kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

派遣法改悪案 衆院厚労委できょう採決へ

立憲主義を理解している」橋下くん推しの「リベラル」氏に見解をうかがいたい事態が、今日またしても起きる。さらに民主党も腰が砕けた。もっとも、「リベラル」氏は安保法案には関心が深くても、労働法案には興味がないのかもしれないが。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150618/k10010118771000.html

派遣法改正案 衆院厚労委であす採決へ

後半国会の焦点の1つである労働者派遣法の改正案を巡って、衆議院厚生労働委員会の理事懇談会が断続的に開かれ、19日に安倍総理大臣の出席を求めて質疑を行った後、採決を行うことで与野党の理事が合意しました。一方、改正案を19日の衆議院本会議に緊急上程するよう求めることについては、民主党が応じず、自民党の渡辺委員長が職権で決めました。
衆議院厚生労働委員会は、派遣労働の期間制限を一部撤廃する労働者派遣法の改正案の取り扱いを巡って、18日、断続的に理事懇談会を開きました。
この中で、与党側は、19日に委員会を開き、安倍総理大臣の出席を求めて質疑を行った後、改正案の採決を行いたいと、改めて提案しました。これに対して、17日に与党側と、19日の委員会での採決を目指すことで一致していた維新の党に加えて、民主党も、「委員会の運営に与党側の配慮が見られた」などとして応じる考えを示し、19日に安倍総理大臣の出席を求めて質疑を行った後、採決を行うことで与野党の理事が合意しました。
そのうえで、与党側が、委員会で改正案の採決を行った後、19日中に衆議院本会議に緊急上程したいと提案したのに対し、民主党は、「急ぐ理由がない」として応じず、自民党の渡辺委員長が職権で19日に緊急上程するよう求めることを決めました。
また、与党側は、同じ仕事であれば正社員と同じ賃金を得られる「同一労働・同一賃金」を推進するための法案を、維新の党と共同で修正したうえで再提出し、19日に採決することを提案したのに対し、民主党は、「まだ法案の説明を受けていない」などとして応じず、渡辺委員長が職権でこの法案についても、19日に採決したうえで、衆議院本会議に緊急上程するよう求めることを決めました。

連合会長「廃案の運動止めず」

連合の古賀会長は記者会見で、「労働者派遣法の改正案は労働者保護ルールの改悪であり、阻止に向けて取り組んできた。まだ議論は尽くされておらず、参議院での徹底した議論を求めるとともに、廃案に向けた運動の歩みを止めるわけにはいかない」と述べました。
また、古賀会長は「同一労働・同一賃金」を推進するための法案を、自民・公明両党と維新の党が共同で修正したうえで再提出することについて、「極めて遺憾で、残念だ。今回のことを引っ張らずに、巨大与党に対し、可能なかぎり野党が共闘する努力を続けていかなければならない」と述べました。

NHKニュース 2015年6月18日 19時01分)


こうして、「ゆ党」民主党と、それよりさらに与党に近い「YE党」維新の党が労働者派遣法の改悪に協力する。

維新の党の内部に関する興味本位の記事ではあるが、『週刊朝日』の記事を示しておく。

派遣法対応で党内バトル「維新の党」分裂の危機 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

派遣法対応で党内バトル「維新の党」分裂の危機

 政権への接近か、野党共闘か──。維新の党内部で対立が激化している。発端となったのは、今週の衆院通過が確実な労働者派遣法改正案への対応だった。

 維新内には「安倍政権に協力する必要はない」「野党としての存在感を出すべき」との声も上がっていたが、橋下徹最高顧問に近い「大阪チーム」の馬場伸幸国対委員長らはこれを一蹴。水面下で自民党と交渉を進め、松野頼久代表に「維新が提出していた同一労働・同一賃金法案を自公と修正協議して通す代わりに、派遣法改正案の採決には協力すべき」と迫ったのだ。

