kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

田母神俊雄の得票率は18.5%。極右の脅威はますます強まっている

今回の衆院選では共産党が伸びて次世代の党が壊滅したが、これをもって極右の勢力が減退したとみなすのは早計どころか全くの誤りである。これが本記事の主旨。

しかしながら記事の主旨には反して、表向き次世代の党にとっては都合の悪い話から始める。次世代の党の当選者2人のうち1人は、極右とは言い難い園田博之だが、選挙戦中、園田は自民党への復党を匂わせる発言を繰り返していた。そもそも園田の熊本4区は自民党が候補を立てていない。

熊本のニュース | ニュース | 熊本日日新聞社 より

自民4議席全勝 県内小選挙区

 衆院選熊本1〜5区は14日に投開票され、1区は自民党前職の木原稔氏(45)が、維新の党前職の松野頼久氏(54)らを破り、前回に続いて県都決戦を制した。2区は自民の野田毅氏(73)、3区は自民の坂本哲志氏(64)、4区は次世代の党の園田博之氏(72)、5区は自民の金子恭之氏(53)の前職4人がそれぞれ圧勝し、議席を守った。

 投票率は5選挙区平均で50・06%。有権者は2人に1人の割合で投票権を行使しなかった。戦後最低だった前回の2012年選挙の58・53%を、さらに8・47ポイント下回った。

 1区は自民の高い支持率を背景に、木原氏が党支持層を固め、自主投票の公明党支持層や無党派層からも集票。松野氏は個人後援会や連合熊本を軸に猛追したが、前回衆院選前の民主党離党が招いた、しこりを振り払えず、届かなかった。共産党新人の高本征尚氏(29)は2強の争いに埋没した。

 2区は第三極も含め5人が争った前回から様変わり。自共候補の一騎打ちとなり、野田氏が公明の協力も生かして引き離した。共産新人の広瀬由美氏(58)の反自民票は伸び悩んだ。

 3区は坂本氏が組織戦と、草の根の戦いを連動させ、各地域に満遍なく浸透。環太平洋連携協定(TPP)反対を掲げた共産新人の芋生よしや氏(59)を突き放した。

 4区は自民県連と公明の推薦を受けた園田氏が自民復党を示唆する発言を繰り返し、保守層からの厚い支持を獲得。共産新人の井芹栄次氏(58)に大差をつけた。

 5区は金子氏が県議や友好団体などと連携して自民支持層を手堅くまとめ、票田の八代市でも圧倒。社民新人の今泉克己氏(64)と共産新人の橋田芳昭氏(59)は無党派層の取り込みで後れを取り、支持は広がらなかった。

 小選挙区での当選者の内訳は自民4、次世代1。公示前と同じ結果となった。(潮崎知博)

◇県内小選挙区開票結果
(選管最終)

1区
当 87111 木原稔 自前
比 73274 松野頼久 維前
14947 高本征尚 共新

2区
当 92873 野田毅 自前
◎ 36769 広瀬由美 共新

3区
当 100824 坂本哲志 自前
◎ 29981 芋生よしや 共新

4区
当 101581 園田博之 次前
◎ 32223 井芹栄次 共新

5区
当 87874 金子恭之 自前
◎ 26245 今泉克己 社新
12307 橋田芳昭 共新

※「当」は当選、「比」は比例代表での当選、「◎」は当選者以外の法定得票数獲得者。

(くまにちコム 2014年12月15日)


おそらく園田博之は間違いなく自民党に復党する。なぜなら、現在72歳の園田は、次回の衆院選では自民党の公認は得られない。だから、次の衆院選の前までに後継者を決めておき、その後継者が当選できる環境作りをしなければならないと考えているはずだ。そのためには、次世代の党を離党して自民党に復党するしかない。それが、園田博之は間違いなく自民党に復党すると断言する理由だ。

残る次世代の党の衆院議員は平沼赳夫だけだが、こちらは自民党復党は難しいだろう。もっとも、平沼の後継者候補が誰なのか、本当にそんな人がいるのかも私は知らないが。

次世代の党に衆院議員としては1人取り残されそうな平沼は別として、次世代の党は本当の惨敗であったが、それで極右が伸びてないと思うのはあまりにも早計だ。

たとえば田母神俊雄は、東京12区で最下位だったとはいえ、非共産野党統一候補(?)だった青木愛に834票差に迫る、得票率18.5%を得た。自民候補がいなかった上、野党候補が集票力の乏しい生活の党の候補だったとはいえ、「極右は支持されていない」と判断するのはあまりにも早計だとは確かにいえるだろう。

下記に、きまぐれな日々 あまりにも当然な自民党圧勝の衆院選だったが(2014年12月15日)に、white noiseさんからいただいたコメントを紹介する。

http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1371.html#comment18475

>極右の主張に共感する有権者などほとんどいない、それが分かっただけでもまあ良しとするかな。

ええ〜と、安倍のFBアカウントが保守速報シェアし、「釜山からソウルまで焦土にすべき」だの「強制収容所を作って在日をそこへ送れ」などという極めて醜悪なコメントが削除されずに残っていることはご存知だと思いますが。

