kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「徴兵制」を論点にする民主党の安保法案議論は筋が悪すぎる

安保法案をめぐる参議院の討議で、森雅子安倍晋三に徴兵制を否定させる八百長質疑を行ったらしい。御用メディア・読売の記事から引用する。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150730-OYT1T50073.html

徴兵制「政権代わっても導入あり得ない」…首相

 安倍首相は30日の参院平和安全法制特別委員会で、将来的に徴兵制が導入される可能性があるとする野党の一部の主張について、「憲法18条が禁止する『意に反する苦役』に該当する。明らかな憲法違反で、たとえ首相や政権が代わっても徴兵制の導入はあり得ない」と改めて明確に否定した。

 自民党森雅子氏の質問に答えた。

 首相は「自衛隊員の育成には長い時間と労力がかかり、短期間で隊員が入れ替わる徴兵制では精強な自衛隊が作れない」と強調。米国や英国などが志願制をとっていることを挙げ、「集団的自衛権の議論と徴兵制を結びつけることは、国際的に非常識だ」と説明した。安全保障関連法案に反対している民主党は、「徴兵制の復活」などとあおる党のパンフレットを作成している。

(読売新聞 2015年07月30日 12時14分)


アメリカの徴兵制廃止に、新自由主義のイデオローグというべきミルトン・フリードマンが大きな役割を果たしたことはよく知られている。徴兵制復活の懸念は、読売の記事にあるように民主党の声が特に目立つが、共産党も指摘している。しかし、私はあまり筋の良くない議論だと思う。そんなことを思いながら、「フリードマン 徴兵制」を検索語にしてネット検索をかけると、ちょうど1年前の今日書いたこの日記の記事が2番目に引っかかった。同じことを繰り返して書いても仕方がないので、その記事にリンクを張っておく。


また、既に1週間以上経っているが、7月23日付毎日新聞夕刊の「特集ワイド」に、「狙われる?貧困層の若者 『経済的徴兵制』への懸念」と題された記事が出ている。内容はもっとも至極だと思うのだが、「はてなブックマーク」の評判は極めて悪い。新自由主義者や右翼(ネトウヨ)がいきり立つ一方、リベラル・左派からの賛同コメントも少ないからだ。私にはごく当たり前の記事としか思えないのだが。前振りが長くなったが以下引用する。

http://mainichi.jp/shimen/news/20150723dde012010004000c.html

特集ワイド:狙われる?貧困層の若者 「経済的徴兵制」への懸念

 絶対、あり得ない−−。安全保障関連法案の議論で「徴兵制復活に道を開くのではないか」と追及を受けると、安倍晋三首相ら政権幹部は必ず断定調で反論する。だが今、経済的な事情から貧困層の若者が自衛官の道を選ばざるを得ない「経済的徴兵制」への懸念が語られ始めている。これを杞憂(きゆう)と言えるのか。【小林祥晃

 ◇「苦学生求む」自衛隊勤務で学費無料/下位階級は大幅な定員割れ

 「格差社会では、徴兵制は必要ありません。志願兵はいくらでも、経済的徴兵制で集められるのですから」。米国社会に詳しいジャーナリストの堤未果さんは言う。どういうことか。

 貧困から抜け出し、人間らしい生活をするためにやむなく軍に入隊する。そんな実態を、米国では「経済的徴兵制」あるいは「経済的な徴兵」と呼ぶ。堤さんは著書「ルポ 貧困大国アメリカ」で、経済的徴兵制に追い込まれた若者の例を紹介している。

 イリノイ州のある若者は「この国で高卒では未来がない」と、無理をして大学を卒業したが職がなかった。残ったのは奨学金約5万ドル(約620万円)の返済と、在学中の生活費に消えたクレジットカードの借金約2万ドル(約250万円)。アルバイトを掛け持ちして返済に追われたが、そんな生活を変えたいと2005年に軍に入隊した。

 入隊したのは、国防総省奨学金返済を肩代わりする制度があるためだ。米軍には他にも、除隊後の大学進学費用を支給する高卒者向けの制度もある。「若い入隊者の多くは、こういった学資援助の制度に引かれて志願しますが、入隊期間などの支給条件が厳しく、奨学金や進学資金を満額受給できるのはごく一部」(堤さん)。ちなみに、イリノイ州の彼は入隊直後、イラクに約1年派遣されたが、帰還兵特有の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患い、働けなくなった。

