kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「中国脅威論」を押し出し始めた安倍晋三/最近読んだ本(2015年7月)

安保法案の国会論戦は、風見鶏の野党第一党民主党が「風」を読んで「違憲」に論点を絞り、「対案ではなく廃案」と言い出した。先日の朝日新聞には、前原誠司長島昭久細野豪志馬淵澄夫といった民主党内でも「保守派」「タカ派」(あるいは私に言わせれば「軍事右翼」)で鳴らす連中が執行部の方針に不満で、かつて2005〜06年の前原代表時代にやっていた「対案路線」に戻したがっているようだが、「違憲法案」には世論の反対が強いため、彼ら民主党右派がイニシアチブを握ることはできずにいる。

一方、「たとえ話」が通用しないどころか国の内外から馬鹿にされるようになって手詰まりの様相の安倍晋三は、1,2か月前に『週刊現代』にすっぱ抜かれたオフレコ発言であらわにしていた本音をついに国会でも出してきた。つまり「中国脅威論」「北朝鮮脅威論」である。但し後者は、安倍晋三が一方ではなおも北朝鮮拉致問題でポイントを稼ごうとしていることもあってか抑え気味であり、主に「中国の脅威」を前面に押し出してきた。

安倍晋三の狙いには、アメリカから言われている「米軍の肩代わり」のほかに、豊下楢彦氏が石原慎太郎の狙いとして指摘していた「日中戦争アメリカを巻き込む」ことがある。安倍晋三の狙いも石原と同じである。安倍の脳内には、「中東で米軍の肩代わりをしてやる」ことと「日中戦争アメリカに助けてもらう」ことの取り引きがあるのであって、安倍は単なる「アメリカの傀儡」などではない。安倍の狂った思想によれば、この取り引きは日本の国益に叶うのである。もちろんそんなことを本気で信じているのは、安倍や石原慎太郎などごく一部の「狂った極右」だけであることはいうまでもない。

さて、最近読んだ本をいくつか挙げておく。


開聞岳―爆音とアリランの歌が消えてゆく

開聞岳―爆音とアリランの歌が消えてゆく


読んだのは1989年発行の集英社文庫版だが、アイコンに画像のあったハードカバー版にリンクを張った。図書館で借りて読んだが、現在では絶版と思われる。朝鮮出身の特攻隊員の話。



保守派の著者による戦争論



3年前の「ハシシタ」騒動で著者の名声は地に堕ち、今では著者の名前だけで敬遠する人も多いのか、ハードカバー版(2013年出版)も文庫版もアマゾンのカスタマーレビューは一つもついていない。2008年にハードカバー版、2011年に集英社文庫版がそれぞれ刊行された『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』が、沖縄のヤクザ抗争から、ライブドア事件に関連して「きっこ」が殺人説を唱えたことでネットでは知られる「野口英昭変死事件」の取材など、なんでもありの「佐野節」満開だったのに対し、本書は沖縄戦一本に絞った内容で、「佐野節」も6割程度、盗作との批判を意識して引用元の明記に注意するなど、従来の「佐野本」とはいささか趣を異にする。3年前、著者がたいした覚悟もなしに『週刊朝日』の連載に突っ込んで橋下に逆襲を受けた軽挙が惜しまれる。

下記は今読んでいる本。



東大卒で50歳まで毎日放送(大阪)に務めた著者が「日雇い派遣労働者」となった実体験のルポ。時々ある原発労働のルポの「ブラック派遣労働」版といったところか。