 松野氏は元民主党で「野党共闘」路線。馬場氏らの勝手な行動に憤慨しながらも、大阪チームとの対立を恐れ、しぶしぶ容認した。

 11日に開かれた代議士会は大荒れ。元民主党初鹿明博氏らが「維新が(政権を)アシストしているようにしか見えない」と批判。これに対し大阪チームが反論するなど一触即発だった。

 両者の板ばさみになった柿沢未途幹事長が「もう幹事長を辞めたい」と漏らすなど、混乱が続いている。ある中堅議員が嘆く。

「先月の大阪都構想住民投票で安倍首相は橋下氏にエールを送った。馬場氏らはその恩返しをしたかったのでしょう。でも有権者から見ると、維新は与党なのか野党なのかサッパリわからない。もともと『同一賃金法案』は民主党などの野党と共同で提案したもの。抜け駆けするように自民と協議したことで、民主とのミゾもできてしまった」

 先月、橋下氏に代わり松野氏が代表に就任した直後から、内紛は起こっていた。24日に松野氏が「年内に100人規模の野党再編」をブチあげると、大阪チームは猛反発。顧問の松井一郎大阪府知事も「何でもかんでもの数合わせでは、国民から信頼されない」と牽制した。松野氏が人事で大阪チームを冷遇しようとしたことも、尾をひいている。

 今後、衆院では安全保障関連法案の採決も行われる。維新の大阪チームは再び、安倍自民党に協力することを画策しているという。政治評論家の浅川博忠氏は「もはや分裂は避けられない」と指摘する。

「大阪チームは橋下氏にいずれ代表復帰してもらいたい。そのためにも政権と良好な関係を維持するつもりでしょう。『野党共闘』派とは決定的な亀裂ができる」

 かつて民主党は消費増税の賛否をめぐり分裂した。維新も同じ道を辿るのか。

(本誌取材班=一原知之、上田耕司、小泉耕平、長倉克枝、永野原梨香、牧野めぐみ、山岡三恵/今西憲之 菅野朋子)

週刊朝日 2015年6月26日号


同一労働同一賃金法案」は自民党の修正によって完全に骨抜きにされている。

「同一労働・同一賃金」推進?〜派遣法のどさくさ紛れに解雇自由化へ(定額¥クビ切り放題法)〜
嶋崎量 | 弁護士(ブラック企業対策プロジェクト事務局長)
2015年6月15日 22時43分


派遣法改悪の国会審議が紛糾していると、様々な報道がなされています。

でも、なぜこのように国会審議が荒れているのか、肝心の法案内容についての説明が、テレビでは少なかった様で残念でした。

もみ合い、怒号…派遣法改正案めぐり混乱 日本テレビ系(NNN) 6月12日(金)21時40分配信

既に、今回の派遣法改悪の問題点については、Yahoo!個人ニュースでも嫌と言うほど記事が出ているので、そちらをご覧下さい。

与党が派遣法案の成立を急ぐ理由はこれだ!〜違法派遣の合法化〜(佐々木亮)

【派遣法改悪】専門26業務で「雇い止め」続出が見えているのに成立を急ぐ必要はない

派遣労働者を襲うパワハラ・セクハラ、厚労省相談は正社員・パートの3倍、派遣法改悪で人が壊れてゆく職場(井上伸)

派遣労働者の声を聴け!〜当事者の声を無視した派遣法改悪の採決は許されません〜(嶋崎量)

ちなみに、今回の紛糾した国会運営に対して、与党が野党に対して陳謝しています。

誤ったのは、野党ではなく、強引な審議を進めた与党です。

ここ、以外と知られていませんが大事ですね。

さて、ようやく本題。

派遣法改正について、維新の党により、「同一労働・同一賃金」を推進する法案の修正案がだされるとの報道がでています。

 維新の党は11日午前の部会で、「同一労働・同一賃金」を推進する法案の修正案を了承した。同法案は維新や民主党など野党3党が共同提出しているが、与党が維新に修正案を提示していた。与党と維新が再提出する修正案は今国会で成立する運びとなった。