 世界の兵役拒否制度を調べている京都女子大の市川ひろみ教授(国際関係論・平和研究)によると、米国が徴兵制から志願制に切り替えたのはベトナム戦争から米軍が撤退した1973年。その後、フランスも90年代半ばに、イタリア、ドイツは00年以降、相次ぎ志願制になったという。「徴兵制の廃止や停止は世界的傾向です。無人機の登場に象徴されるように、大勢の兵士が総力戦にかり出された第二次世界大戦期などとは、戦争のあり方が激変したのです」と説明する。

 だが、いくらハイテク兵器が発達しようが、敵地を占領するには地上戦は欠かせない。だから軍隊は若い兵士を一定数確保する。米国の場合、ここで経済的徴兵制が機能する。

 堤さんが解説する。「社会保障費や教育費の削減とともに、経済的困窮者の入隊が増えたのです。特に08年のリーマン・ショック以降、軍は入隊の年齢制限を緩め、若者だけでなく中年の兵士も受け入れています」

 日本でも「格差」が問題になって久しい。大学生の半数は何らかの奨学金を受給し、低賃金や失業による返済滞納も増えている。働いていても生活が苦しい「ワーキングプア」がさらに増えれば、米国のような経済的徴兵制の社会になる恐れはないのか。

 労働問題に詳しい熊沢誠・甲南大名誉教授は「自衛隊に入らないと食べていけないという状況には、すぐにはならないだろう」と断りつつ「生活苦の学生を狙った『ブラックバイト』が問題化していることも考えると、奨学金免除などの露骨な優遇策をとれば、志願者は増えるのではないか」と危惧する。

 実際に貧困と自衛隊を結びつけて考えざるを得ない出来事も起きている。

 今月、インターネット上にある写真が投稿され話題になった。「苦学生求む!」というキャッチコピーの防衛医科大学校の学校案内ちらし。「医師、看護師になりたいけど…お金はない!(中略)こんな人を捜しています」との言葉もある。作製したのは、自衛隊の募集窓口となる神奈川地方協力本部の川崎出張所。川崎市内の高校生らに自衛隊の募集案内などとともに送付したものだ。

 防衛医大は、幹部候補を養成する防衛大学校と同じく学費は無料、入学後は公務員となり給与も出る。ただし卒業後9年間は自衛隊に勤務する義務があり、その間に退職する場合は勤務期間に応じて学費返還(最高で約4600万円)を求められる。ネット上では、この背景を踏まえ「経済的徴兵制そのもの」「恐ろしい」など批判が渦巻いた。

 同出張所は「経済的理由で医師や看護師の夢を諦めている若者に『こんな道もあるよ』と伝えたいと思い、独自に考えた」と説明する。とはいえ、卒業生は医官などとして最前線に派遣される可能性は当然ある。ネット上の批判について、担当者は「考え方の違いでしょう」と話した。

 一方、昨年5月には文部科学省有識者会議で奨学金返済の滞納が議題に上った際、委員を務めていた経済同友会のある副代表幹事(当時)が無職の滞納者について「警察や消防、自衛隊などでインターンをしてもらったらどうか」と発言し、一部の識者らから「経済的な徴兵に結びつく」との声が出た。実際にそのような検討はされていないが、既に自衛隊には、医歯理工系学部の大学3、4年生と大学院生に年間約65万円を貸与し、一定期間任官すれば返済を免除する「貸費学生」制度がある。熊沢さんはこう話す。「若者の学ぶ機会を広げる奨学金はそもそも無償化すべきだ。国が喜ぶことをすれば返済を免除するという手法は、不当な便益供与で好ましくありません」

 自衛隊の定員は陸、海、空合計で約24万7000人だが、実際の人員は2万人以上少ない約22万6000人(14年度末)。少子化の影響もあり、人材確保は常に課題だ。特に若手が担う下位階級の2士、1士、士長は定員の74%しか確保できていない。また防衛大学校では、集団的自衛権を巡って憲法解釈が変更された昨年度、任官拒否者が前年の10人から25人に急増した。

