだ。そういう状態で初めて、少しの民意の変化が議席配分を大きく左右する。小選挙区制というのはそういうシステムだ。第一党が第二党以下の支持率を大きく引き離している状態では、少々の民意の変動があっても議席の変化にはつながらない。

極右都市と化した大阪を中心とした近畿ブロックは、日本の中でも例外だったから上記の現象が起きた。しかし、他の地域では維新は民主にも負けており、保守二大政党制は実現していない。また、そんなものが実現されては困る。

その意味で、民主党内にあって、保守二大政党制、つまり民主と維新との合流を防ぐ防波堤の役割を果たしていた海江田万里の落選は、あまりにも痛すぎた。NHKの開票速報の最初の方で映し出された出口調査の結果を見ると、海江田万里の方が菅直人よりも1位の自民党候補との差が小さいように見えた。私はこれでいよいよ菅直人の命脈も完全に尽き、海江田は菅のおかげで辛うじて当選するんだろうなと思った。しかし、その逆の結果になった。

海江田は、かつて菅直人玄海原発の再稼働を阻止されて悔し涙を流した。この時、私が菅を応援し、ざまあみろ海江田と思ったことは言うまでもないし、何度も書いてきた。

しかし、それから3年、状況は大きく変わった。今や菅直人は単なる「脱原発」の不人気な宣伝マンの役割しか果たしておらず、政界への影響力は皆無だ。一方、海江田は前原誠司細野豪志らがたくらむ、維新との合流の防波堤として、上記の合流構想からどうやら外れているらしい枝野幸男ともども、やや不本意ながらも当てにせざるを得ない人物だった。

その海江田の落選に、私は狼狽した。書きかけていた「きまぐれな日々」の中身を大幅に書き換えざるを得なくなった。おかげで記事を書くのに午前3時半までかかり、菅直人末松義規に競り勝って最後の議席を確定させるのをリアルタイムで知ってしまったのである(海江田はその前の午前1時過ぎに「落選確実」が報じられていた)。そのせいで昨日はものすごく調子が悪かった。疲れが噴き出したのだった。

それはともかく、いつの間にか私は「海江田が落選するくらいなら菅が落ちれば良かったのに」と思うようになっていたのだった。3年前の自分が知ったら腰を抜かすに違いない。

事態は最悪だ。民主党代表選は近々実施されることになり、昨夜の報棄てでは細野豪志の名前を挙げていたが、冗談じゃない。

報棄てはご丁寧にも、しぶとく生き残った小沢一郎の発言を映し出した。小沢は、表には出ないが裏で動きたいとかほざいていた。そう、「保守二大政党制」こそ小沢の悲願なのだ。その実現のために政治生活最後の力を振り絞るつもりなのだろう。生活の党の衆院選議席は「2」にとどまったが、維新の党にはかつての小沢系の候補者が数人当選した。たとえば東京9区では超富裕層の木内孝胤、東京16区では「維新をリベラルに変える」などと抜かしているらしい初鹿明博が比例で復活した。愛知4区の極右系小沢派議員・牧義夫や、そうそう小沢民主党代表最初の大仕事ともてはやされた千葉8区の太田和美も比例で復活したっけな。主君の小沢に裏切られて詰め腹を切らされた北海道の松木謙公も比例単独で当選した。小沢系ではないが、私が今回の選挙で激しく敵視した、江田憲司系の落合貴之(東京6区)も比例復活当選した。木内・初鹿・落合らもまた、海江田万里を足蹴にして議席を得た形だ。

これから、悪夢のような「野党再編」が進むのは避けられないだろう。それは、間違っても日刊ゲンダイや鈴木哲夫が大好きな「心情リベラル」の方が待望するような、「リベラルの結集」なんかにはならない。

それどころか、民主党の「リベラルの会」のメンバーはまた1人減った。千葉6区の生方幸夫だ。かつて、小沢一郎を批判する発言をしたとかで、上記「リベラル」ブロガーに強く非難された人だ。社民、未来を経て民主に移った阿部知子なんかがあわや選挙区当選かという勢いで比例復活当選したので、「民主党はリベラル勢が盛り返している」などと思い違いをしている人間がいるらしいが、大間違いだ。少なくとも中間派の海江田とリベラルの生方幸夫の2人が落選したし、平岡秀夫も復活にはほど遠い惨敗だった。

今回の選挙で民主党はまた少しだが確実に右傾した。何よりあまりにも痛かった海江田万里の落選によって、民主党がこのまま維新との野合による「野党再編」へと動く可能性が、ますます高まった。