kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

理研、小保方晴子を「懲戒解雇相当」と認定

10日、理化学研究所理研)が小保方晴子を「懲戒解雇相当」と判断したと発表した。このことは予想通りであって驚くにはあたらない。下記は「東洋経済オンライン」の記事。

STAP問題、小保方氏が懲戒解雇相当のワケ | STAP問題 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

STAP問題、小保方氏が懲戒解雇相当のワケ
理化学研究所・懲戒委員会が判断
小長 洋子 :東洋経済 編集局記者
2015年02月10日

小保方晴子氏は懲戒解雇相当だがすでに辞職

理化学研究所は、2月10日午後3時から、不正認定された「STAP論文」の関係者処分について会見を開いた。出席者は、堤精史人事部長と加賀屋悟広報室長の2人。

筆頭筆者だった小保方晴子元研究ユニットリーダーは、2014年12月に自主退職し、それが認められているため、直接の処分はできないものの、懲戒解雇相当と判断。共著者で指導的立場にあった若山照彦山梨大学教授は出勤停止相当(規定上は最大で1年)とし、客員研究員の委嘱は解除した。

また、小保方氏が所属していたCDB(発生再生科学総合研究センター)の当時センター長だった竹市雅俊氏(現・多細胞システム形成研究センター特別顧問)は論文作成過程での管理責任により譴責処分。共著者で検証実験も行った丹羽仁史プロジェクトリーダー(当時)は、懲戒には当たらないものの、共著者としての一定の責任はあるとして、文書による厳重注意となった。竹市氏は自主的に給与の10分の1(3カ月分)を自主返納する。また、「研究不正を事前に発見し、不適切な論文の発表を防ぐことができなかった責任を重く受け止める」とのコメントも発表した。

懲戒委員会から竹市氏への最初の通知は1月30日。不服申請期限の切れる2月9日をもって確定したため、小保方氏など他の人には本日付けで通知したという。若山氏には直接口頭で、小保方氏にはメールで伝えたというが、小保方氏本人が確認したかどうかはわからないという。8月に自殺した笹井芳樹副センター長(当時)についても、相当の責任を認めたものの、故人であるため公表は差し控えられた。

論文に関する特許については引き続き、共同出願者であるハーバード大学側と取り下げの方向で協議中であり、ハーバード側が同意しない場合でも共同出願者から理化学研究所側は下りるなどの方向で考えているという。

■ 研究費などを返還請求、ES細胞窃盗で刑事告訴

また、小保方氏に対しては、不正な研究にかかわる研究費、検証実験費用や、12月に自主退職するまで支払われていた給与(CDBが多細胞システム研究センターに改組された11月までは研究室主宰者としての給与)などを含めた費用返還請求や、STAPの正体であったとされるES細胞の窃盗に関する刑事告訴なども、「理研としてやる必要があるかどうかを含めて改革委員会で検討中」(加賀屋広報室長)という。

12月の2回目の調査委員会の報告では、ES細胞の混入を誰がやったかまでは特定できないとされた。だが、強制力のある捜査の手が入れば、憶測を含まない正確な事実が明らかになるかもしれない。

理研が支払ったSTAP研究の費用は、小保方氏のPI(研究室主宰者、2013年1月着任〜14年11月)としての給与年間1000万円と研究費年間1000万円(研究ができる状態ではなくなった2014年3月以降の研究費は支払われていない。給与もCDBが多細胞システム形成研究センターに改組された11月以降は一般研究員レベル)のほか、1500万円とされる検証実験費用、論文投稿費用、度重なる会見の費用まで含めると個人の支払い能力を超える可能性もある。

■ 細胞のすり替えという大胆で単純な不正

STAPはなかった。昨年1月の論文発表から1年あまり、科学界を揺るがした不正論文事件は、細胞のすり替えという、あまりにも大胆で単純、だからこそ科学者の世界ではあり得ないと考えられていた不正によるものだった。それを行ったとみられるのは「未熟な科学者」などではない。「科学者とはいえない人」だったのである。

それを見抜けずに後押しまでした有能な科学者たちを責める声もある。しかし、相互の信用をベースに成り立っている科学の世界で、共同研究者をどこまで疑うのか、あるいは信じるのか。とくにさまざまな分野のエキスパートが共同で実験し1本の論文を書き上げる生命科学の分野では、疑い始めればきりがなくなってしまう。相互信頼のベースとなる博士号の存在意義すら揺るがしかねない。

■ 度重なる見逃しと信用の連鎖、異例の事件

もしほんとうに責任を追及するのであれば、不正な研究を見逃した理研や博士号を授与してしまった早稲田大学(現在は1年内に再提出という猶予付きの取り消し)ばかりでなく、国費の浪費という観点からは、博士課程1年目の時点で3年間の学術振興費を与えた日本学術振興会の選定担当者にまで遡って責任追及すべきだろう。今回の信用の連鎖はその時点から始まったと見ることもできるからだ。

博士号取得後定職に就けない人が多い、いわゆるポスドク問題という背景もあり、科学研究の不正は少なくないという。しかし、今回のように不正見逃しの連鎖が続いた事例はある意味で特殊であり、今後も同じようなケースが続出するとは考えにくい。CDBで小保方氏と同時期に研究室主宰者に取り立てられた優秀な若手もいる。

システムが間違っていたという論も単純に過ぎるだろう。CDBが、センター長が、理研トップが、と誰かに責任を被せてしまうのはたやすいが、それでは真の解決は難しい。国費である研究費の出資者である国民に対する義務として、科学者ひとりひとりが襟を正し、自覚を持つことしか、解決の道はない。

東洋経済オンライン)


世間には「小保方さんだけが悪いのか」という声もなお根強い。小保方や自殺した笹井芳樹氏以外にも責められなければならない人たちがいるに違いないとは私も思う。

しかし、「小保方は悪いことをした」「小保方は『科学者とはいえない人間』だった」ことは間違いないと断言できる。早稲田大学は、ふざけた猶予期間など撤回して、小保方の学位を正式に剥奪すべきであろう。

痛恨事は、理研が小保方を実際に懲戒解雇にすることなく、小保方の退職を認めてしまったことだ。