 維新は衆院厚生労働委員会で、12日にも採決される労働者派遣法改正案に反対することも決めた。ただ、与党との間で同一労働・同一賃金の法案修正が実現することから、与党が求める採決への出席には応じる。派遣法改正案は与党の賛成多数で可決する見込みだ。

 同一労働・同一賃金の修正案は、同じ仕事をする派遣労働者と正社員の賃金水準をそろえる同法案が、法律の施行後「1年以内」に法制上の措置をとるとしていた部分を「3年以内」などと変更した。維新内には「修正で骨抜きになる」との懸念もあったが、賛成多数で了承した。

出典:産経ニュース 2015.6.11 11:03更新


この報道をみると、あたかも維新の党の力で、同一労働・同一賃金の実現が近づく法案が出るかのように思えますが、間違いです。

もう一回、はっきりと書きますが、間違いです。

この記事にも、維新内には「修正で骨抜きになる」との懸念もあった と書いてありますが、正に骨抜きになりました。

もともと、民主、維新、生活の野党3党で出ていた「同一労働同一賃金推進法案」は、その名に恥じない程度の中身を伴ったものと言えましたが、今回の修正で完全に骨抜きになりました。

この修正により、同一労働同一賃金原則の実現など到底期待できません。

骨抜きポイント1

時期を1年以内 → 3年以内


まずは、軽いところから。

もともと、改正案の施行後1年以内に、正規労働者との均等実現の措置を講じるとなっていましたが、3年先に先送り。

派遣労働者の待遇改善は、待ったなしの課題なのに、何故3年も待たされるのでしょう。全く意味不明です。

骨抜きポイント2

「法制上の措置」(法律)ではなくて良い


修正によって、原案では「法制上の措置」を講じるとされていたのに、「法制上の措置を含む必要な措置」で良いことになりました。

要するに、「法制上の措置」は講じなくても、法律ではなく他の「必要な措置」を講じれば良いとされました。 

この修正は、法律を作ることを、禁じてはいません。

でも、作らないですよ(自信あり)。わざわざ法律で無くても良いと修正したのだから(そうでなければ、修正の意味が無いです)。

法制上の措置が講じられない様な生ぬるいやり方で実現できるほど、同一価値労働同一賃金の問題は、軽いテーマでは無いです。

お役所の得意技、(現場の労働者は見ずに)「やれることだけはやったフリ」する行政通達でも出しておいて、後は知らんぷりでしょう。

ちなみに、今も派遣労働者に関してメリットのある行政通達は幾つかありますが、それに従わない企業に対して裁判所で争えず、実効性がないことが問題になっています。

骨抜きポイント3

【修正前】職務に応じた待遇の均等の実現(厳格) 

→ 

【修正後】その業務の内容及び当該業務の責任の程度その他の事情に応じた均等な待遇および均衡のとれた待遇の実現(緩やか)


ここが、一番の大きな骨抜きポイントです。

もともと、「均等」(厳格な言葉)だけだった表現に、「均衡」(緩い言葉)でも良いものへと変更しました。

難しい法律用語ですが、この「均等」→「均衡」の言葉は、法解釈上は極めて重大な意味を持ちます。

さらに、「均等」が求められる場合を、「その業務の内容及び当該業務の責任の程度その他の事情に応じた」という長い枕言葉を付けています。

この長い枕言葉を付けることで、完全に骨抜きが完成します。派遣と正社員では「業務の内容」(例:労働時間や休日)が違うから、「責任の程度」(例:部署での地位)が違うからという理由で、違いを正当化されてしまうのです。

これだけ骨抜きにしてしまえば、派遣社員が正社員と同じ仕事をしていても、何か理由を付けて、賃金の差異を正当化できてしまいます。

これで、骨抜きの完成です。

なお、この修正によって、比較対象者として「正規労働者」(期間の定めがない直接雇用の労働者)を定義していましたが、そこも「通常の労働者」へと変えられました。ここも実は大切です。

害悪もある!