そして海外有力メディアは安倍や報道機関、閣僚の姿勢を問題視していると。
http://matome.naver.jp/odai/2141758252622789601?&page=1
http://matome.naver.jp/search?q=%E5%AE%89%E5%80%8D%20%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%83%8A%E3%83%81
もちろんここで名前の挙がっている自民党の閣僚以外にも「自虐史観」「ジェンダーフリー」粉砕を叫ぶ議員なんてそこらじゅうにいますよね。自民党内には。
無名な人でも例えばこの元教員さん。
http://www.miyagawanoriko.net/plan01.html
次世代の党となんら変わらんのですが。

ちなみにレインボーアクションからの性的少数者に関する政党アンケートで、自民は「人権課題と言うより、ビジネス分野での取り組みが優先されるべき課題であると考えている」などとなんとも珍妙かつ性的少数者の人権なんざ知らねえよ、と回答しています。
http://rainbowaction.blog.fc2.com/

で、在特会ヘイトスピーチはけしからんが、朝鮮学校への補助金停止や防犯ブザー配布しない、なんてのは差別ではなくやむをえないことだ、なんて議員はそれこそ与野党問わず、あるいは首長、市民の中にうじゃうじゃいるわけでして。

極右ってのをどう定義されてるかわかりませんが、国連人権規約委員会や差別撤廃委員会から再三指摘されているマイノリティの人権を無視するやから、あるいは歴史改ざん主義者は、私の中では立派な極右の愛国酷使様ですので、ちっともまあ良しなんて言ってられる状況ではないかと。

大体次世代の党の連中だって、田母神が熱望していたように、自民から出馬していれば当選したやつなんてなんぼでもいるんじゃないですか?
それこそkojitakenさんがおっしゃっているように、小選挙区であるがゆえに落選しただけで。

おそらくこれから経済状況が更に悪化する可能性が高まっていると思われますが、これから何が起きるか?
関東大震災時などの歴史に問わずとも、ギリシャウクライナの現状見ていると、それこそ怖くなってしまうのですが。

2014.12.17 02:18 white noise


white noiseさんのコメントの最初の部分は、飛び入りの凡人さんのコメント*1に対する反応だ。飛び入りの凡人さんの言う、新自由主義政党・維新のしぶとさについては、「きまぐれな日々」の記事のテーマの一つでもあったが、この党の殺し文句は「身を切る改革」であって、まるで小泉純一郎を思い出させるようなフレーズだが、最後の最後で少し風が起きて維新が票を取り戻したのを見て、かつて流行した「B層」という言葉を思い出した。彼らの多くはおそらく、2005年に自民党、2009年に民主党、2012年に維新に投票した人たちであって、その人たちがもう一度維新(橋下)に夢を託したと見られる。また、同じような経済政策への志向は、民主党、あるいは生活の党にも見られる。それは何も「民主党右派」に限った話ではない。市井のブロガーにも、かつて小泉構造改革にあれだけ反対したことをもうお忘れか、と言いたくなる記事を書いている人がいる。

それはそれで確かに問題なのだが、極右の台頭はそれ以上に危惧しなければならない現象だと思う。

たとえば、2010年の参院選で、たちあがれ日本参議院比例区の1議席を獲るのに汲々としていたことを、どの程度の方が覚えておられるだろうか。また日本創新党が1議席も得られず、山田宏中田宏が今回と同じように落選したことも。

私はこのウェブ日記で、公示前の早い時期に次世代の党の獲得議席は2議席だと予言したのは、2010年の参院選が頭にあったからである。次世代の党なんかに比例代表議席などとれっこないと高をくくっていた。

その後、大阪13区の西野弘一は強いぞなどというネットのデマをうっかり真に受けて、次世代の予想議席を3ないし4(これは田母神俊雄の得票力を過大に見積もったため)と上方修正したが、結局最初の予想が当たった。

それは良かったのだが、看過できない現象があった。それは、選挙終盤で、次世代の党に比例代表議席獲得の可能性が報じられたことだ。NHK出口調査による議席の見込みでも、最大6議席などという凶悪な数字が示されたので、私は真っ青になった。かつて参院選で48もある定数の41番目にやっとこさ議席を得た「たちあがれ日本」の実績を思えば、結局議席に手が届かなかったとはいえ、得票率では極右票は大きく伸びている。自民党総裁谷垣禎一から安倍晋三に代わり、自民党に投票した極右も多かったと思われるのにこの結果である。もう少し選挙戦が長かったらなら、次世代の党が本当に比例の議席を獲得していた可能性がある。

これを思えば、white noiseさんの指摘は正しいと私も思う。飛び入りの凡人さんの「極右の主張に共感する有権者などほとんどいない、それが分かっただけでもまあ良しとするかな。」というコメントは、あまりにも現状認識が甘過ぎる。

今や、前門の新自由主義、後門の極右という「2つの脅威」と同時に戦わなければならない時代なのである。