 堤さんは「経済的な徴兵の素地は、着々と整えられています」と力を込める。それは医療や社会保障などの相次ぐ制度改正だ。「安保法制に目を奪われている間に、派遣法改正議論や介護報酬切り下げ、各地を企業天国にする国家戦略特区など米国型株主至上主義政策が次々に進められています。特に心配なのが、日本にとって最後の防波堤である国民皆保険制度の切り崩し。近著『沈みゆく大国アメリカ』にも書きましたが、国内法改正、国家戦略特区、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の3方向から日本の医療は狙われている。戦争は国内からじわじわと始まるのです」

 市川さんは、米国で対テロ戦争の帰還兵に聞き取り調査した経験からこう話す。「犠牲者が出ても、志願制ゆえに一般の人は『自己責任』と考える。派遣された兵士が百数十万人といっても、人口比では1%未満です。多くの人は帰還兵の心の病の問題には無関心でした」。経済的徴兵で傷ついた人たちは、社会からも置き去りにされるのか。

毎日新聞 2015年07月23日 東京夕刊


まあ少しだけ徴兵制を心配する「リベラル」たちに「理解を示す」というか同情しておくと、過去に徴兵制の必要性を訴える政治家や財界人が後を絶たなかったことは事実だ。マッチョを演じたがる人間が多いが、櫻井よしこのような女の極右文化人もいる。

徴兵制の復活を公言する11人 - NAVER まとめ

この「まとめ」で徴兵制の必要性を訴えた記録が残っている人間の名前を列挙しておく。肩書きは「まとめ」が作成された2012年3月当時のもの。


なるほど、「リベラル」の大好きな鳩山由紀夫も徴兵制を求める発言をしているが、元首相変じて現首相になった安倍晋三も徴兵制の必要性をしてるのかと思いきや、出典は下記のブログ記事だった。第1次安倍内閣成立直前の記事である。

安倍氏がこだわる国立大9月入学&ボランティア+「予備自衛官補」で若者集め

 今回は安倍晋三氏がやけにこだわる「国立大学9月入学」論をメインに書きつつ、ちょっと気になる「自衛隊予備自衛官補の制度」なるものを紹介してみたい。

<ちなみに「予備自衛官補」というのは、18歳以上の一般国民が計50日間の訓練を受け、予備自衛官になる資格を得る制度である。(訓練には1日7900円支給)、システムの概要などは後述。>

* * * * * 


『安倍官房長官は14日、自民党本部で開かれた公開討論会に出席し、国公立大学の入学時期について「世界の大体の学校は9月だ」と語り、9月入学の導入を検討する考えを表明した。そのうえで「(入学まで)4月から9月の間に、ボランティア活動をやってもらうことも考える必要がある」と述べ、奉仕活動を義務づける考えも示した
朝日新聞 15日> 』<関連報道記事*1>


 安倍氏は「憲法改正」と共に「教育改革」を政権構想の二本柱にしており、秋の臨時国会では、まず「教育基本法の改正」の実現に強い意欲を示している。
 また、同時に「教育バウチャー制度」や「教員免許更新制度」、そして教育のシステム、内容を含め、多岐にわたる提言を行なっている。

 その中で、8月から何故か繰り返し強く主張しているのが「国立大学を9月入学に変える」ことと「入学前のボランティ活動」の話である。

 これは、もともと00年から小渕&森首相の諮問会議として活動していた「教育国民会議」が教育基本法の改正と共に提言していたものであるのだが。
 何故、安倍氏が9月入学やボランティアの件にこんなにこだわるのか不思議に思う部分もある。

 9月入学にすべき最大の理由は、「世界の大学の入学時期に合わせる」ことにあるという<世界って行っても欧米先進国に合わせるということなのだが>。
 でも、それは今も少なからずの大学がやっているように、留学生や帰国子女には9or10月入学のコースを設ければ済む話であろう。大多数は日本の学生なのだから、こちらを主体に考えるべきなのではないだろうか。

 そもそも安倍氏は、日本の「自主独立」や「伝統と文化の尊重」をアピールして、外交も「国際ルールに従うだけなくて、日本として言うべきことは言う」姿勢で取り組みたいと言っているのだ。
 だったら、大学に関しても「国際ルール」を理由として持ち出すこともないだろう。

 入学式や新生活のスタートと言えば4月、桜の花の下で・・・というのが、日本の社会にすっかり定着した伝統、文化、慣習ではないだろうか?
 それに小中高の入学も、企業の入社も4月なのに、大学だけが9月では、日本の社会全体のサイクルが狂ってしまう。

