kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

手塚治虫や宮沢賢治を引き合いに出して「八紘一宇」を論じる「ギミック」

極右政治家・三原順子が発した「八紘一宇」の妄言に関して、渡辺真也*1という人のTwitterが目に入った。

https://twitter.com/curatorshinya/status/577612917937430528

Shinya Watanabe 渡辺真也
@curatorshinya

三原じゅん子氏の「八紘一宇」発言が話題になっているが、田中智学の唱えた八紘一宇に対する基本的な理解を欠いたまま議論が展開していることが引っかかって、以前から気になっていた手塚治虫北一輝を描いた未完の大作『一輝まんだら』をKindleでダウンロードして、一気に読んでしまった。

16:30 - 2015年3月16日


https://twitter.com/curatorshinya/status/577613593232932864

Shinya Watanabe 渡辺真也
@curatorshinya

田中智学の唱えた八紘一宇は、その弟子筋の北一輝が目指した世界連邦と基本的に同じ思想ではないか?手塚治虫が『一輝まんだら』を描いたのは、北一輝が目指した世界をそのまま描きたかったからであり、これは田中智学に憧れた宮澤賢治が「雨ニモマケズ 南無妙法蓮華経」を書いたのと構造が似ている。

16:33 - 2015年3月16日


これらのつぶやきを見て私が激怒したことはいうまでもない。調べてみると、これらを皮切りに、渡辺氏は関連するつぶやきを断続的に書いていた。

https://twitter.com/curatorshinya/status/577749242258829312

Shinya Watanabe 渡辺真也
@curatorshinya

田中智学が八紘一宇という言葉を造語した当時、彼に悪意は無かったと思うけれど、だからと言ってその言葉の意味を少しでも擁護した場合、「八紘一宇の精神でまず満蒙を」という戦前軍国主義の発想や、田中智学→北一輝岸信介安倍晋三の系譜を肯定せざるを得ない、というギミックが発動する。

1:32 - 2015年3月17日


その問題意識があるのなら、その前に手塚治虫宮沢賢治を引き合いに出した2件のつぶやきはあまりにも不用意ではなかったか。なお、「ギミック」という言葉の意味をはっきり理解していなかったので、下記のサイトを参照した。

http://imimatome.com/katakanagonoimi/katakana55.html

ギミックの意味とは

「ギミック」と言う言葉をよく知らないまま使っている方もいるのではないでしょうか?
作り物や偽者、幻想やまやかしのような意味で使用している方もいることでしょう。
ある一面、間違いではないかも知れませんが、本来の意味や使い方を知っておくのも良いと思います。

<ギミックの意味>

ギミック(gimmick)とは、
手品やおもちゃなどの仕掛け・からくりのことで、種のある特殊なアイテムのことです。

また、策略・新手法・インチキな策略などの意味もありますし、
映像や音による特殊効果と言う意味もあります。

マーケティング用語では、
消費者の興味や注目を集めるための商品やサービスの広告で利用される仕掛けの意味があります。

基本は「相手の興味を引く仕掛け」と考えると良いでしょう。


なるほど、

その言葉(=「八紘一宇」)の意味を少しでも擁護した場合、「八紘一宇の精神でまず満蒙を」という戦前軍国主義の発想や、田中智学→北一輝岸信介安倍晋三の系譜を肯定せざるを得ない、というギミック(=インチキな策略)が発動する。

という指摘はその通りだ。

https://twitter.com/curatorshinya/status/577972341982003203

Shinya Watanabe 渡辺真也
@curatorshinya

三原じゅん子氏の八紘一宇発言の件は、戦後70年談話作成に向けて、自民党が世論とメディアの反応を見る観測気球として打ち上げたもので、おそらくそのテストをさせられたのが女性議員の三原じゅん子氏ではないか。いずれにせよ、大手メディアがこの問題を徹底的に追及しなかったのは、極めて深刻。

16:18 - 2015年3月17日


ここらへんは某有名ブログを連想させる物言い。「八紘一宇」発言が三原の個人プレーか、それともベンチの指示によるトリックプレーかはわからないが、どう甘く見積もっても、三原には安倍晋三に取り入る(ゴマをする)狙いがあっただろうとは私も思う。朝日新聞など大手メディアの反応が鈍かったのは遺憾というのは同感。

渡辺氏は、山崎雅弘氏のTwitterリツイートしている。

https://twitter.com/mas__yamazaki/status/578054304109457408

山崎 雅弘
@mas__yamazaki

世界を家になぞらえて「共栄の見本」にする考えは、戦前戦中の日本国内と支配圏で数多く語られたが、そこでは家長や長兄は常に「日本」であることが当然視され、日本以外の国や民族が「上座に座る」状況は一切想定されなかった。自国優越思想を巧妙に擬装する、大きな思考のトリックが内蔵されていた。

21:44 - 2015年3月17日


これはまったくもってその通り。これぞ「インチキな策略」としての「ギミック」だった。私が昨日書いた記事 極右政治家・三原順子と「国家社会主義」 - kojitakenの日記

「八紘一宇」のスローガンのもと、日本は戦争による拡張に走ったことを考えると、「八紘一宇」とナショナリズムとの間には齟齬はないと思われる。「八紘一宇」を主導するのは日本だからだ。「拡張主義としてのグローバリズム」は「国家主義」と何も矛盾しないだろう。むしろ、(右からの)「八紘一宇」批判者の方が、「一国国家社会主義者」とでもいうべき、スケールの小さな極右といえるのではないか。

と書いたが、それをさらに掘り下げた文章に相当する。

渡辺氏のTwitterに戻る。

https://twitter.com/curatorshinya/status/578521180530974720

Shinya Watanabe 渡辺真也
@curatorshinya

今回の八紘一宇の件で感じたのは、私を含む一般的日本人の昭和史理解の浅さだった。こういう本を読んで今から勉強するしか無いと思う。 寺内大吉『化城の昭和史』 http://1000ya.isis.ne.jp/0378.html 松本健一『日本の失敗』 http://1000ya.isis.ne.jp/1092.html

4:39 - 2015年3月19日


この2冊の本は読んだことがないが、昨年亡くなった松本健一については、たまたま昨年中公文庫入りしたその著書『評伝 北一輝』の第3巻を読んでいる最中に、三原順子の「八紘一宇」妄言事件があった。北一輝本の第3巻は今日未明に読み終えたが、この本についてはのちほど改めて別記事で取り上げる予定。ただ、北一輝とは田中良紹*2の言うような「民主主義者」などでは全くなく、テロを煽動したまぎれもない国家(社会)主義者であったこと、またこの第3巻には安倍晋三の敬愛する母方の祖父・岸信介が登場することを予告しておく。

*1:渡辺真也氏は「小沢信者」とみられる。過去に一度批判したことがある。http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20141026/1414299956アンジェリーナ・ジョリーとマララ・ユスフザイと陰謀論w」(2014年10月26日)

*2:http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20141227/1419648643「『岸信介安倍晋三はこれほど違う』と宣う田中良紹は、安倍晋三よりもひどい」(2014年12月27日)