kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

ピケティをねじ曲げる土居丈朗、どうでも良い雑談をかます高橋洋一

昨日、職場に置いてあった日本経済新聞(確か日曜日の22日付)を見ていたら、緊縮財政派にして消費税増税派と思われる土居丈朗がコラムを書いていて、ピケティの『21世紀の資本』に言及していたが、その言及が実にひどかった。イギリスが今の日本と同じようにGDPの200%にあたる政府債務を抱えていたが、低成長下で緊縮財政をずっと続けて完済した話を肯定的に引用し、自説へとつなげていたのだが、実はピケティはこの例を否定的に取り上げていたのである。土居はそのことをコラムに一言も書いていなかった。実に不誠実極まる態度だと思った。なお、ピケティがイギリスの方法に批判的であるのは、下記「東洋経済オンライン」の記事でも確認できる。

http://toyokeizai.net/articles/-/58906?page=2

イギリスと同じ轍を踏んではいけない

 ――反対に、すべきでないことは?

 ピケティ たとえば公的債務の危機は過去にもあった。イギリスは19世紀に、今の日本と同様、GDPの200%の水準になったことがある。19世紀のイギリスは、歳出削減によって予算を黒字化させて公的債務を減らすという、オーソドックスなやり方でこの危機を乗り越えた。

 だが問題は、非常に時間がかかったということだ。解決には1世紀を要した。その間、イギリスは毎年GDPの1〜2%の黒字を蓄積していき、自国の金利生活者にカネを返し続けた。結果、イギリスは教育への投資を減らしてしまった。これは、今の日本や欧州が「同じ轍を踏まないように」と考えさせる重要な教訓だと思う。


東洋経済オンラインではこれだけだが、ピケティは「イギリスが教育への投資を減らしてしまった」ことがイギリス経済に悪影響を与えたと批判していたはずだ。それを、ピケティとは立ち位置が全く異なると思われる土居丈朗が我田引水する。これだから日本の「経済学者」とやらは信用ならないのだ。

また、土居丈朗とは立場が全く違う、リフレ派の重鎮格であるらしい高橋洋一は、ピケティを換骨奪胎して明後日の方向に話を持って行くコラムを書いている。

「ピケティ格差解説」TV番組に出たら、出演者がみんな「所得トップ1%に入る年収」だった(髙橋 洋一) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)

あほらしいから記事は転記しない。ここで高橋は、格差格差と言っているマスコミ人や有名人が出演するテレビ番組で、日本でトップ1%の年収が1300万円と言ったら隣の女子アナ(ブコメを見ていると村上祐子らしい)が驚いた、格差をあげつらう番組に出ている人間が、自分自身がトップ1%に入っていることも知らない、と言って自説の開陳に至る。私は、何をどうでも良いつまらない記事を書いているのか(だって在京テレビキー局のアナウンサーが特権階級の人間だなんてあまりにも当たり前だものね)と思っただけだったが、「はてなブックマーク」の「人気コメント」を見ていると、いろいろ感じさせられる。

dongfang99 なんとピケティの議論が、日本では格差問題は大したことなく富裕層の税金も既に高いから彼らへの増税はナンセンスだ、というピケティとは全面的に正反対の自説を正当化するために使われている。これはひどすぎ。

まあ厳しく言うとそういうことになるかもね。

sin20xx まぁ、資産課税すればいいだけなんだけど、なぜか所得課税の議論しかしないのはいろいろ不都合がおおいからなんだろうね。流動性が高まれば仮に局所に集中してもそれ程害はない。問題なのは固定化することだろうと。

いや、ピケティのイチ押しはその「資産の累進課税」なんだけど。これも、ピケティをコラムの看板に掲げながら、資産課税の話を何一つしない高橋洋一に問題があるのかもしれない。

まあ、高橋洋一のこのコラム(に限って)は、土居丈朗みたいな露骨で悪質な我田引水とまでは思わなかったけれど、読む価値のないつまらないコラムだとは思った。ピケティにかこつけた雑談程度のものだろう。