ここまで書いてきても、

さほど実益が無くても、有害では無いなら、労働者にとっても一歩前進だ

と思った方。

間違いです。

維新が成立させようとしている「同一労働・同一賃金」案と同時に成立させようと、解雇規制の緩和(解雇の金銭解決制度)の実現を目論む、政府の悪巧みが反映した派遣法改正案に対する修正案が既に国会に出されています。

派遣法改正案に対する新たな修正として、附則でしれっとこういった修正が盛り込まれ既に提出され、成立されようとしているのです。

充実した職業生活を営むことができる社会の実現のための取組を一層推進するため、労働者の解雇に関する法制度を含めた労働に関する法制度の在り方について、これに関連する社会保険制度の在り方と併せて、抜本的な見直しを行うものとする。」

出典:衆議院ホームページ


長々と分かりづらく書いてありますが、要するに、労働者の解雇に関する法制度について、抜本的な見直しを図るということ。

今、実際に政府で検討されている、労働者の解雇に関する法制度(抜本的な見直し)とは、解雇の金銭解決制度(定額¥クビ切り放題法)です。

現在の制度では、不当に解雇された労働者が裁判所で「解雇無効!」と勝訴判決を取れば職場に戻る余地がありますが、会社がお金さえ払えば、クビにできる制度です。

会社に対して何かしら「物言う労働者」は、気にくわなくても金を払って切られてしまうことになります。

そんな労働者に大きな不利益のある制度の実現を、どさくさに紛れて導入の足がかりを作ってしまおうとしているのです。

この制度は、「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月24日閣議決定)で、既に、日本の労働紛争解決手段として活用されている事例の分析・整理や、諸外国の関係制度・運用に関する調査研究が開始されていて、既に調査報告もまとめられています。

「予見可能性の高い紛争解決システムの構築」に関する調査結果の公表について(厚労省)

国会で何も審議されていない、解雇の金銭解決制度をこっそり導入する足がかりを作る。

これは、国会での審議無視、労働政策審議会の役割を無視した、余りに酷い手法です。

本来、労働法については、ILO第144号条約及び第152号勧告で、政府委員・使用者委員だけでなく労働者委員も含む三者構成による協議(労働政策審議会)を経て行うことが求められています。

ですが、この間の労働者派遣法改悪では、労働者委員の影響が入る労働政策審議会を形骸化させようと、まず先に産業競争力会議や規制改革会議で審議を進め、その結論を労働政策審議会に押しつける悪辣な手法がとられてきました(詳細は、日弁連「公労使三者構成の原則に則った労働政策の審議を求める会長声明」をご覧下さい)。

今回の、派遣法のどさくさに紛れた、解雇の金銭解決制度(定額¥クビ切り放題法)導入に向けた足がかりは、これまで以上に、労働政策審議会の審議を形骸化させようとするもの。

その結果、労働政策審議会での審議を、結論先にありきで終わらせて(「国会で導入を決めてますよ!」)、労働法改悪を実現しようとするモノです。

今回の派遣法修正案が、派遣労働者にとどまらない大きな問題を含む、大きな害のある制度だとご理解いただけたでしょうか。

派遣法と合わせて、解雇の金銭解決制度(定額¥クビ切り放題法)にも、みんなで反対していきましょう!

(2015/06/16 8:26)

1「同一労働・同一賃金」法案への修正案(提出予定)と、解雇の金銭解決制度(定額¥クビ切り放題法)に触れた派遣法改正案への修正(提出済)との関係が曖昧でしたので、整理して訂正致します。

2「同一労働・同一賃金」法案への修正予定箇所について、骨抜きポイント3の箇所に追記しました。「均等及び均衡」という修正内容と齟齬が生じたため、その点を追記しました。


最後に、自民党議員の妄言に関してリンクを示しておく。