kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

派遣法改正案参院審議入りへ/「残業代ゼロ」は今国会成立断念/月刊『宝島』休刊へ

昨日(7/29)少し触れた中沢彰吾著『中高年ブラック派遣 人材派遣業界の闇』(講談社現代新書,2015)を読み終えた。



私がこの著者の名前を知らなかったし、1956年生まれで東大文学部卒、大阪の大手放送局(TBS系準キー局)である毎日放送に入社して2006年に50歳で退社したらしい著者が、なぜ日雇い派遣をやっているのかわからなかった。

その理由は本の最後の方に書いてあって、介護のために早期に退職して8年間主夫をやっていたが、昨年(2014年)から派遣労働を始めるとともに、その内幕を『週刊文春』などに書いて生計を立てるも、年収100万円に達さず、切り詰めた生活をしながら放送局勤務時代の貯金を切り崩しているらしい。

さて、こんな本を読むと、衆院を通過した労働者派遣法の参院での審議がどうなっているのか気になるところだが、今日(30日)参院の審議が始まるらしい。ネット検索で引っかかったNHK北海道新聞の報道より。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150730/k10010171481000.html

派遣法改正案 きょうから参院で実質審議

今の国会の重要法案の1つである労働者派遣法の改正案は30日、参議院で実質的な審議に入ります。与党側が、審議の遅れを踏まえ、改正案を修正し、9月1日としている施行日をおよそ1か月先に延ばしたいとしているのに対し、民主党などは認められないとしていて、駆け引きが再び、活発化する見通しです。
派遣労働の期間制限を一部撤廃する労働者派遣法の改正案は、安全保障関連法案を巡る与野党の対立などの影響で、衆議院を通過して1か月余りたった30日、参議院厚生労働委員会で実質的な審議に入ります。
改正案について、与党側は審議の遅れを踏まえ、当初目指していた来月上旬の成立は難しくなったとしています。このため、派遣会社をはじめとする関係者への周知などに一定の期間を確保する必要があるとして、改正案を修正し、9月1日としている施行日をおよそ1か月先の9月30日に延ばしたいとしています。
これに対し、民主党などは、「派遣労働を固定化させるなど問題の多い法案であり、あくまで廃案を目指す」として修正は認められないとしており、今後、参議院を舞台に駆け引きが、再び、活発化する見通しです。

NHKニュース 7月30日 2時13分)


http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0161879.html

派遣法案、1カ月施行を延期 安保難航で成立遅れ

 政府、与党は28日、企業の派遣労働者受け入れ期間の制限をなくす労働者派遣法改正案の施行日を9月1日から1カ月程度延期する方針を固めた。安全保障関連法案や、年金情報流出問題の影響を受けて審議が大幅に遅れ、成立後に控える政省令の改正などの準備が間に合わないため。法案の審議中に施行日を変更するのは異例だ。施行は9月30日の方向で検討している。

 政府、与党は8月初旬の成立を目指していたが、参院厚生労働委員会での実質審議が始まっておらず、成立は下旬以降にずれ込む見通し。9月1日の施行日は衆院を通過した改正案に明記されており、施行日の変更には法案の修正が必要になる。

どうしんウェブ 2015/07/28 19:02)


また、「残業代ゼロ」法案と俗称される、実質的には「定額労働者働かせ放題」法案というべき労働基準法改正案の成立を、政府は見送るらしい。『きまぐれな日々』にいただいた鍵コメで知った。毎度ありがとうございます。下記は東京新聞の記事だが、共同通信の配信。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015072901001540.html

「残業代ゼロ」成立断念 次期国会へ法案先送り

 政府、与党は29日、一部の労働者を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」創設を柱とする労働基準法改正案の今国会成立を断念した。安全保障関連法案をめぐり内閣支持率が低下する中、「残業代ゼロ法案」と批判の強い改正案の成立は困難と判断した。秋の臨時国会での成立を目指す。政府関係者が明らかにした。

 改正案は4月に閣議決定され、今国会に提出されたが、安保法案の衆院採決強行による国会空転や、日本年金機構個人情報流出問題に関する審議が厚生労働委員会で続いたあおりを受け、まだ審議に入っていない。
(共同)

東京新聞 2015年7月30日 01時18分)


政権支持率が高くて勢いのあるうちに、何でもかんでも悪法を全部成立させてしまえという安倍晋三の強欲は、ついに挫かれ始めたようだ。

最後に同じ鍵コメで知った残念なニュース。百田尚樹の「『殉愛』騒動」追及の急先鋒だった月刊『宝島』が休刊するらしい。

http://www.yomiuri.co.jp/culture/20150729-OYT1T50131.html

月刊「宝島」、10月号で休刊…「役割終えた」

 宝島社は29日、月刊誌「宝島」を8月25日発売の10月号を最後に休刊すると発表した。

 同誌は前身の雑誌を経て1974年にJICC出版局(現・宝島社)から創刊。初期はサブカルチャーなどを扱い評論家の植草甚一らが編集にかかわった。ムックの「別冊宝島」、“変なもの”に関する投稿を集めた書籍「VOW」の母体にもなった。

 ストリートファッションブームの火付け役となった、89年創刊の「CUTiE(キューティ)」も8月11日発売の9月号を最後に休刊する。同社では、「両誌とも時代を先取りしてきたが、定期雑誌としての役割は終えた」としている。

(読売新聞 2015年07月29日 22時34分)