 また、私はもし入学まで何ヶ月も勉強をしなければ、学生たちの学力、知識が恐ろしく低下する可能性が高いと思う。
 私自身&知人たちの経験から考えても、2月前後に大学入試が終わってから、大学の授業開始まで2ヶ月ほど勉強から離れていただけで、すっかりアタマの中がポケポケになり、英単語やら各教科の基礎知識やらが、下手すると半分ぐらい頭の中から消え去ってしまったり、頭の回転が悪くなってしまったりするものだ。理数などを考えたり、解いたりする力も衰えて、元に戻すのにかなり時間がかかる。
<今、多くの大学では秋に推薦入試を行なって合格者を決めているのだが、高校在学中は成績優秀だった者も、合格後から入学まで半年間ぐらい勉強をさぼると、とんでもポケポケになってしまうらしい。大学で教える者たちが、ひどく嘆いている。>
 これでは、安倍氏は「学力向上」を目指すと言っていたのにこれでは、逆効果になってしまうだろう。

 それに高校卒業後に、半年もフリーな時間を与えたら、遊んだりダラダラしたりして生活が乱れたり、学習意欲も薄れたりして、9月に大学が始まってからも、学校にまともに通うことがしんどいor面倒になってしまう者が少なからず出現するおそれもある。
 下手すれば、ニートやフリーターの増加にもつながりかねないのではないだろうか?
 

<どうしても9月入学にしたいなら、7月頃に入試を行なった方がいい。いわゆる現役生も高校に行かずに済む分、受験勉強をする時間もとりやすいし、学力向上につながるかも知れない。(受験産業も喜ぶかも?!) または最近の高校生は大学の授業について行く学力が十分でない者が多いそうなので、大学でプレスクールを行なって通わせるという方法もあるかも知れない。>

 大体、4〜9月に「ボランティア活動をやらせる」という考え方がおかしい。もともとボランティアというのは「自発的活動」という意味であり、義務としてやらせるべきものではないのである。
 仮に義務にするとして、一体、誰がどのような形で、何を根拠に義務付けるのか、その義務を果たさなかったらどうなるのかなどが、さっぱり見えて来ない。一つやり方を間違えれば、労役の強制になり、人権侵害にもつながりかねない。
 「公の精神」+αを身につけさせたいと考えるあまりに、イメージ先行の政策になっているような感じもする。

 ただ、*1の新聞記事にもあるように、反対も多いようなので、実現は容易でないかも知れないとも思う。

* * * * * *
 
 で・・・「一体、半年もフリーな時間を設けて、何をさせたいのよ」と思った時にふと私の頭をよぎったのが、予備自衛官補の制度のことであった。

 いや、別に安倍氏&その周辺が、そんなことを前提に9月入学&ボランティア制度を考えていると言う気はないが。(・・)
 もし「この制度に応募する人は、それでもOK」とかになったら、かなりアブナイかも、と思ったりもする。


 実は私もこのような制度があることは、最近知ったばかりで、いずれ教育基本法改正との絡みで取り上げようと思い、関係資料を集めていたところだった。
 既にご存知の方には「今さら」のことかも知れないが、ここでも少し書いてみたいと思う。


 近時、自衛隊少子化や任務の危険化に伴う自衛官の確保のための対策<*2>や、有事に備えての予備自衛官の確保に力を入れている。
 また、幹部候補生を集めるための大学生へのアピール(自衛隊体験ツアー)なども行なっていたりする。
 
<私は軍事には関心がないので、人からきいた話ではあるのだが。かなり大雑把に言えば・・・> 日本の国防には約100万人の人員が必要だと言われるのだが、今、自衛官は25万人ぐらいしかいない。そして既に有事関連法が成立し、各地域で具体的な防衛対策が考えられている中、その人員の不足分を補うためには、予備自衛官の拡充やそれをさらにサポートする人材の確保が必要になっているらしいのだ。
<将来はアメリカの州兵みたいなものを作るという案もあるらしい。>

 予備自衛官というのは、ふだんは他の仕事をしているが<定期的に訓練は受ける>、いざという時には召集されて、自衛官としての任務を行なう非常勤の自衛官のことで、特別公務員の扱いを受け、手当てなども出る。
<また、就職の際に、予備自衛官の資格を持つ者を優先的に採用してくれる所もあるらしい。> 
 即応予備自衛官は最前線の任務も行なうが、一般の予備自衛官は主に有事や災害の際に地域の警備や自衛官の後方支援などを行なう役割を果たす。

 以前は、予備自衛官になるには、自衛隊に1年間以上勤務していることが条件になっていたのだが、01年に陸上自衛隊が「予備自衛官補」なる制度を創設し、02年から募集をスタートした。
 これは18歳以上の一般国民なら応募できる制度で、計50日(20日+20日+10日)の訓練を受けて、教育試験を通れば、自衛隊の勤務経験がない者でも予備自衛官になれるというものである。<この他に特定の資格を持つ技能者用のコースもある>
 採用者は、訓練を受ける際に1日7900円の手当てや訓練地までの交通費が支給され、訓練期間中の食事、宿泊場所、制服なども提供される。

 ある青年は「銃を撃ったり色々と面白い訓練もできるし、しかもバイト代わりにもなるし<1クール・20日間で十数万円になる>、そういうことに興味があれば、楽しめてお金になって一石二鳥になる」と知人から誘われたというが、運動能力や体力に自信があれば「ちょっと行ってみるのも悪くないかも」と思う若者がいても不思議はない。<また「地域(郷土)の役に立つ」「災害救助などの役に立てる」というアピールを行なっているところもあるようだ。>
 しかも予備自衛官になれば、特別公務員扱いだし、就職にも少しは有利になるかもときけば、尚更、魅力を感じる若者もいるかも知れない。
ニートやフリーターの再チャレンジにもお奨め対策と利用されたりして?!^^;>

下の岩手日報の記事にもあるが、今後、この予備自衛官補制度の数をどんどん増やして行く計画があるようだ。
 自衛隊にはいるとなると、まだ抵抗感を覚える若者も多いだろう。だが、このように気軽な形なら<しかもバイトがわりにもなれば>、よく考えずに参加してみようかという者も増えるかも知れない。でも、彼らはそれで兵士にされてしまうのだ。

 もし教育基本法が改正されて「愛国心」「郷土愛」「社会貢献」などが学校教育の中でも強調され、予備自衛官補に応募するのが望ましいことだという風潮が生まれたり、かつて自衛官の募集で見られたように学校の教師の中にこのような制度を積極的に紹介する者が出たら・・・と思うと、ますます危機感を覚える。
<「社会に貢献する新しいカタチ」などと美しい表現を用いて、募集していたりするし>
「これは隠れた徴兵制につながる危険があるのでは」と懸念する知人もいる。

 教育の改悪も含め、様々な計画がどこかで有機一体的につながっていて、日本全体を変えて行く大きな計画が進んでいるかも知れないという危険性を私たちは認識しておく必要があるのではないかと思う。(後略)


いくらなんでもこの記事を「安倍晋三が徴兵制を求めている」とする論拠にするのは無理があるだろう。

もっとも上記のブログ記事には見るべき点もある。

ニートやフリーターの再チャレンジにもお奨め対策と利用されたりして?!^^;>

というくだりだ。

でも、これって毎日新聞の「特集ワイド」や私なんかが危惧する「経済的徴兵制」の話そのものじゃん。

意地悪なことを書けば、新自由主義政党である(と私が認識している)民主党が、安保法案で本当に突くべきポイントから論点をそらすために、「徴兵制、徴兵制」と連呼するのかとさえ思ってしまう。

そうでなくとも、毎日新聞記事で堤未果が指摘するように、「安保法制に目を奪われている間に、派遣法改正議論や介護報酬切り下げ、各地を企業天国にする国家戦略特区など米国型株主至上主義政策が次々に進められてい」るのである。それらの方が、徴兵制の危機よりもよほど差し迫った脅威であろう。また、安保法案の議論に絞ってみても、立憲主義を蹂躙した意見の法案であることやら、軍需に国家予算を傾斜配分して国民をさらに困窮させるであろう安倍政権の経済政策、さらには中国を仮想的として開戦の脅威を増していることなど、民主党がもっと真面目に論じるべき論点は多々あるはずだ。

そんなわけで、民主党が主導する「徴兵制」の議論は、どう考えても筋が悪いよなあとしか私には思えないのである。